
日本が世界に誇る建築文化を紹介し、世界へ向けて発信する「ひろしま国際建築祭」が、10月4日から58日間にわたって開催されます(主催:神原・ツネイシ文化財団[*1])。今回が初開催となります。
「ひろしま国際建築祭」は、そのミッションとして、“建築”で未来の街をつくり、こどもの感性を磨き、地域を活性化させ、地域の“名建築”を未来に残すことを掲げています。
今後も3年に一度、福山市、尾道市をはじめ、瀬戸内を中心に、建築にまつわる展示や展覧会を開催し、建築文化を日本から発信し、未来へと受け継いでいこうとする、将来を見据えた祭典です。
2025年のテーマは「つなぐ——「建築」で感じる、私たちの“新しい未来”」。本テーマのもと、尾道市美術館や福山市にある神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)でそれぞれ企画展が開催されるほか、本祭典を主催する神原・ツネイシ文化財団が福山市内で進めている、東京・成城にあった丹下健三の自邸〈成城の家〉を再現して建設するプロジェクトを「予告編」として伝える展示も行われます。
*1.神原・ツネイシ文化財団:建築文化を軸にした展覧会、講演会、情報発信等の事業、建築文化を軸にした地域活性化および雇用促進のための事業、地域の建築文化、伝統文化、伝統産業およびまちなみの保全に関する事業などを行うことを目的に、2024年1月30日に広島県福山市に設立された財団
https://kambara-tsuneishi-foundation.jp/
本稿では一部で敬称略とする
「ひろしま国際建築祭 2025」開催概要
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
出展建築家(故人を含む)・作家:安藤忠雄、石上純也、磯崎 新、伊東豊雄、川島範久、高野ユリカ、妹島和世(SANAA)、丹下健三、長坂 常、西沢立衛(SANAA)、坂 茂、藤井厚二、藤本壮介、前田圭介、槇 文彦、山本理顕、VUILD/秋吉浩気、Clouds Architecture Office、けんちくセンター CoAK、スタジオ・ムンバイ/ビジョイ・ジェイン、UMA /design farm(以上、五十音順)
総合ディレクター:白井良邦(神原・ツネイシ文化財団理事、慶應義塾大学SFC特別招聘教授)
チーフキュレーター:前田尚武(神原・ツネイシ文化財団主任研究員、京都美術工芸大学特任教授)
開催地:広島県福山市、尾道市+瀬戸内エリアのサテライト会場
福山/神勝寺 禅と庭のミュージアム、ふくやま美術館 (ギャラリー)
尾道/尾道市立美術館、まちなか文化交流館 「Bank」、LLOVE HOUSE ONOMICHI、ONOMICHI U2、LOG
入場料:鑑賞パスポート(福山・尾道共通3日間有効パスポート)
・会場販売 3,000円(税込)
・WEB販売 2,500円(税込)
※高校生以下、障がい者手帳の提示で本人(および介護者1名まで)無料
※「ナイン・ヴィジョンズ|日本から世界へ 跳躍する9人の建築家」を開催する尾道市立美術館のみ単館チケットの販売あり
主催:一般財団法人神原・ツネイシ文化財団
後援:文化庁、広島県、福山市、尾道市、一般社団法人せとうち観光推進機構、一般社団法人広島県観光連盟(HIT)、広島商工会議所、福山商工会議所、尾道商工会議所、中国新聞社ロゴデザイン:原 研哉(日本デザインセンター)
主な展示プログラム INDEX
・ナイン・ヴィジョンズ|日本から世界へ 跳躍する9人の建築家 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・NEXT ARCHITECTURE|「建築」でつなぐ新しい未来 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・神原・ツネイシ文化財団 建築文化再興プロジェクト 「成城の家」の写し — 丹下健三の自邸再現・予告展 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・後山山荘(旧・藹然荘)の100年とその次へ|福山が生んだ建築家・藤井厚二 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・OPEN LLOVE HOUSE |尾道「半建築」展 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・うつすからだと、うつしの建築 ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・Architecture Voice from LOG |「建築の声」を聞く ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
