北海道旭川市の木製家具メーカー・カンディハウスから、シンプルなデザインながら、細部にまでこだわりが見られる家具シリーズ〈JINGU(ジングウ)〉が今秋発売されました。
アイテムは、アームチェアー、アームレスチェアー、スツール、チェアーのためのクッション、サイドテーブル、ハイアームチェアー、ハイチェアー、ハイスツール。
デザインを、トネリコ(TONERICO:INC.)の米谷ひろし氏が手がけています。
米谷ひろし氏プロフィール
Yoneya Hiroshi
1968年生まれ。1992-2002年まで内田繁のスタジオ80に在籍した後、2002年に君塚 賢、増子由美と共にTONERICO:INC.を設立し、同代表を務める。2017年より多摩美術大学環境デザイン学科教授。
建築、インテリアから家具、プロダクトに至るまで多岐にわたり活動し、国内外で定期的にコンセプチュアルな作品を発表している。代表作に、アーティゾン美術館、銀座 蔦屋書店、上海上生新所 蔦屋書店、LOFTにおける店舗開発、青山見本帖、MEMENTO、KYOBASHIなどがある。
主な受賞に、ミラノサローネサテリテデザインリポートアワード大賞、JCD デザイン賞金賞、JID賞、日本空間デザイン賞金賞など多数。
家具シリーズ〈JINGU(ジングウ)〉は、トネリコがこれまでに、中国・上海の〈上海上生新所 蔦屋書店〉など、国内外の書店やホテルのインテリアデザインを手がけた際に、それぞれの空間にあわせて、デザインされた椅子(チェアー)を、細部にわたって再構築し、製品化されたものです。
建築に溶け込む家具が必要とされる場面は多いことから、「建築の一部として
そこに在る家具」をコンセプトとしてつくられたこのシリーズは、装飾的な要素を削ぎ落とした精悍な表情を持ちます。
「基本的なところを吟味した」(米谷氏)というシンプルで直線的なデザインは、どこか和のテイストを感じさせ、連続して並べたときに、圧倒的な美しさを見せます。
米谷ひろし氏からのメッセージ:
〈JINGU(ジングウ)〉という名は、自分と神宮の縁から付けた。事務所のそばには、明治神宮がある。また、旅で伊勢神宮の境内に足を踏み入れたときに感じた心の静けさ、大自然とは異なる神聖な空気は印象深い。
このシリーズに共通する水平垂直な線は、ほどよい太さがあり、人を安心させる雰囲気を醸している。日本的な空間にもきっとフィットするだろう。
家具が建築と一体化すると、そこに人が入ることで初めて場としての性格や役割が見えてくる。そうなることが、空間デザインの理想だと思う。
〈JINGU〉で用いた材は北海道産のタモ。塗装はナチュラルな白木からシックな着色まで7色が用意され、クッションの張り地は、ファブリック49種とレザー29種の合計78種で、幅広いバリエーションが展開されています。
アームチェアー・アームレスチェアー
「座布団や布団のような、無造作感がほしかった」と米谷氏が語るクッション部は、長時間腰掛けていられるよう、モールド発泡ウレタンを併用して細かな調整が重ねられました。木部フレームのスクエア感が空間と同期し、ホテルや店舗、企業のロビーや応接室などにソファーとは異なる「個」のくつろぎの場が生まれます。
サイドテーブル
小ぶりながら、椅子と同じ直線のモチーフで控えめな存在感を示すテーブル。建物に目地を入れるとき熟考するという米谷氏が導き出した、フレームから天板がわずかに浮いて見えるデザインが、効果的に空間と共鳴します。
ハイアームチェアー・ハイスツール・ハイチェアー
ホテルのレストランやバーのカウンターをイメージした椅子。木造建築の柱や梁を思わせる直線で構成され、集合体として置かれたときに建築と一体化した存在感を発揮します。
後ろ姿への視線を意識し、重い印象にならないよう、すっきりとデザインされています。その一方で、背と座はふっくらした表情でクッションもやわらかめ。腰掛ける人の体をやさしく受け止める仕上がりです。
各アイテムの販売価格、カラーバリエーションなどの詳細は、カンディハウスの公式Webサイトを参照してください。(en)
本稿の画像提供:TONERICO:INC.
カンディハウス 公式Webサイト
https://www.condehouse.co.jp/