FEATURE
藤本壮介が内装をデザイン、チタン製品ブランド
「SUSgallery」の旗艦店が北青山にオープン!【内覧会Report】
FEATURE2020.12.21

藤本壮介が内装をデザイン、チタン製品ブランド「SUSgallery」の旗艦店が北青山にオープン!【内覧会Report】

2020年12月21日初掲
12月22日限定公開動画2本をシェア

日本有数の金属加工の町・新潟県燕市に本社を構える、株式会社SUS(サス)が展開するチタン製品ブランド「SUSgallery(サスギャラリー) 」が、旗艦店となる〈SUSgallery青山本店〉を東京・北青山3丁目に2020年12月17日にオープンしました。

約6年ぶりの"青山回帰"

同ブランドは現在、コレド室町にショップを構えており、都内では2店舗目の出店で、初の路面店となります。かつて、2007年から2014年までステンレス製品を含めたショールームをオープンした時代に遡ると、約6年ぶりとなる念願の「青山回帰」となります。

オープンに先立つ12月15日に開催された内覧会を【TECTURE MAG】では取材。店舗のコンセプトと、その根底にあるプロダクトの魅力についてレポートします。

職人技による唯一無二のプロダクト

同ブランドを代表するプロダクトの1つが、二重構造をもつ真空チタンタンブラーです。「まほうびん」と同じ構造で、抜群の保温・保冷性能を誇ります。例えば、冷たいドリンクに氷を入れても表面は結露せず、逆に温かいコーヒーや茶は冷めにくい。持つ手はその冷温をほとんど感じません。

店内にて

これらの優れた機能に加え、2007年のブランド設立以来、ピュアチタンの創造性を追求するSUSgalleryならでは特筆点として、工芸品のような美しさがあります。表面につけられた微細な加工は、熟練の職人が研磨したもので、同じ品は2つと生まれません。工業製品であると同時に、ひとつひとつがアートピースのような存在感を放っています。

店内には、その二重構造を含め、板状のチタンから真空チタンタンブラーが完成するまでの工程が段階的にわかるサンプルも展示されています(研磨や溶接で熟練の技が必要なことから、公表してもヨソではつくれないというものづくりへの自負を示した展示です)


#SUSgallery Official「SUS ImageMovie Longver v3」(2020/12/21)

内装デザインは藤本壮介建築設計事務所

店舗の内装デザインを手がけたのは、建築家の藤本壮介氏(藤本壮介建築設計事務所代表)。藤本氏がかつて内装を手がけたショップでのマテリアルの使い方などを見て、今回の店舗デザインを依頼したとのこと。

「SUSの技術や工場の雰囲気、伝統や歴史なども見せられる場所にしたい」という要望を受けて、藤本氏は燕市にあるSUSの本社と工場を訪れ、製造のプロセスなどを見学。その技術の高さ、さらには職人が使っている道具類の美しさにも感銘を受けたと言います。[*1]
*.SUSが藤本氏に行ったインタビュー動画、および内覧会時に配布された青山本店パンフレットより

So Fujimto

©David Vintiner

プロダクトと、その背景にあるものをみせる

藤本氏曰く、完成品は「かたちの原型(プリミティブ)のような、かつ、テクスチャーや色味が絶妙に多彩」で、「シンプリシティと多様さが鮮やかに融合」したもの。1つのタンブラーが生み出されるまでには、いくつもの工程があり、背景には継承されてきた歴史があります。そんな、プロダクトの背景にあるものを空間でデザインし、店舗を訪れた人にそのストーリーを感じ取ってほしいという、青山旗艦店における「体験型」というコンセプトはこうして生まれました。
完成したのが、壁全体を棚で構成し、博物館ないし美術館(ミュージアム)のような静謐な空間です。


#SUSgallery Official「SUSgallery × 藤本壮介」(2020/12/21)

静謐なモノトーン空間

店舗は入り口側を除いて3方全てが棚。かつ、天井は全面鏡張り。上へ上へと棚が延びていきます。

壁は黒、床の大判タイルはグレー、中央に据えられたカウンターの天板は白と、什器はモノトーンでまとめられ、プロダクトの美しさを引き立てます。計算された照明の光とあいまって、藤本氏の訴求どおりの空間となっています。