・「ZINE」から見る日本建築のNow and Then ▶︎▶︎▶︎ 開催概要
企画概要:米国のプリツカー建築賞(主催:ハイアット財団)を受賞した、日本の建築家に焦点をあてる企画展。
プリツカー建築賞を受賞した日本人建築家は2025年時点で8組。アメリカと並んで最も多い受賞者数を誇る。日本の建築家はなぜ世界から評価され、どのようにして国際的なレベルに達したのか? その魅力と真相に迫る。
左から、丹下健三(撮影:齋藤康一)、槇 文彦(ⒸPeter Hyatt)、安藤忠雄(撮影:閑野欣次)
左から、坂 茂、磯崎 新(写真提供:Arata Isozaki Associates)、山本理顕(ⒸTom Welsh for The Hyatt Foundation Prizker Architecture Prize)
左から、西沢立衛、妹島和世(SANAA ⒸSANAA)、伊東豊雄(撮影:藤塚光政)
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
会場:尾道市立美術館
所在地:広島県尾道市西土堂町17-19(千光寺公園内 / Google Map)
出展建築家(故人を含む):
丹下健三(1987年受賞)、槇 文彦(1993年受賞)、安藤忠雄(1995年受賞)、妹島和世・西沢立衛[SANAA](2010年受賞)、伊東豊雄(2013年受賞)、坂 茂(2014年受賞)、磯崎 新(2019年受賞)、山本理顕(2024年受賞)
特別協力:千葉工業大学建築学科 今村創平研究室、京都大学大学院工学研究科建築学専攻建築史学ダニエル研究室、京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab
安藤忠雄が改修設計を手がけ、2003年にリニューアルオープンした〈尾道市立美術館〉 写真提供:尾道市立美術館
www.onomichi-museum.jp/about/
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:「ひろしま国際建築祭2025」のテーマに呼応し、未来を担う5組の建築家がそれぞれの視点から新たなヴィジョンを提示する。建築を近代が追い求めた人工的な装置としてではなく、地球と響き合う有機的な存在として捉え直し、「海・自然・市民・風景・宇宙」の5つの視点から構想された5つの提案を建築家として行い、環境と社会の新たな結びつきを探る。建築がいかにして人々の未来をかたちづくるかを問いかける試み。
左から、藤本壮介(Photo: David Vintiner)、石上純也(ⒸCHIKASHI SUZUKI)、川島範久
左:秋吉浩気 / VUILD(撮影:齋藤誠一)、右:Clouds Architecture Office(ⒸGION)
会期:2025年10月5日(日)〜11月30日(日)
※「ひろしま国際建築祭」開幕日の10月4日は式典のため入場は関係者のみ
会場:神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)
所在地:広島県福山市沼隈町大字上山南91(Google Map)
出展建築家:藤本壮介、石上純也、川島範久、VUILD / 秋吉浩気、Clouds Architecture Office
神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院) 撮影:鈴木研一 写真提供:神原・ツネイシ財団 www.szmg.jp/
枯山水の日本庭園は、足立美術館の庭園を手掛けた庭師の中根金作(1917-1995)による作庭
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:建築家の丹下健三(1913-2005)自身が設計し、東京・成城に構えていた自邸〈成城の家〉(1953年竣工。現存せず)。いわば伝説的な丹下の住宅建築を、福山市内の瀬戸内海を見下ろす丘の上に再現するプロジェクトが、神原・ツネイシ文化財団の主導で進められている。本展では、宮大工が制作した縮尺1/3模型[*2]とともに、丹下健三がこの家のためにデザインした家具や愛用の品、当時の様子を伝える写真などの資料を展示し、「過去」の自邸の姿と、近い将来実現する「未来」の姿を紹介する。
[*2]縮尺1/3模型:東京・森美術館にて2018年に開催された企画展「建築の日本展」のために制作・展示されたもの(下の画 / 詳細は森美術館 公式ウェブサイト「建築の日本展」プロジェクト紹介 #5《住居(丹下健三自邸)》」ページを参照)
住居(丹下健三自邸) 設計:丹下健三 1953年(現存せず) 模型:縮尺1/3 2018年 W6790 D3440 H2215
制作監修:森美術館、野口直人 制作:おだわら名工舎
