「TECTURE AWARD」2回目で初の表彰式を開催
専門家の視点と一般の人々の投票によって賞を決める、開かれた空間デザインアワード「TECTURE AWARD 2025」の結果発表と、受賞者への贈賞を行う表彰式が、都内にて3月31日に開催されました。その様子をレポートします。

2026年3月31日に東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLで開催された表彰式の様子
開催2回目となる今年の応募総数は1,033件。専門家で構成されたアンバサダー18組21名による選考を経て選出された「ロングリスト」を対象に、インターネット上で一般投票を実施(1st Round、Final Roundの計2回)。その総得票数をもとに「TECTURE賞」のグランプリをはじめとする各賞が決まります。さらに、テーマ別の「特別賞」3賞と協賛企業による「スポンサー賞」もあわせて発表されました。
表彰式には、1,033作品から選出されたファイナリスト29作品の設計者らが出席。グランプリを含む各賞の受賞者には主催者から通知されず、表彰式で初めて発表されたため、受賞者のコメントはフレッシュで率直な喜びが滲んでいたのが印象的で、参加者の共感を呼びました。
tectureでは、結果発表と同時に公式Xにて速報。ゴールド以下の各賞とスポンサー賞、アンバサダー諸氏がそれぞれ選出したアンバサダー賞まで、全ての賞を「TECTURE AWARD」特設サイトにて即日に公表しています。
INDEX
・グランプリ受賞作品:酒井建築事務所〈奄美大島の家〉 ▶︎▶︎見る
・酒井一徳氏(酒井建築事務所取締役)受賞コメント ▶︎▶︎読む
・TECTURE賞 GOLD(建築部門 / インテリア部門 各1)受賞作品 ▶︎▶︎見る
・TECTURE賞 SILVER(建築部門 / インテリア部門 各1)受賞作品 ▶︎▶︎見る
・TECTURE賞 BRONZE(建築部門 / インテリア部門 各1)受賞作品 ▶︎▶︎見る
・特別賞 ▶︎▶︎見る
・アンバサダー賞 受賞作品 ▶︎▶︎見る
・スポンサー賞 受賞作品 ▶︎▶︎見る
・スポンサー展示、表彰式終了後の懇親会 盛況の様子 ▶︎▶︎見る
・主催者コメント ▶︎▶︎見る
・「TECTURE AWARD 2025」開催概要 ▶︎▶︎見る
ファイナリスト28作品で最も支持を集めたグランプリは、鹿児島・奄美大島に拠点を構える酒井建築事務所が設計した〈奄美大島の家〉です。同作品はアンバサダー賞(石川悠介賞、谷尻 誠賞)も受賞しています。
同事務所は、同じく奄美大島で設計した〈報恩寺納骨堂〉でもファイナリストに選出されており、グランプリに次ぐGOLD(ゴールド)を建築部門で獲得、さらに特別賞3賞のうちサステナブル賞にも選ばれました。
グランプリ受賞作品:酒井建築事務所〈奄美大島の家〉