体験全体を空間でデザインする

博物館や美術館と異なり、直販も行うショップでは、購入を誘導するデザインも必要です。その第一歩は、手にとって、プロダクトに触れるところから始まります。さすれば、金属のイメージからかけ離れたその軽さに驚くことでしょう。続いて、特殊な加工が施された表面の微細な美しさを手の中で味わいたくなります。どのようにつくられているのかと問えば、店のスタッフが答えてくれます。

人々が集い、プロダクトと出会うシーンの真ん中に、藤本氏がしつらえた、白い天板の展示カウンターが存在しています。プロダクトとしての良さを体感として伝え、理解してもらうことが、手に入れたいという行動につながると藤本氏は考えています。

青山本店限定の新商品もデビュー

青山本店のオープンを記念して、最も加工が困難な表面仕上げで内側に微細な発色をもつ商品群を「Prism」と名付け、青山本店限定品として発売しています。

「Prism」

「Prism」は、見る角度によって、さまざまな表情を見せるプロダクトです。色は塗布ではなく、光の屈折率の違いからくるもので、研磨された金属の表面が発する色です。カラーバリエーションは5色、サイズも5タイプを展開。1月31日までの期間限定ですが、在庫が無くなり次第、販売終了となりますので、購入はお早めに。(en)

撮影:ナカサアンドパートナーズ
撮影:ナカサアンドパートナーズ
撮影:ナカサアンドパートナーズ

〈SUSgallery青山本店〉

所在地:東京都港区北青山3-9-7 表参道N&Nビル1F
店舗面積:100.79m²
設計:藤本壮介建築設計事務所
内装施工:バウハウス丸栄
オープン日:2020年12月17日(木)
営業時間:平日12:00-20:00、土日祝11:00-20:00
休業日:月曜(月曜が祝日の場合は開店して翌日火曜休)、年末年始

SUSgallery
https://www.susgallery.jp

SUS inc.
https://sus-inc.com/

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

藤本壮介建築設計事務所 TOPICS

CULTURE2020.07.13

藤本壮介氏が「大阪・関西万博」会場デザインプロデューサーに就任

各テーマ事業のプロデューサーは福岡伸一、落合陽一ら8名を発表 Sou Fujimoto ©David Vintiner
CULTURE2020.09.21

藤本壮介、永山祐子らがデザインチームに参加

「東京駅前常盤橋プロジェクト」概要を三菱地所が発表
CULTURE2021.11.05

飛騨高山大学(仮称)本校キャンパスを藤本壮介氏が設計

学長候補に宮田裕章氏が就任、2024年4月開校予定
CULTURE2021.10.27

10 Reasons to Visit the 〈House of Hungarian Music〉 designed by Sou Fujimoto in Hungary

藤本壮介がハンガリーに設計した〈House of Hungarian Music〉を訪れるべき10の理由
FEATURE2022.09.27

藤本壮介インタビュー:響き合い進化するプロジェクト

現地視察から3カ月で〈NOT A HOTEL ISHIGAKI〉の基本デザインが決まるまで
CULTURE2023.05.13

藤本壮介氏が設計した太宰府天満宮の仮殿が完成

御帳と几帳のデザインをMame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)が担当

藤本壮介建築設計事務所 TOPICS(取材記事)

FEATURE2021.06.05

[Special Report] "SHIROIYA HOTEL"

藤本壮介、レアンドロ・エルリッヒらによる奇跡のコラボレーションで再生された〈白井屋ホテル〉現地レポート
FEATURE2022.09.27

藤本壮介インタビュー:響き合い進化するプロジェクト

現地視察から3カ月で〈NOT A HOTEL ISHIGAKI〉の基本デザインが決まるまで
CULTURE2023.11.21

藤本壮介がデザインした〈西参道公衆トイレ〉内覧会

[Report]真っ白な器(うつわ)は都会の水場に。THE TOKYO TOILETプロジェクトの最後を飾る17カ所目のトイレ

店内の照明を担当したDNライティング TOPICS

COMPETITION & EVENT2023.01.31

DNライティング「新商品発表オンライン展示会」2/7オープン

LEDの空間演出はここまで可能に! DNLが東京と大阪で開催したリアル展示会をオンラインで体験しよう!
  • TOP
  • FEATURE
  • REPORT
  • 藤本壮介が内装をデザイン、チタン製品ブランド「SUSgallery」の旗艦店が北青山にオープン!
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