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」展示風景 森美術館(東京) 2018年 撮影:来田 猛 写真提供:森美術館
〈成城の家〉(丹下健三自邸)撮影:丹下健三 写真提供:内田道子
※本画像は版権所有者の許可を得て掲載(無断転載を禁ず)
会期:2025年10月5日(日)〜11月30日(日)
会場:神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院・明々軒)
所在地:広島県福山市沼隈町大字上山南91(Google Map)
出展建築家:丹下健三
監修:内田道子
特別協力:溝口至亮(GALLERY-SIGN)
協力:おだわら名工舎
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:後山山荘は、福山の豪商・くろがねや12代当主の藤井与一右衛門(1886-没年不明)が鞆の浦に構えた別邸・藹然荘(あいぜんそう)を前身とする与一右衛門の弟は建築家の藤井厚ニ(1888-1938)で、京都・山崎に建設した自邸〈聴竹居〉の写しともいえるサンルームを1932年頃に増築している。その後、建物は利用されず荒廃し、サンルームも原型を留めないかたちで”発見”されたが、新たなオーナーのもと、UIDを率いる建築家の前田圭介が建物の改修・設計を手掛け、2013年に「後山山荘」として再生されている(詳細は「後山山荘」公式ウェブサイトを参照)。本展は、福山が生んだ建築家・藤井厚二の建築をめぐる“100年の物語”である。
左:藤井厚ニ、右:前田圭介(ⒸKoji Fujii / TOREAL)
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
会場:ふくやま美術館 ギャラリー
所在地:広島県福山市西町2丁目4-3(Google Map)
出展建築家:藤井厚二、前田圭介
企画監修・会場構成:前田圭介
特別協力:谷藤史彦、藤井英博、松隈 章、後山山荘倶楽部、竹中工務店、聴竹居倶楽部、宮沢 洋(BUNGA NET)
ふくやま美術館(写真提供:ふくやま観光コンベンション協会) www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:長坂 常が尾道で一目惚れした空き家を自ら購入、改修して、新たな文化交流拠点として再生させた〈LLOVE HOUSE ONOMICHI(ラヴ・ハウス・オノミチ)〉は、2022年のオープン。国内外のクリエイターを招いて、建築やデザイン、アートに関する展示を行っている。
「ひろしま建築祭2025」の会期中、オープンハウス「OPEN LLOVE HOUSE」を開催。長坂が率いるスキーマ建築計画が今年で設立から27年を迎えることを記念し、同事務所がこれまで手掛けたさまざまなプロジェクトのスタディで用いたサンプルや家具などを展示し、「LLOVE HOUSE ONOMICHI」の空間を通して建築におけるさまざまな「半建築」の可能性を模索し、提示する。
同事務所出身者や現在のスタッフ約40名による「活動報告会」も一般公開予定。
長坂 常 Photo: Yuriko Takagi
前期会期:2025年10月4日(土)〜10月13日(月・祝日)
後期会期:2025年11月22日(土)〜11月30日(日)
※前後期を通して展示替えなし
※10月4日(土)~5日(日):スキーマ建築計画出身者と現スタッフ約40名による「活動報告会」実施予定
会場:LLOVE HOUSE ONOMICHI
所在地:広島県尾道市東土堂町8-28(Google Map)
出展建築家:長坂 常+スキーマ建築計画
スキーマ建築計画〈LLOVE HOUSE ONOMICHI〉(Photo: Ryo Takatsuka) www.llovehouse.org/
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:
尾道には、国宝や重要文化財に指定されている古建築から、最新の現代建築、あるいは名もなき建物まで。街の日常生活の中に様々な時代の建築が溶け込んでいる。なかでも写真家の高野(こうの)ユリカは、「うつし」の建築に焦点をあて、浄土寺や茶園・爽籟軒など、尾道の建築をみずみずしく写し出す。かつて尾道で⽣活をしていた⼈たちの視線に倣い、ここからまた百年先に向けて「うつし」ていくように。私たち⾃⾝が「うつす」からだとなって、尾道の建築の語りを試みる展示となる。
高野(こうの)ユリカ
会期:2025年10月4日(土)〜11月3日(月・祝)
会場:まちなか文化交流館(Bank)
所在地:広島県尾道市土堂1丁目8-3(Google Map)
出展作家:高野ユリカ
撮影場所(予定):浄土寺、西國寺、旧土堂小学校、林芙美子記念館、明喜庵(豪商・橋本家別邸内「待庵」うつし)
まちなか文化交流館(Bank) ⒸNaotake Maeda
