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東京国立博物館にて展覧会「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」開催

9月より銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催される個展と連環した展示構成 ※読者プレゼントあり

東京・上野の東京国立博物館にて、美術家の内藤礼(1961-)の展覧会が6月25日より開催されています。

本展は、敷地内の3カ所(平成館 企画展示室、本館 特別5室、本館 1階ラウンジ)にて作品が展開されるのが特筆点です。
本館北側(庭園側)に位置する1階ラウンジ(通常は作品展示が行われていないパブリックな休憩スペース)、および、普段は主に古美術の特別展会場として使用されている1階特別5室での作品展示は必見。どちらも改修などを経て、建築家の渡辺 仁(1887-1973)が設計して1938年(昭和13)に竣工した当時の雰囲気を色濃く残した空間であり、「建築空間と作品との関連性をどのように構築するか」がテーマの1つであったという(プレス内覧会での内藤氏談話より)内藤作品とのコラボレーションが見どころとなっています。

※『TECTURE MAG』では6月24日に実施されたプレス内覧会を取材、後日に会場レポートを系際予定

東京国立博物館 本館1階ラウンジ

東京国立博物館 本館1階ラウンジ

 

太陽が形づくる光と影、地が生成する水や石、大気が織りなす風や雨。美術家・内藤礼は、私たちの傍らにある自然の諸要素と日常のささやかな事物を受け止めることで、私たちが日々見過ごしがちな世界の片隅に宿る情景、知覚しがたい密やかな現象を見つめ、「根源的な生の光景」を出現させてきました。精緻に構想されるその作品世界は、普遍的な視座を持ちながら、その場を訪れる人をそれぞれの沈潜にいざないます。

本展は、150年の歴史を持つ東京国立博物館の収蔵品、その建築空間と内藤との出会いから始まりました。1万年という時を超え、内藤は縄文時代の土製品に自らの創造と重なる人間のこころを見出しました。それは、自然・命への畏れと祈りから生まれたものであり、作家はそこに「生の内と外を貫く慈悲」を感じたといいます。生の求めに迫られてつくりだされた一つ一つの土製品は、人間本来の姿を私たちに伝えるようです。会期中、自然光に照らし出される展示室では、かつて太陽とともにあった生と死を、人と動植物、人と自然のあわいに起こる親密な協和を、そっと浮かび上がらせます。

色彩に生を、風景に物語を、光に祈りを見出す内藤の作品は、縷々として尽きることなく私たちの世界を満たしてきた、遥か遠い時代から続く創造の営みを想起させます。そこには、人間が繰り返してきた「つくる」ということ、今につながる「生きる」ということへの希求が垣間見られます。

時空を超えた交感がなされる会場は、空間よりも広く、時間よりも深く、目には見えない存在、耳では聞こえない声の確かさを感じ取る契機となることでしょう。本展の体験を通して、原始この地上で生きた人々と、現代を生きる私たちに通ずる精神世界、創造の力を感じていただけたら幸いです。

(本展プレスリリースより転載)

 

内藤礼展

内藤礼〈死者のための枕〉2023年
シルクオーガンジー、糸(撮影:髙橋健治)

内藤礼展

内藤礼〈このことを〉2001年、家プロジェクト 「きんざ」ベネッセアートサイト直島・香川 (撮影:畠山直哉)

内藤礼展

「内藤礼:breath」2023年、ミュンヘン州立版画素描館
〈color beginning〉2023 年 紙にアクリル絵具(撮影:畠山直哉)

内藤礼展

「内藤礼:breath」2023年、ミュンヘン州立版画素描館
〈color beginning〉2023年 紙にアクリル絵具(撮影:畠山直哉)

内藤礼展

「内藤礼:すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している 2022」2022年、神奈川県立近代美術館 葉山
〈母型〉2022[2009]年 水、ガラス瓶(撮影:畠山直哉)

 

内藤礼(ないとう れい)プロフィール

1961年広島県生まれ、現在東京を拠点に活動。「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに作品を制作。その作品制作において「生と死」は分別できないものとして問われている。光、空気、水、重力といった自然がもたらす事象を通して「地上の生の光景」を見出す空間作品を生み出してきた。
これまでの主な個展に「地上にひとつの場所を」佐賀町エキジビット・スペース(東京、1991年)、「地上にひとつの場所を」第47回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館(1997年)、「Being Called」カルメル会修道院(フランクフルト、1997年)、「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」神奈川県立近代美術館 鎌倉(2009年)、「信の感情」東京都庭園美術館(2014年)、「信の感情」パリ日本文化会館(2017年)、「Two Lives」テルアビブ美術館(2017年)、「明るい地上には あなたの姿が見える」水戸芸術館現代美術ギャラリー(2018年)、「うつしあう創造」金沢21世紀美術館(2020年)、「breath」ミュンヘン州立版画素描館(2023年)などががある。
恒久展示作品に、〈このことを〉家プロジェクト きんざ、ベネッセアートサイト直島(2001年)、〈母型〉豊島美術館(2010年)がある(編集部註.豊島美術館は〈母型〉を展示するための空間として西沢立衛建築設計事務所が設計)。
1994年日本現代藝術奨励賞(インスタレーション部門)、2003年第一回アサヒビール芸術賞、2018年第60回毎日芸術賞、2019年第69回芸術選奨文部科学大臣賞(美術部門)受賞。

 

なお本展は、エルメス財団と共同で企画されています。展覧会としては、今年9月7日より東京・銀座の銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催される内藤の個展「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」へと続き、この東京国立博物館の2つの会場を結び、連環する構成となっています。

東京国立博物館 本館 外観

東京国立博物館 本館 外観

東京国立博物館 本館1階ラウンジ

東京国立博物館 本館1階ラウンジ

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」開催概要

会期:2024年6月25日(火)~9月23日(月・休)
会場:東京国立博物館 平成館企画展示室 / 本館特別5室 / 本館1階ラウンジ
開館時間:9:30-17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(7月15日[月]、8月12日[月・休]、9月16日[月]、9月23日[月・祝]を除く)、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)
観覧料金:一般 1,500円、大学生 1,000円
※高校生以下無料(要学生証提示)、障がい者手帳の提示で本人と介護者1名まで無料
※本展チケットで、観覧日当日に限り、総合文化展も鑑賞可(また、8月13日[火]は総合文化展は開館)
※今後の諸事情により、展示作品、会期、開館時間、休館日などが変更される場合あり

主催:東京国立博物館
特別協力:エルメス財団
協力:タカ・イシイギャラリー
問合せ先電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)

内藤礼展

使用図版:重要文化財 足形付土製品(部分) 新潟県村上市 上山遺跡出土 縄文時代(後期)・前2000〜前1000年 東京国立博物館蔵(撮影:畠山直哉)

本展詳細
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2637東京国立博物館< ウェブサイト
https://www.tnm.jp/


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受付期間:2024年7月10日(水)まで
※応募者多数につき抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了(個々の問合せには対応しません)
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません
※チケットの使用方法で不明な点は主催者に問合せてください


「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」

会期:2024年9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
所在地:東京都中央区銀座5丁目4-1 8階(Google Map

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