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ミースの未完プロジェクト「ロー・ハウス」を原寸大で展示する費用を国立新美術館がクラウドファンディングで募集

「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」展の無料観覧エリアにて展示予定

東京・六本木の国立新美術館にて、2025年3月19日より、20世紀にはじまった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考することを試みる展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」が開催されます。これに先立ち、展示作品の制作費用の一部を募ることを目的としたクラウドファンディング(クラファン)が、11月18日から行われています。国立新美術館がこのようなクラファンを実施するのは今回が初となります。

国立新美術館 クラファン

2024年11月18日に国立新美術館で行われた本クラファンに関する記者発表会の様子(画像提供:国立新美術館)

クラファン実施の目的は、20世紀を代表する建築家の1人、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe|1886-1969)の未完のプロジェクト「ロー・ハウス」を原寸大で実現し、無料観覧エリアに設置するためで、支援金はこれらの費用に充てられます。
目標金額は1,000万円。なお、金額達成の可否に関わらず、「ロー・ハウス」の展示制作は行われます。

クラウドファンディングプロジェクト概要

タイトル「国立新美術館|時代を映す、挑戦的でダイナミックな展示をこれからも」
目標金額:1,000万円
募集期間:2024年11月18日(月)〜2025年1月31日(金)23時(計75日間)
資金使途:2025年春開催の展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s–1970s」の開催費用の一部(ミース・ファン・デル・ローエの未完のプロジェクト「ロー・ハウス」を原寸大で実現するための展示制作費、観覧無料エリアに設置予定)
形式:寄付金控除型、All in形式
※All-in(オールイン):募集期間中に集まった支援金の金額、目標金額達成の可否にかかわらず、プロジェクトを実行する方式
返礼品:計22コース(金額:5,000円〜1,000,000円)
主な返礼品(右記は抜粋):大判トートバッグ、リユースタンブラー(ドリンク10%OFF付き)、ロゴ入り筆記セット、外観モチーフハンドタオル、特別体験プログラム:国立新美術館学芸課長が語る「展覧会ができるまで」受講権、特別体験プログラム:休館日の国立新美術館で建築探検 参加権 など

国立新美術館 クラファンキービジュアル

クラファン「国立新美術館|時代を映す、挑戦的でダイナミックな展示をこれからも」受付ページ
https://readyfor.jp/projects/nact_2024


「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s–1970s」展覧会概要

20世紀を代表する14の邸宅・住宅作品を中心に、20世紀の住まいの実験を、写真や図面、スケッチ、模型、家具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィック、映像などを通じて、多角的に検証する。20世紀に始まったとされる、建築家らによる住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考する。

会期:2025年3月19日(水)~6月30日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E、2E
主催:国立新美術館、東京新聞、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

※上記は2024年11月18日発表時点のもの


メッセージ

国立新美術館は、開館からまもなく18年を迎えます。国内最大級の展示スペース(14,000m²)を生かした多彩な展覧会の開催や、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、さまざまな教育普及プログラムの実施に取り組むことで、年間200万人を超える来館者が美術に触れる機会を提供しています。
特に、最大8mの天井高と約2,000m²の広さをもつ企画展示室、その中を自在に仕切ることのできる可動式の壁は、館の大きな特徴であり、この空間を活かし、ジャンルにとらわれず、その時代の視点を反映させた「国立新美術館ならでは」の展覧会を開催してきました。

「こいのぼりなう!」展示風景

「こいのぼりなう! 須藤玲子×アドリアン・ガルデール×齋藤精一によるインスタレーション」国立新美術館(2018年)展示風景 撮影:加藤健

「ファッション イン ジャパン」展示風景

「ファッション イン ジャパン 1945-2020―流行と社会」国立新美術館(2021年)展示風景
撮影:加藤 健

「ワニがまわる タムラサトル」展示風景

「ワニがまわる タムラサトル」国立新美術館(2022年)展示風景 撮影:金田幸三

「蔡國強」展 展示風景

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」国立新美術館(2023年)展示風景
撮影:顧劍亨 提供:蔡スタジオ

「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」展示風景

「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」国立新美術館(2023年)展示風景 撮影:木奥惠三

国立新美術館では、新しい表現を試みた作品や若手のアーティストを紹介する企画、テーマ性をもって多彩な作品で構成する総覧的な企画など、収益性だけにとらわれず、「本当に届ける意義がある展覧会」を信念をもって企画しています。
このような企画展の多くは、基本の予算に加え展覧会ごとに資金を獲得して実現しています。美術との出会いや新しい体験を楽しんでいただける展示を実現するために、予算の確保に加え、コストを抑えながらも妥協することなく関係者一丸となって取り組んでいます。
しかし、それでも資金の調達が難航する展覧会があり、さらに、昨今の海外輸送費や資材・物価の高騰なども追い打ちとなり、館として届けたい展示をかたちにするためには、絶対的に資金が足りないケースも増えています。

そこで今回、2025年3月19日より開催する展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s–1970s」の開催費用の一部を集めるため、新たな資金調達手段としてクラウドファンディングを実施することを決めました。
同展は、国立新美術館としても非常に大規模な展覧会です。特に、ミースの未完のプロジェクト「ロー・ハウス」を原寸大で実現する展示は、同館だからこそ企画できる、大きな見どころのひとつです。さらに、多くの人々に楽しんでももらえるよう、来館者が無料で観覧できるエリアに設置することとしました。
本プロジェクトで得た支援金は、この展示の制作費用に充てる予定です。

また、国立新美術館はこれまで、個人向けのメンバーシップ制度を持たず、来館者とのつながりを持つ機会も限られていました。今回のクラウドファンディングプロジェクトは、資金面だけでなく、美術館の活動を応援する人々とつながり、ファンを増やしていくことも、大きく目的のひとつとなっています。
2020年のコロナ禍以降、展覧会や作品の鑑賞環境改善について考えることや、多種多様な表現と、その発表の場が求められる昨今において、入場者数を増やすこと、また観覧料のみに収入を頼ることが難しいのは、日本中の博物館、美術館が直面する課題です。これからの美術館経営のあり方を考えていく中で、ひとつの収入の柱として、国立新美術館を応援してくださる皆さまからの寄付の可能性を模索したい、そのために、今回のプロジェクトは、大きな契機になるという思いを持っています。(国立新美術館 プレスリリースより / 一部を『TECTURE MAG』編集部で追補)

 

国立新美術館

国立新美術館 1F ロビー ©︎国立新美術館

国立新美術館

2F サロン・ド・テ ロンド 見下ろし ©︎国立新美術館

国立新美術館

国立新美術館 外観夕景

国立新美術館 ウェブサイト
https://www.nact.jp/

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