尾道市ウェブサイト施設案内ページ www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/7/62836.html
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:大阪を拠点に活動する UMA /design farm(ユーエムエー・デザインファーム|代表:原田祐馬)は、メンバーが尾道を訪れた際、インドのスタジオ・ムンバイ(代表:ビジョイ・ジェイン / Bijoy Jain)が手掛けた〈LOG(ログ)〉の設計コンセプトとそれを具現化した現地スタッフの思いに触れ、目には見えない、場が発する「声」をデザインで表現できないかと考えたという。本展では、LOGの建築が発する「声」を記したハンドアウトをガイドとして用意。ビジョイ・ジェインの哲学や日本・インド両国の職人のこだわり、LOGが大切にしていること、これまでのLOGの取り組みなどを紹介する。
ビジョイ・ジェイン(スタジオ・ムンバイ) Photo: Tetsuya Ito
UMA /design farm メンバー
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
会場:LOG
所在地:広島県尾道市東土堂町11-12(Google Map)
出展建築家・作家:スタジオ・ムンバイ / ビジョイ・ジェイン、UMA /design farm
LOG 正門 Photo: Tetsuya Ito www.l-og.jp/
LOG(ログ)外観 Photo: Tetsuya Ito
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
企画概要:京都を拠点に活動する、一般社団法人けんちくセンターCoAK(主宰:川勝真一)のキュレーションのもと、日本の若手建築家がつくった冊子「ZINE」や希少な建築系のヴィジュアルブックを集めて展示。一部は販売もあり。
ZINE イメージ(提供:けんちくセンター CoAK
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
会場:ONOMICHI U2
所在地:広島県尾道市西御所町5-11(Google Map)
出展作家:一般社団法人けんちくセンターCoAK
入場料:無料(チケット不要で入場可)
〈ONOMICHI U2〉外観 撮影:鈴木研一
戦前竣工の海運倉庫を改修、”まちのなかのちいさなまち”をコンセプトに2014年にオープン www.onomichi-u2.com/
▶︎▶︎▶︎ 主な展示プログラム INDEXに戻る
※アネックス会場での企画・展示やそのほか関連プログラム、トークイベントは、詳細が決まり次第、「ひろしま国際建築祭2025」公式ウェブサイトなどにて発表
※上記のほか、「ひろしま国際建築祭2025」開催期間中、広島市と呉市を中心に展開される「ひろしまたてものがたりフェスタ」(実施日:2025年11月7・8・9日、15・16日)との連動企画も予定
「ひろしまたてものがたりフェスタ」公式ウェブサイト
https://tatefesta.info/
「ひろしま国際建築祭2025」ポスター 3点のデザインについて
戦後80年という節目の年に行われる「ひろしま国際建築祭2025」では、焼け野原から「建築」の力も借りて復興を遂げてきた日本の姿と、平和の象徴でもある建築家・丹下健三の代表作の1つ〈広島平和会館原爆記念陳列館〉の写真を基軸に、過去·現在· 未来という3つの時間を建築で「つなぐ」構成となっている。
「過去」のイメージは、写真家·石元泰博が撮影した〈広島平和会館原爆記念陳列館〉のモノクローム写真を用い、「現在」の姿は尾道のホテル〈LOG〉の内観写真を、「未来」のヴィジョンを表すヴィジュアルには、2015年にNASAが主催した火星居住コンペで1等を獲得した、米国・ニューヨーク拠点の建築ファーム・Clouds Architecture OfficeのCGを用いて展開している。(プレスリリースより)
「ひろしま国際建築祭 2025」ポスター(デザイン:UMA /design farm)
「ひろしま国際建築祭 2025」ポスター(デザイン:UMA /design farm)
「ひろしま国際建築祭 2025」ポスター(デザイン:UMA /design farm)
「ひろしま国際建築祭2025」公式ウェブサイト
https://hiroshima-architecture-exhibition.jp/
公式SNS
https://x.com/Hiroshima_Arch
https://www.facebook.com/Hiroshima.Architecture.Exhibition/
https://www.instagram.com/hiroshima_arch_exhibition/