11月は、建築と人、自然と都市の関係を見つめ直すイベントが各地で開催されます。素材の可能性を探る展示から、身体や植物を通じて環境を感じるインスタレーション、都市の人間味を問い直す講演まで。スケールも手法も異なる5つの試みが、建築の“いま”を立体的に描き出します。秋の街へ、建築の息づかいを感じに出かけてみませんか?
麻布台ヒルズを手がけた建築家・トーマス・ヘザウィック氏によるトークイベントが開催されます。本イベントは、著書『HUMANISE 建築で人間味のある都市をつくる』発売を記念おこなわれるもので、モデレーターに門脇耕三氏を迎え、「均質化した現代都市はなぜ生まれ、建築はいかに人間味を取り戻せるのか」を語ります。プロジェクト事例を交えながら、“ヒューマナイズ”の具体的手法と都市再生への視点を提示します。
『HUMANISE 建築で人間味のある都市をつくる』日本語版刊行記念 トーマス・ヘザウィック氏講演会
会期:2025年11月20日(木)
エリア:麻布台ヒルズ Hills House 大階段
建築家・荒川修作氏とマドリン・ギンズ女史が構想した、身体と環境を結びつける実験的空間が30周年を迎えます。今回の記念展では、現代美術家・大巻伸嗣氏と音楽家・evala氏によるインスタレーションや、ダンスカンパニー・Neon Danceのパフォーマンスが展開。「天命反転」の思想を軸に、身体と空間が響き合う場を通じて、生の可能性と新たな視点を提示します。
養⽼天命反転中! Living Body Museum in Yoro
会期:2025年10⽉25⽇(⼟)〜11⽉17⽇(⽉)
会場:養老天命反転地(養老公園)
日建設計「暮らしのアイデア55展」では、55年にわたる集合住宅設計の知見を基に、「変化する暮らし」に応える住まいのアイデアを提示しています。可動式家具や国産材を使ったリビングシステム、「自在区 ZIZAIKU」による間取りの可変性など、模型や映像を通じて“住まいが学び、変化する器”という新しい視点を体感できます。
暮らしのアイデア55展
会期:2025年10月7日(火)~ 2025年12月5日(金)
会場:日建設計東京ビル1・2F
暮らしの変化に寄り添う、住まいのかたち。日建設計「暮らしのアイデア55展」 [Report]55年の知と経験から見つめる“これからの暮らし”のデザイン
テーマ「Brave〜本能美の追求〜」のもと、建築・デザイン・ファッションが東京の街を舞台に交錯します。注目は、香港発の建築設計事務所COLLECTIVEが演出する渋谷拠点「DESIGNART GALLERY」ほか、18点の写真で都市と身体の関係を写し取る ZENの作品や、3Dプリンタ技術×金属素材による実験的展示など、多彩な視点が集積。街を巡る体験として、建築思考を刺激する必見のイベントです。
DESIGNART TOKYO 2025
会期:2025年10月31日(金)~ 2025年11月9日(日)
エリア:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・銀座・東京
「いっしょに散歩しませんか?」をテーマに、東京の街角を舞台とした全38名のアーティストによるアートプロジェクトが展開されます。本芸術祭は、江戸時代から続く町の文化・信仰・暮らしの“基層”を掬い上げ、都市そのものに問いを立てる場として設計されました。15カ所以上にわたる会場では、歴史的建築と現代アートの交錯が日常の延長線上で起きています。展示・ワークショップ・トークが通りの延長線上に自然発生し、都市と人の往復を設計する新しい芸術祭です。
東京ビエンナーレ2025
会期:2025年10月17日(金)〜 2025年12月14日(日)
エリア:上野・御徒町、神田・秋葉原、大手町・丸の内・有楽町、日本橋・馬喰町、八重洲・京橋
木造建築を支えてきた植物素材と匠の技に焦点を当てる展覧会です。スギ・ヒノキ・マツといった構造材から、ススキ・ヨシによる茅葺、畳のイグサまで、多種多様な植物が、構築のプロセスを通じて浮かび上がります。大型木組み模型や葺き替え構造の展示を通して、伝統建築の手しごとを建築学・植物学の両視点から解読。自然循環と建築技術の融合を実感できる、貴重な機会です。
植物×匠 めぐるいのち、つなぐ手しごと
会期:2025年10月11日(土)〜2025年12月14日(日)
会場: 竹中大工道具館1Fホール
20代から40代のデザイナー、アーティスト、建築家など、次代を担う11組のクリエイターによる展覧会。デジタル技術や環境問題など、変化する社会の中で彼らは素材や機能、身体性に多角的な視点で挑みます。布を切ることで柄を変えるテキスタイル、建築部材を再構築した椅子、体にまとう新素材の組子など、創造の枠を軽やかに越える作品が並びます。柔軟な発想と実験精神に満ちた、デザインの“冒険”に出かけてみませんか。
DESIGN with FOCUS デザイナーの冒険展
会期:2025年11月8日(土)〜2026年1月25日(日)
会場: 富山県美術館
このほかにも、『TECTURE MAG』ではさまざまなイベント情報を紹介中です(随時更新)。お見逃しなく!
参照元:株式会社草思社リリース、養老天命反転地ウェブサイト、東京ビエンナーレ公式サイト、植物×匠 めぐるいのち、つなぐ手しごとイベント公式サイト
トップ画像:©︎養老天命反転地、©︎草思社