福岡市博多区にあるTAIYA SPACE(タイヤスペース)にて、博多の夜を彩る「屋台」に関する企画展示とイベント「屋台リサーチプロジェクト展 今夜、屋台であいましょう!」が2月14日より開催されます。
主催者メッセージ
博多の街の風景として親しまれてきた屋台群。その多くは、約40年前から福岡にある工房・赤城製作所[*1]によって制作されてきました。
赤城式屋台は、数十年にわたりほぼ毎日、店主によって牽引され、組み立てられ、営業を重ねてきました。使われ、修繕され、また使われる。その反復のなかで、屋台には店主の手の癖や客とのやりとり、街の変化といった記憶や痕跡が重ねられていきます。昼間は人通りの多い歩道だった場所に、夜になると屋台が現れ、自然と人が集まり、言葉を交わし、食事をする。ひとつひとつの屋台は、一時的でありながら確かな「場」を生み出しています。
無垢の檜材を用い、長年の使用に耐える堅牢な構造と、建具職人の技術を生かした赤城式屋台の端正なつくりは、まるで小さな和風建築のようでもあり、博多の屋台風景に独特の統一感をもたらしてきました。現在、博多の屋台に対して、寸法や設置条件が福岡市の条例で定められています。こうした基準づくりには、赤城製作所の先代の師匠である緒方宇八(天ぷら屋台「玄海屋台」店主)も関わっていたとされ、屋台は制度やインフラ、またさまざまな人々との関係を結びながら、博多の都市空間の形成に影響を与えてきました。現在は赤城孝子氏が業務を引き継いでいるものの、後継者はおらず、赤城製作所による屋台づくりは大きな転換点を迎えています。
赤城製作所 作業風景(画像提供:屋台リサーチプロジェクト) 左から、赤城製作所を率いる赤城孝子氏、松本孝敏氏、下寺孝典氏(建築家、本展企画者のひとり)
本展は、赤城製作所の仕事を起点に、屋台が育んできた人との関係性やふるまい、まちとの関わりを多角的に捉え直すものです。
屋台製作工場や赤城式屋台の実測調査、屋台制作の基準となる「ケンザオ」の資料展示に加え、屋台の実践や関係性そのものを体感できるような展示構成を試み、赤城孝子氏への聞き取りなどを通して明らかになった赤城式屋台の形成過程や特徴を、映像・写真・図面など多様なメディアによって読み解いていきます。
あわせて、屋台のふるまいや関係性そのものを展示空間に一時的にインストールし、プロジェクトメンバーによる屋台営業も行います。さらに、「博多屋台のこれから」をテーマにゲストを招いてのトークイベントや、天神街歩きツアーなどの実践を通して、これからの社会や都市のなかで、屋台のような存在について来場者とともに考えていく「場」をつくり、共有します。主催:屋台リサーチプロジェクト[*2]
「屋台リサーチプロジェクト展」下寺孝典氏による会場構成イメージ(一部変更の場合あり)
*1.福岡市 観光情報サイト「YOKA NAVI」の特集記事(2025年3月11日掲載)によれば、「昭和45年創業の建具店。昭和60年より屋台製作を始める。屋台専門の職人が作る製作所は、福岡では残すところここ一軒のみ。」

会期:2026年2月14日(土)〜2月22日(日)
休場日:2月18日(水)、19日(木)
開場時間:13:00-17:00(昼の部) / 18:00-22:00(夜の部) ※17:00-18:00休場時間あり
※夜の部は屋台リサーチプロジェクトメンバーによるドリンク・軽食販売あり
会場:TAIYA SPACE
所在地:福岡県福岡市博多区美野島1丁目17-5 3F(Google Map)
入場料:無料
主催:屋台リサーチプロジェクト
協力:赤城製作所、屋台屋ぴょんきち、永ちゃん、たかちゃん、花山
助成:公益財団法人 隈科学技術・文化振興会「文化芸術部門研究助成」
*2.屋台リサーチプロジェクト:「屋台リサーチプロジェクト」は、建築家・下寺孝典の呼びかけにより2021年に始動。現代に残る屋台文化を対象に、映像・写真・公的資料・当事者への聞き取りなどを通して多角的に実地調査を行い、今日の社会における公共空間のあり方を探求している
https://www.instagram.com/yatairesearch.project/
※本展関連イベントの最新情報は、下寺孝典氏の個人インスタグラムを参照
https://www.instagram.com/takanori_shimodera/

赤城製作所 作業風景より、奥の人物が下寺孝典氏(画像提供:屋台リサーチプロジェクト)
下寺孝典
建築家
広島県呉市生まれ。京都芸術大学大学院の建築・ランドスケープ領域修士課程を修了後、独立。屋台を専門に「TAIYA(タイヤ)」という屋号のもと、設計、デザイン、製作を行っている。
藏薗悠介
建築リサーチャー
鹿児島県生まれ。2024年より、けんちくセンターCoAKにてアソシエイト。公共建築におけるコミュニティ参加型ワークショップのファシリテーション、美術館での展覧会制作に携わる
兒玉真太郎
地域研究者
1998年千葉県出身、福岡市在住。法政大学文学部地理学科卒業、九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻修了。調査と表現を行き来しながら、自身を含めた人々の動きを見つめ、地域に位置づける。
中谷利明
フォトグラファー・ビデオグラファー
奈良市出身。京都市在住。2015年京都精華大学デザイン学部を卒業後、フォトグラファー・ビデオグラファーとして活動中