昨年もTECTURE MAGでは200件近くの海外プロジェクトを取り上げてきました。
本記事では、その中でもPV(ページビュー)の多かったプロジェクトTOP10を紹介します!
(トップ画像:〈ペーパーアート美術館〉BIG, Image by Wizarch)
No.10
3種の半透明な膜が包む山のようなアートセンター
Flickering Peak / ウートピア・ラボ
中国の海南省万寧市に建つ〈Flickering Peak〉は、敷地であるコーヒー農園の紡いできた歴史と奇跡を象徴する、ランドマークとしてのアートセンターです。
敷地内の建物群に埋もれてしまわないよう、外壁から切り離された半透明な白い膜が建物を包み込み、膜の透過率が上部に向かうほど高くなることで山のような外観をつくり出しています。
No.9
紙のような屋根が古い建物の上に浮かぶ美術館
ペーパーアート美術館 / BIG
〈ペーパーアート美術館(Museum for Papirkunst)〉は、BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)が発表した、デンマークに建つスーパーマーケットをペーパーアート専門の美術館へと改修するプロジェクトです。
ペーパーアートを象徴する1枚の紙のようにデザインされた新たな屋根が、既存の建物に覆いかぶさりつつ周囲に新たなスペースを生み出し、新しいものと古いものを1つ屋根の下に統合します。
No.8
中国の「陶都」の文化と歴史を反映する 陶器の山のような逆シェル構造の美術館
UCCA陶美術館 / 隈研吾建築都市設計事務所
建築家の隈 研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が設計した〈UCCA陶美術館〉は、陶器の生産地として名高い中国の宜興市に建設された、陶文化を展示する美術館です。
敷地近くにそびえる蜀山や歴史ある龍窯から着想を得た山のようなデザインが特徴的な建築であり、仮想の球面によって削り取られた逆シェル構造の屋根は、四重の木造格子梁が支えています。また、地元職人と共同で開発した、凹凸のある表面や釉薬による色の変化が施された陶板により、陶器らしい温もりを感じられるファサードを生み出しています。
No.7
オーロラのような外皮に包まれたカフェ空間
Uncloud Coffee / Unknown Surface Studio
タイの幹線道路脇に建つ〈Uncloud Coffee〉は、オーロラのような曲線を描く外壁が特徴的なカフェです。
オーロラ状の外壁は交通量の多い道路からの騒音と熱に対するバリアとしても機能しつつ、戦略的に配置された中庭と開口部により、自然光を取り込みつつ周囲に配された緑と一体化した空間をつくり出しています。
オーロラのような外皮に包まれたカフェ空間〈Uncloud Coffee〉Unknown Surface Studio、タイ
No.6
草原のパノラマに包まれて読書にひたる図書空間
Horizon Library / Protoscapes
〈Horizon Library〉は、中国の安徽省(あんきしょう)合肥市(ごうひし)に建つ、三方に面する草原のパノラマを眺めることのできる、ホテルに隣接した図書空間です。
リーディングルームである2階は、片持ち梁となっている3面が草原に向けて突き出しつつ、垂直動線を有する中央のコアから本棚が樹木のように広がり、周囲の景色へと意識を向けるように促します。
No.5
自然のような長大さと優しさを併せもつ環境としての建築
水の美術館 / 石上純也建築設計事務所
石上純也建築設計事務所が設計した〈水の美術館〉は、中国山東省日照市に位置する人工湖を横断する、湖と同じ1kmほどの長さをほこります。湖の水面に触れるように静かに伸びつつ緩やかにうねる屋根による、長大でありながらも優しい自然のような建築です。
同時に建築の内側に湖の水を引き込むことで、建築の内側に湖から連続する水面という新たな自然と、まるで湖面を滑るかのように延びる新たな陸地を生み出しています。
No.4
隈研吾氏が手がけた川に溶け込むミュージアム
V&Aダンディー / 隈研吾建築都市設計事務所
隈研吾建築都市設計事務所がスコットランド北部の都市ダンディーに設計した〈V&Aダンディー(V&A Dundee)〉は、建築の一部を川の中にはり出し、川と建築が1つに融合するミュージアムです。
建物を水平に貫通する特徴的な「孔」は、倉庫街によって分断されていたダンディーの都市とウォーターフロントを再接続し、都市のアクティビティをウォーターフロントにまで引き込んでいます。
No.3
庭園と展示を融合する美術館
アルベール・カーン美術館 / 隈研吾建築都市設計事務所
〈アルベール・カーン美術館(Albert Kahn Museum)〉は、パリ西郊、ブローニュの森の南側に位置する美術館です。設立者であるアルベール・カーンが世界を旅する中で記録した写真とフィルムを中心に展示しており、庭園には日本を含む世界五大陸の庭園が再現されています。
この庭園の園路の延長として展示空間は設計されており、経路と屋外との間に挿入されたアルミと木でできたスクリーンが両者の関係をコントロールし、庭園と展示、環境と建築を融合させた美術館となっています。
No.2
サウジアラビアの島にオープンした、海と砂丘に溶け込むヴィラ群
Ummahat 9-3 / 隈研吾建築都市設計事務所
〈Ummahat 9-3〉は、サウジアラビアのウンマハト・アルシャイフ島の砂丘とその沖合に建つ木造のヴィラ群です。
サンゴ礁に生息する生物から着想した海に浮かぶ渦巻き状の海上ヴィラと、砂丘の形状を反映した、緩やかなカーブを描く屋根が覆うビーチヴィラで構成された建築と環境が溶け合うプロジェクトとなっています。
No.1
音を五感で楽しむ、ンダムなアルミパイプに包まれたミュージアム
オーディウム / 隈研吾建築都市設計事務所
建築家の隈 研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が韓国のソウルに設計した「オーディオ+ミュージアム」を意味する〈オーディウム〉は、視覚的要素だけでなく、音、光、風、香りなど、すべての感覚を体験できるミュージアムです。
建物を包むランダムに立ち並ぶアルミパイプが、森の中の陽光のような美しい効果を演出し、内部へと進むごとに木の空間へと移行していきます。
今年の海外プロジェクト記事も要チェック!
2024年は有名建築家による海外プロジェクトに多くの反響をいただきました。そして2025年は、今年の竣工を予定している有名建築家が手がける建築が多くあります。
日本のものとはまた違った刺激を得られる建築をこれからも取り上げていきますので、海外プロジェクトをどうぞよろしくお願いします!