グランプリ受賞作品:酒井建築事務所〈奄美大島の家〉 撮影 : 石井紀久
酒井一徳氏 受賞コメント
酒井建築事務所を代表して表彰式に出席した酒井一徳氏は、〈奄美大島の家〉と〈報恩寺納骨堂〉で計5つの受賞となったことについて、次のように語っています(以下、授賞式での発表順に紹介)。
酒井氏は奄美大島の出身で、〈奄美大島の家〉は自邸でもあります。離島での暮しと設計活動の難しさについても言及がありました。
TECTURE賞 GOLD(建築部門)・サステナブル賞受賞作品〈報恩寺納骨堂〉について
「この納骨堂は、奄美大島の南部、瀬戸内町にあります。奄美大島の人々は、月に2回、旧暦の1日と15日にお墓参りに行く習慣があります。先祖の霊に感謝し、ともに歩む生活を昔から送っている。でも、お墓があるのは山裾で、島は雨天も多いため、高齢者が月に2回通うのはなかなか大変です。そんな現実を踏まえ、『単なる納骨堂ではなく、町の人たちのよりどころとなり、フレキシブルでオープンな使い方ができるような場にしたい』という報恩寺ご住職の思いを受けて設計しました。今日は住職さんと一緒に島から来ました。とても嬉しい受賞です。選んでくださった皆さんと関係者の方々に御礼申し上げます。」
※作品の外観など詳細は後述
グランプリ、アンバサダー賞(石川悠介賞、谷尻 誠賞)受賞作品〈奄美大島の家〉について
「〈奄美大島の家〉は自邸です。日本は今、少子高齢化などで過疎化が進み、2040年には900近い自治体が消滅すると言われています[*]。さらには社会の分断、パンデミックや自然災害の発生などが不安視される中で、実験的な小屋のような自邸を建てる計画を今から6年ほど前に立てました。その2年後に奄美大島で土地を山ごと購入したのですが、人が暮らすためのインフラはない。さらには奄美大島は日照時間がとても短く、太陽エネルギーの確保が難しい土地です。設計に際し、相談した先々で、そんなところで自給自足のような生活を始めるのは無理だとも言われました。最初の半年は停電もあり、大変でしたが、エネルギー効率を常に考えながら、自然と調和した、快適に過ごせる住まいを目指して、試行錯誤しながら、ようやく最近、どうにか暮らせるようになってきたところです。僕は、離島は日本社会の縮図と捉えています。さまざまな課題がみえる最先端が離島なのではないか。事務所は父とスタッフの3名だけで、求人を出しても集まりません。このアワードに応募したのは、作品が認知されることで、若い設計者を含めたいろんな人に関心をもってもらい、島にも来てもらって、そして一緒にこの島を盛り上げていければという思いがありました。だから今回のグランプリ受賞は本当に嬉しいです。ありがとうございました。」
*.2040年問題:日本創生会議・人口減少問題検討分科会が2014年に行なった提言、「2040年には896の市区町村において若年女性(20-39歳)人口が半分以下となり、これらの市区町村は消滅する可能性がある」と推計されている

受賞作品について語る酒井一徳氏
「沖縄と鹿児島のあいだにある奄美大島は台風によく見舞われるものの、昨夏はエアコン要らずで過ごせた」と酒井氏が語ると、場内の参加者からは驚き混じりの感嘆が漏れ、「奄美大島は避暑地なんです、皆さんぜひ島に遊びに来てください」と酒井氏が続けると、場内は和やかな笑いに包まれました。
酒井一徳(さかい かずのり)プロフィール
一級建築士。1982年鹿児島県奄美大島生まれ。2005年広島大学工学部第四類卒業。2011年フロリダ大学院建築修士号取得。東京にてアトリエ系設計事務所勤務ののち、父の酒井 萃が代表取締役を務める酒井建築事務所に所属。2013-2018年一般社団法人Shall we Design 代表を務める。
https://sakaiarchitects.com/
TECTURE賞 GOLD(ゴールド)

酒井建築事務所〈報恩寺納骨堂〉 撮影 : 石井紀久
GOLD 建築部門
酒井建築事務所〈報恩寺納骨堂〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/6701

クル〈KURUTO〉 撮影 : 河田弘樹
GOLD インテリア部門
クル〈KURUTO〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/6624
TECTURE賞 SILVER(シルバー)

青木真研究室〈緑の家〉 撮影 : 日吉祥太
SILVER 建築部門
青木真研究室〈緑の家〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/6929

shirotokuro〈DAIKI〉 撮影 : 見学友宙
SILVER インテリア部門
shirotokuro〈DAIKI〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/7494
TECTURE賞 BRONZE(ブロンズ)

ADX〈MIRU AMAMI〉 Photo: Satoshi Kondo
BRONZE 建築部門
ADX〈MIRU AMAMI〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/5824

AAAA〈Red Earth Clinic〉 Photo: YASHIRO PHOTO OFFICE
BRONZE インテリア部門
AAAA〈Red Earth Clinic〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/7028
TECTURE賞 特別賞
「TECTURE AWARD 2025」では、TECH(テック)、SUSTAINABLE(サステナブル)、U-35(35歳以下)の3つのテーマにおいて、最も得票数が多かった作品にも、それぞれ特別賞を贈っています。

