COMPETITION & EVENT

京都国立近代美術館 開館60周年記念「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」

世界的に活躍したファイバーアーティストの初の大回顧展、2/6ドワンゴ「ニコニコ生放送」で会場から生中継!

ファイバーアーティストの小林正和(こばやし まさかず|1944-2004)の回顧展が、京都国立近代美術館にて1月より開催されています。

京都国立近代美術館「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」

小林正和〈WIND – 4〉1975年頃 個人蔵

小林正和は1944年京都市生まれ。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で漆工を学んだのち、京都の川島織物(現・川島織物セルコン)に就職。同社の研究所考案部でインテリア・ファブリックのデザインに従事する中で、「1本の糸との出会い」を機に、自身の作品制作にも着手します。糸を「垂らし」「緩め」「張り」集積させた立体造形作品を1972年に発表、続けて翌年にスイス・ローザンヌで開催された第6回国際タペストリー・ビエンナーレ[*]での入選を皮切りに、国内外の展示会で入賞を果たし、国際的に高く評価されていきます。

[*] 国際タペストリー・ビエンナーレ:ローザンヌでの開催期間は1962年〜1995年、開催数は15回

当時の時代背景としては、1960年代以降、欧米において従来のテキスタイルの概念を超えるような作品群が数多く登場していました。伝統的な技法を踏まえつつ、天然・合成繊維のみならず金属や鉱物などさまざまな素材を取り込んだ作品のほか、平面表現だけでなく、立体や空間へと展開させた作品なども発表されていました。これらの作品群は「ファイバーアート」と呼ばれ、その新たな潮流は、前述・ローザンヌでのビエンナーレを中心に世界へと波及していったのです。

小林正和作品

小林正和〈W3〉1976年 京都国立近代美術館蔵

小林正和作品

小林正和〈Clear the Land〉1978年 京都国立近代美術館蔵

緩んで自重で垂れ下がる糸、弓なりの木や金属の両端を繋いで張られた糸、ときにこの相反する糸の2つの状態が組み合わさり、そこから自然の音や情景が生まれ出るのが小林正和作品の特徴です。糸を含む「ファイバーは人間と密接に結びついている」と考えていた彼の作品は、常に空間と関係を切り結ぶことを志向し、最終的には戸外でのインスタレーションヘと展開していきます。

小林正和作品

小林正和〈KAZAOTO – 87 〉1987年 国立国際美術館蔵

小林正和作品

小林正和〈HANAOTO – P3 ’91〉1991年 群馬県立近代美術館蔵

小林正和作品

小林正和〈SOUND COLLAGE – 93〉 1993年 京都市美術館蔵

小林正和作品

小林正和〈NODATE – ANDGALLERY – 95〉 1995年 個人蔵

小林は、表現者であると同時に教育者でもありました。成安女子短期大学(後の成安造形短期大学)そして岡山県立大学で教える傍ら、1981年には国内で初めてのファイバーアート専門ギャラリーを開設し、そこでの展覧会活動などを通じて、多くの後進の作家にも大きな刺激と影響を与え続けました。

生誕80年、没後20年の節目に開催される本展は、小林正和の仕事を総覧する初の大回顧展です。

 

小林正和 プロフィール

1944年3月31日 京都市北区に生まれる
1963年 京都府立紫野高校卒業、京都市立美術大学工芸科(漆工専攻)入学
1966年 京都市立美術大学を卒業し、川島織物に就職(研究所考案部)、ファブリック・デザインに従事
1972年 カワシマタペストリー展に〈吹けよ風〉を出品
1973年 第6回国際タペストリー・ビエンナーレ(ローザンヌ、スイス)に〈Blow in the Wind〉で入選(その後も、第7・8・9・15回で展示)
1975年 第2回国際テキスタイル・トリエンナーレ(ウッヂ、ポーランド)に〈WIND – 4〉で入選し、最高位の文化芸術大臣賞受賞(その後も、第3・4回で展示)。これ以降、海外展への招待が増加。国内外で活発な展覧会活動を行う。同年に川島織物正社員を退職し、1979年まで嘱託職員となる
1976年「今日の造形〈織〉―ヨーロッパと日本―」展(京都国立近代美術館)に〈B5〉と〈W3〉を出品
1979年 成安女子短期大学教授に就任(1983年まで)、この頃からコミッションワークを手がけ始める
1981年 京都四条河原町に草間喆雄・浅井伸一とともに「ギャラリーギャラリー」を開設、1989年まで毎年個展を開催。
1985年 京都北白川に「ショップ ギャラリーギャラリー」開設(〜1987年)
1987年 第1回国際テキスタイルコンペティション’87京都に〈KITE – No. 2 – 87〉で入選し、佳賞受賞
1990年 京北町の自宅に私設ギャラリー「ANDGALLERY」開設
1993年 岡山県立大学開学に伴い教授に就任。国立国際美術館(大阪)で個展「近作展13 小林正和」開催
1994年 第4回国際テキスタイルコンペティション’94京都に〈Sound – Collage 1-93〉で入選し、優賞受賞
1996年「テキスタイル・マジシャン」展(パリ)に参加。同名の映像作品公開
2000年「小林正和・小林尚美 宙からの響き」展(群馬県立近代美術館)開催
2002年 「Masakazu Kobayashi featuring Naomi Kobayashi」展(シンガポール)開催
2004年8月18日 逝去

