東京・品川にあるコクヨ東京品川オフィス・THE CAMPUSにて、WOW(ワウ)による特別展示「Polymorphism of Information―情報の多態性」が3月18日から5日間にわたって開催されます。
本展は、昨年始動したWOWのデータデザインプロジェクト「InForms(インフォームズ)」から生まれた作品群を紹介するもの。来場者が作品(データ)を「鑑賞」し、そこから得た気付きを周囲と共有することで、理解を深め新たな視点を得る体験と、新しいデータデザインの可能性を提案します。
これまでのWOWの発表(主に2023年9月21日プレスリリース)によれば、「InForms」とは、データビジュアリゼーションに関するWOWの新たな取り組みです。
プロジェクト立ち上げの背景
本プロジェクトは、報道機関に所属するクリエイターとの対話から始まりました。
日々さまざまな社会問題がニュースで取り上げられる一方、若者のニュース離れは深刻化し、無関心・無思考への懸念が高まります。ニュースに日常的に触れない人々へ情報をリーチさせる方法や、未来のために深く考え・対話を生む情報伝達のあり方を模索し、WOWのデータビジュアリゼーションに焦点をあてます。
また、インターネットの普及とIT技術の発展により、私たちは広範なビッグデータへアクセスできるようになりました。並行して、パソコンなどのマシンスペックが向上したことでデータの処理能力も高くなり、データビジュアリゼーションのリッチな表現が可能となりました。
上記の説明のとおり、時代の流れとIT技術の向上により、WOWが得意とする三次元で魅せるデータビジュアリゼーション「InForms」は誕生しました。
アート作品のようにデータを「鑑賞」することで、創造的な思考を誘発させる情報の視覚化を試みるプロジェクトであり、彼らが考える体験の設計は、以下の4つのプロセスから構成されます。
4つのプロセス
1 データに潜む情報や文脈を紐解く
2 それらを造形化・可視化する
3 造形化・可視化されたデータを「鑑賞」する
4 意見を交換する
プロジェクトの第一弾として、上記1と2が昨年実施されています。円グラフや棒グラフといった見慣れた表現から事実のみを理解するのではなく、データを新しいデザインとして表現。WOWでは「InfoSculpture」「InfoTexture」という2つの手法[*1,2]を考案し、「世界人口」と「レアメタル産出量」のデータを元に映像作品を制作、YouYubeにて公開しました。
#WOW YouTube:InfoTexture – Vol.01 “Minor Metals Situation”(2023/09/21)
[*1]InfoTexture(インフォテクスチャー):データが現実世界で持っていた「質感」を、データ可視化の要素に取り込む。分布や変化、差異を伝えるというデータの基本的な機能は残しながら、文脈や背景、現実世界での物質性といった質的な情報も織り交ぜ、量的・質的な観点を1つの造形の中に捉えることを可能にするデータ可視化手法。第一弾として、「世界のレアメタル産出量」を表現した。
#WOW YouTube:InfoSculpture – Vol.01 “World Population Transition”(2023/09/21)
[*2]InfoSculpture(インフォスカルプチャー):データを「造形要素」と捉えて、グラフ形状や座標軸の選択といった可視化における形状操作を、意図を排除した純粋な「造形」のプロセスに転換する。造形的な視点でデータの見え方を拡張することで、鑑賞者の創造性を湧き立て、問題に対する多面的な視点を与えることを目的とするデータ可視化手法。第一弾として、「世界の人口推移」を表現した。
THE CAMPUSで開催される本展では、上記の3と4のプロセスを提示することで、観察・思考を能動的にエンパワーさせるデザインプロジェクト「InForms」の一連のプロセスを展覧会という手法で提示し、体験によって会場を訪れた人々に新たな気づきを促します。
本展のタイトルにある「Polymorphism(ポリモーフィズム)」とは、1つのものが複数の形態や様相を持つことを指しています。
「Polymorphism of Information―情報の多態性」では、「世界人口」と「レアメタル産出量」のデータを、映像、プロダクト、ポスター、インタラクティブコンテンツの形態で表現、展示します。1つのデータが持つ「多態性」を異なる媒体でデザインすることで、対峙する人や空間との関係性における変化や、どのような気づきが生まれるのかを探ろうとするものです。
また、本展で展示する作品は最先端の3DCGをもとに制作されているのも特徴です。
広範なビッグデータへのアクセスが可能になり、データ収集の意義が広く浸透した現代。集めたデータの行き着く先を考える中で、本来形を持たないデータがCGによって実体化し、空間に存在することは、実空間における人間とデータとの距離感にも変化をもたらし、新たな視点をつくるとWOWでは考えています。本展は、このWOWが考える3DCGを駆使したデータデザインの可能性を提案するものです。
「InfoSculpture」は、データを「造形要素」と捉えて、データ自体が持つ構造を引き出します。データの見え方を拡張することで鑑賞者の創造性を刺激し、多角的な視点を与えることを目的としています。
2023年に公開した映像作品では、世界人口をテーマに4つの造形をCG上で制作しました。本展では、これらの造形を家具として実体化させるデザインを提案。データが生活空間に溶け込み、人との距離感を縮めることを試みます。
「InfoTexture」は、データの背後にある文脈や物質性を「質感」として再起させます。
2023年に公開した映像作品では、レアメタルの産出量をCG上で制作しました。本展では、「InfoTexture」が生み出すデータの「質感」をレンチキュラー印刷で出力し、視点移動というシンプルなインタラクションによって、ビジュアルとデータの関係性を浮き立たせます。
本展ではこれに加えて、2.5D印刷技術(StareReap©)によって質感の美しさを強化した絵画的な作品も制作。アートピースとして空間の中で存在感を高めるデータの形態を提示します。
美しさが人々の関心や記憶に作用し、その先に思考・解釈があるという、InFormsの視覚表現の多層性を1つのポスターの中で表現します。
本展会場では、200インチの大型スクリーンが4面設置されます。そこで使用した映像の展示に加え、「InfoSculpture」と「InfoTexture」の映像作品をインタラクティブコンテンツとしても展示。タッチディスプレイを通して視点を操作することで、来場者がより能動的にデータを洞察する体験の提供を試みます。
会期:2024年3月18日(月)〜3月22日(金)
会場時間:11:00-19:00 ※最終入場は18:30まで
会場:コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」
所在地:東京都港区港南1-8-35(アクセスMAP)
入場料:無料 ※入場時に氏名と連絡先の記入が必要
主催・運営:WOW
共催:コクヨ
WOWによる開催告知
https://www.w0w.co.jp/news/221
「InForms」ウェブサイト
https://informs.design/