三菱地所設計〈The Warp〉 Photo: Dua Photography Studio / Mitsubishi Jisho Design
TECH賞
三菱地所設計〈The Warp〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/7238

酒井建築事務所〈報恩寺納骨堂〉 撮影 : 石井紀久
SUSTAINABLE賞
酒井建築事務所〈報恩寺納骨堂〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/6701

parkERs〈兜町に伝播する “黄色い” パブリックスペース『ki-ten』〉 撮影:パーク・コーポレーション / 木村雄司
U-35賞
parkERs〈兜町に伝播する “黄色い” パブリックスペース『ki-ten』〉
作品詳細
https://www.tecture.jp/projects/7165
アンバサダー賞
手塚貴晴+手塚由比 賞 ※表彰式には貴晴氏が出席
STUDIOMONAKA〈さちばるビレッジ〉
https://www.tecture.jp/projects/6405
窪田 茂 賞
ANONIMAL design community〈CENE FUKUOKA〉
https://www.tecture.jp/projects/7156
徳山弘基 賞
永冶建築研究所+dddessin〈アイコットリョーワ本社オフィス〉
https://www.tecture.jp/projects/6804
太刀川英輔 賞
ADX〈MIRU AMAMI〉
https://www.tecture.jp/projects/5824
山根脩平賞
PERSIMMON HILLS architects〈小屋を被るビル〉
https://www.tecture.jp/projects/7266
倉本 仁 賞
Creative Studio Unravel〈Mardi Mercredi Daikanyama〉
https://www.tecture.jp/projects/4563
赤松佳珠子 賞
Studio Dot〈Agrocel, Dhordo – Factory Canteen〉
https://www.tecture.jp/projects/7207
高橋寿太郎 賞
インクアーキテクツ〈ハイツ自然園リニューアルプロジェクト〉
https://www.tecture.jp/projects/5804
石川悠介 賞
酒井建築事務所〈奄美大島の家〉
https://www.tecture.jp/projects/6671
谷尻 誠 賞
酒井建築事務所〈奄美大島の家〉
https://www.tecture.jp/projects/6671
成瀬友梨賞 ※表彰式では司会者がメッセージ代読
INI Design Studio〈Palitana Rangmandap: Sacred Shelter and the Architecture of Restraint〉
https://www.tecture.jp/projects/6515
佐藤可士和 賞 ※表彰式にはビデオメッセージにて参加
saiku〈and father〉
https://www.tecture.jp/projects/7555
鈴木健一郎賞
YOUBI〈滑床ビジターセンター万年荘〉
https://www.tecture.jp/projects/6876
山下正太郎賞
NOT A HOTEL〈NOT A HOTEL OFFICE〉
https://www.tecture.jp/projects/6785
クライン ダイサム アーキテクツ賞
NKS2 architects〈吉富のレストラン〉
https://www.tecture.jp/projects/7047
大野 力 賞
NKS2 architects〈吉富のレストラン〉
https://www.tecture.jp/projects/7047
羽鳥達也 賞
NKS2 architects〈吉富のレストラン〉
https://www.tecture.jp/projects/7047
齋藤精一 賞 ※表彰式にはビデオメッセージにて参加
東京大学生産技術研究所今井研究室〈伊豆市津波避難複合施設 テラッセオレンジトイ〉
https://www.tecture.jp/projects/5048
スポンサー賞 受賞作品
“開かれたアワード”を謳う「TECTURE AWARD」は、エントリー作品はいずれも建築プラットフォーム「TECTURE」に登録されているため、一般投票の際、投票者が作品の設計コンセプトや背景だけでなく、空間を構成する建材やインテリア商材などもあわせて確認できるのが、ほかのアワードにはない特筆点です。
本アワードの協賛企業のうち、ゴールドスポンサー9社が、自社のプロダクトが採用されているエントリー作品の中から3作品をそれぞれ選出し、スポンサー賞を贈っています。