小林正和作品

小林正和〈HANAOTO WR – 99〉1999年 京都国立近代美術館蔵

小林正和作品

小林正和〈MIZUOTO – 99〉1999年頃 個人蔵

本展では、1970年代から90年代にかけて京都に発したファイバーアートの動向を振り返り、そこでの小林の活動とその意義などについて光をあてます。
彼の名が世界に広く知られるきっかけとなった作品〈吹けよ風/Blow in the Wind〉シリーズや、大型インスタレーション作品、これまで公開されてこなかったスケッチブックやドローイング、さらにはデザイン作品などを含む約80点が一堂に会するほか、小林と歩みをともにした17人の作家も本展に参加、4人の新作を含めた約100点の作品もあわせて展示されます。

関連イベントとして、会期初日に開催された講演会のほか、ラウンドテーブル(トークイベント)も計4回開催。2月6日の夜にはニコニコ美術館でのライブ配信も決定しました。
小林の作品や作家としての国際的な位置づけ、今後のファイバーアートの展開についても改めて考察を試みる機会となります。

展覧会構成と出品作家

序. 糸との出会い 川島織物時代
小林正和、村田博三、向井良吉
1. 糸の発見、ファイバーアートの誕生 ローザンヌとウッヂでの試み
小林正和、小名木陽一、佐久間美智子、久保田繁雄、小林尚美
2. 糸と空間、ファイバーアートの拡張 京都とテキスタイル・マジシャン
小林正和、草間喆雄、熊井恭子、三橋 遵、扇 千花、新道弘之、冨田 潤、田中千世子、小林尚美
3. 糸の繋がり、ファイバーアートの展開 「ギャラリーギャラリー」とデザイン・ワーク
小林正和
4. 糸、そしてファイバーアートの向こうへ
小林正和、三橋 遵、戸矢崎満雄、野田凉美、島田清徳

 

「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」

会期:2024年1月6日(土)~3月10日(日)
開館時間:10:00-18:00(金曜は20:00まで開館、入館は各日とも閉館30分前まで)
休館日:月曜(2月12日[月・祝]を除く)、2月13日(火)
会場:京都国立近代美術館(Google Map
所在地:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
観覧料:一般:1,200円、大学生:500円、高校生以下・18歳未満は無料(学生証の提示など年齢証明要)
※金曜18:00以降は夜間割引あり
※障がい者手帳の提示で本人と付添1名まで無料
※母子・父子家庭の世帯員の方は無料(要証明)
※本料金でコレクション展も観覧可
主催:京都国立近代美術館

京都国立近代美術館ウェブサイト
https://www.momak.go.jp

京都国立近代美術館の展覧会「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」


#京都国立近代美術館 YouTube「小林正和とその時代展メイキング動画」(2024/01/06)

関連企画

ニコニコ美術館 配信:京都国立近代美術館「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」
放送日時:2024年2月6日(火)18:30開始(終了時間未定)
出演者:池田祐子(京都国立近代美術館 副館長・学芸課長)、宮川智美(京都国立近代美術館 研究員)、川嶋啓子(Office G²主宰、アートコーディネーター)
進行:橋本麻里(ライター・エディター)
視聴料:無料 ※「ニコニコ」のコメント機能を使用する場合は無料の会員登録が必要
主催:ドワンゴ

ニコニコ美術館 ライブ配信:京都国立近代美術館の展覧会「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」

視聴URL
https://live.nicovideo.jp/watch/lv344102774

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
  • TOP
  • COMPETITION & EVENT
  • EXHIBITION
  • 京都国立近代美術館 開館60周年記念「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」展
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