ドイツ・ベルリンのAedes Architecture Forumにて、建築家・藤本壮介氏の個展が7月15日から8月30日まで開催されています。
(※ 上記写真クレジット © Volker Renner)
ドイツの建築雑誌『AW Architektur & Wohnen』の「Architect of the Year 2023」の受賞を記念して開催されている展覧会「Primitive Future—Everything Is Circulating」では、〈House NA〉〈武蔵野美術大学図書館〉〈サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013〉、また進行中の〈飛騨古川駅東開発〉など、藤本壮介建築設計事務所による12作品が展示されています。
展示は2つのセクションから構成されており、1つ目の部屋では映像を通してさまざまななタイポロジーや形がつくり出される過程を紹介。2つ目の部屋では、空間全体に浮かぶように設置された12のワイヤーオブジェクトによって、人々、自然、大地、建築がつながり、調和した世界を表現しています。
(以下、Aedes Architecture Forumから提供されたプレスリリース抜粋の抄訳)
すべてはつながっている
建築を構想するとき、藤本壮介は自身が「原始的(primitive)」と表現する原理、つまり人間と自然との原初的で重層的な関係を始点とする。自然と建築は対立の関係にあるが、藤本はその作品の中で両者を等しく融合させようと努める。したがって藤本は、差異を中和するだけでなく、互いに拡散的に共鳴させる方法を探る。そうすることで新たな「場」が生まれるのである。
藤本は、「あらゆるものは互いに異なっていますが、つながってもいます。ひとつであると同時に多数である。シンプルでありながら複雑。私は、自然、都市、そして人々と真に調和する建築に興味を抱いています。」と語る。
この建築哲学に基づき、藤本壮介は過去20年以上にわたり、日本と中国を中心に、ヨーロッパでも幅広く魅力的な作品群を展開してきた。例えば、フランス、モンペリエにある樹木のような集合住宅「L’Arbre Blanc」(2019年)では、機能性と折り紙のような軽さを持ったデザインを見事に融合させ、詩的な建築を生み出している。
ハンガリーの首都、ブダペストの「ハンガリー音楽の家」(2022年)においても、利用者と、公園の自然に溶け込んだ有機的な形状の一部透明な建物との間に、遊び心溢れる対話や関係性を生み出している。狭小な都市空間の中にミニマルで鋭利なデザインを介入させることで、藤本は自然と人間の間にバランスをもたらし、その場所に対する最大限に肯定的な共感を呼び起こし、官能的な空間体験を促している。
藤本壮介建築設計事務所 プロフィール
2000年に東京で設立された藤本壮介建築設計事務所は、建築、都市、リサーチ、イノベーションの分野において国際的なプロジェクトを行っている。2016年にSou Fujimoto Atelier Parisを設立。約80名の設計者からなる国際的なチームを擁している。これまでに、〈情緒障害児短期治療施設〉でAR Award Grand Prize、2007年度日本建築大賞、バルセロナ World Architectural Festival 2008 最優秀賞、Wallpaper Award 2009、また〈サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013〉でNew London Award 2013、およびMarcus Prize 2013など、さまざまな賞を受賞している。
会期:2023年7月15日(土)-8月30日(水)
会場:Aedes Architecture Forum
所在地:Christinenstr. 18–19, 10119 Berlin, Germany
開館時間:日・月・祝日 13:00-17:00、火〜金 11:00-18:30
休館日:土曜日
入場料:無料
※ 開催日時はいずれも現地時間
Aedes Architecture Forum ウェブサイト
https://www.aedes-arc.de/cms/aedes/en