ゴールドスポンサー9社 ロゴ・マーク
ABC商会賞
ミギリデザイン〈Salon du Vin IVRESSE〉
https://www.tecture.jp/projects/7151
A.N.D.〈THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection〉
https://www.tecture.jp/projects/6870
dot studio〈高岡向陵高校〉
https://www.tecture.jp/projects/7535
朝日ウッドテック賞
依田英和建築設計舎〈T-HOUSE〉
https://www.tecture.jp/projects/5061
GEN INOUE〈SEA-LIFE TSURIGASAKI〉
https://www.tecture.jp/projects/5768
MAP〈里山だった場所と融合する家〉
https://www.tecture.jp/projects/7493
ダイナワン賞
タカラスペースデザイン〈OmShantiS〉
https://www.tecture.jp/projects/7468
タット・プラン&T〈大阪市浪速区幸町プロジェクト〉
https://www.tecture.jp/projects/7232
MOAI〈八十八 渋谷〉
https://www.tecture.jp/projects/6760
ユニオン賞
田井勝馬建築設計工房〈通り庭の家〉
https://www.tecture.jp/projects/7058
Roito〈TATSUMI〉
https://www.tecture.jp/projects/7400
ARTE-1 ARCHITECTS〈VILLA BIG SKY〉
https://www.tecture.jp/projects/7414
グローエジャパン賞
PORTLOUNGE ARCHITECTS〈T1904〉
https://www.tecture.jp/projects/7237
オーガニック・スタジオ〈家族の「好きなこと」を見つけた家〉
https://www.tecture.jp/projects/7593
田井勝馬建築設計工房〈天空のVilla -Infini-〉
https://www.tecture.jp/projects/6939
アイカ工業賞
and to 建築設計事務所〈Grove Strolling Corridor〉
https://www.tecture.jp/projects/6057
WANKARASHIN〈五島つばき蒸溜所 第一期工事・第二期工事〉
https://www.tecture.jp/projects/7503
タイコーアーキテクト〈穏の家〉
https://www.tecture.jp/projects/7162
日鉄鋼板賞
kyma〈輪島仮設コミュニティセンター〉
https://www.tecture.jp/projects/7374
BAUM〈カトウ打刃物製作所〉
https://www.tecture.jp/projects/7041
三日月アーキテクツ〈House Y〉
https://www.tecture.jp/projects/7267
ミラタップ賞
Horibe Associates〈private villa ten -KUMANO-〉
https://www.tecture.jp/projects/6837
ALTS DESIGN OFFICE〈別所の家〉
https://www.tecture.jp/projects/6811
KELUN〈凸と凹〉
https://www.tecture.jp/projects/6499
エヌ・シー・エヌ賞
SUEP.+永瀬智基建築設計事務所〈MORI no KI TERRACE〉
https://www.tecture.jp/projects/7250
KADO一級建築士事務所〈木の構造が支える、変化に応えるOFFICE〉
https://www.tecture.jp/projects/7167
タイコーアーキテクト〈FLOOR鶴見〉
https://www.tecture.jp/projects/7127
スポンサー展示、表彰式終了後の懇親会 盛況の様子
主催者コメント
※本稿に掲載した表彰式当日風景はすべて ©︎TECTURE & TECTURE MAG
Texed by Naoko Endo
「TECTURE AWARD 2025」開催概要
応募期間:2025年11月21日(金)~2026年1月20日(火)
応募総数:1,033作品
応募資格:2024年1月〜2025年12月に竣工した建築・インテリアのプロジェクト
対象部門:建築部門、インテリア部門
賞の構成:
GRAND PRIX(グランプリ、1作品)
部門賞(建築、インテリアの2部門で各1作品):GOLD / SILVER / BRONZE
特別賞(各1作品):TECH賞 / SUSTAINABLE賞 / U-35賞
アンバサダー賞(18作品)
スポンサー賞(9社各3作品)
選考の流れ:3段階方式
アンバサダーによる選考 → ロングリスト選出
一般投票(1st Round)→ ファイナリスト28作品を選出
一般投票(Final Round)→ 各賞を決定
アンバサダー:18組21名
「TECTURE AWARD」特設サイト
https://award.tecture.jp/
ハッシュタグ:#TECTUREAWARD2025

