PROJECT

PROJECT2021.08.26

尾張旭の住宅 / D.I.G Architects

遠景と中庭をつなぐ切通しのある住宅

(English below)

愛知県尾張旭市の古い住宅地に建つ家族4人の住処である。敷地は緩やかな起伏のある高台の頂に位置している。前面道路の向こう側には小さな近隣公園があり、さらに奥には住宅地越しに大きな森林公園の緑と広く開けた空を望むことができる清々しい住環境である。また、この住宅地には法規上の制約から壁面を1mセットバックしなければならないので、それぞれの住宅の隣棟間隔が広く、通りから少し見通しがよいことが特徴だった。

そのような眺望やほどよい見通しのよさを最大限に活かし、敷地と遠くの風景をつなぎたいと考えた。そのためには、隣地境にできる壁面後退による2mの隙間に呼応するように、敷地の真ん中を横断する「切通し」のようなヴォイドがあるべきではないかと考えた。そこで、敷地に2つのボリュームを配置した。2つのボリュームは、居間や子供室のある「賑やかなスペース」と、寝室や客間や水廻りのある「静かなスペース」の2つに対応している。そして、2つのボリュームの隙間は、前庭~通り庭~中庭として、屋外~屋内~半屋外が連続する「切通し」のヴォイドになっている。

「切通し」は、街からすると隣地境の幅2mの隙間空間と並んでいるけれど、人が使うための隙間であり、また伝統的な古い町屋に見られる通り庭よりも少し街に開かれた存在である。つまり、人を迎え入れる門のようでもあり、手前の道路と奥の中庭との視線を大きくつなぐことによって、中庭や玄関越しに人々の気配を外からどことなく感じられる「通りからの余白」ともいえるようなものだ。

住居のなかでいえば、2つのボリュームに分けて切り通すことで用途は分けているようであるが、むしろ「切通し」が2つの特性の異なる住棟同士をつなぎ、中庭と玄関ホールをつなぎ、そして、遠くの景色と室内をつなぐ結び目となる。実際に家族が日々暮らすなかで、中庭に出てくつろぐとき、階段を上るとき、ふと手前の公園に出たかのような感覚を経験する。「切通し」のような緩衝空間があることで、部屋と部屋の間の距離感が少しだけ近くなり、街と部屋との距離感は少しだけ遠くなる。この距離感の些細なズレによって、住まい手は住居の中にいても、周辺の街や緑とともに暮らしていける。(吉村昭範)

A house with a cut that connects the distant view and the courtyard

This is a house for the single-family of 4 people in the old residential area. The site is on a hill and the front-facing of the park. So a broad view spread itself below us. And, according to the restriction of the law, the outside walls step back 1 meter, so because of the wide distance between the houses, we can see so far ahead across the street.

We set the two volumes on the site for the full use of the good view and good location. One is “the lively space” for the living and dining space and children’s rooms, and Another is “the quiet space” for the bedrooms and bathroom. The gap between the two volumes connects the interior space between the garden, and we can see the landscape so far. And the gap could be the comfortable void to the townscape. (Akinori Yoshimura)

【尾張旭の住宅】

所在地:愛知県尾張旭市
用途:戸建住宅
クライアント:個人
竣工:2015年

設計:D.I.G Architects
担当:吉村昭範
構造設計:藤尾篤建築構造設計事務所
造園:GARDEN WORKS園三
施工:誠和建設

撮影:谷川ヒロシ

工事種別:新築
構造:木造
規模:地上2階
敷地面積:293.71m²
建築面積:88.94m²
延床面積:132.84m²
設計期間:2014.10-2015.03
施工期間:2015.03-2015.11

【House in Owariasahi】

Location: Owariasahi-shi, Aichi, Japan
Principal use: Resudential
Client: Individual
Completion: 2015

Architects: D.I.G Architects
Design team: Akinori Yoshimura
Structure engineer: Fujio and associates
Gardening: GARDEN WORKS ENZO
Contractor: Seiwa Construction

Photographs: Hiroshi Tanigawa

Construction type: New building
Main structure: Wood
Building scale: 2 stories
Site area: 293.71m²
Building area: 88.94m²
Total floor area: 132.84m²
Design term: 2014.10-2015.03
Construction term: 2015.03-2015.11

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