2023年12月26日初掲、12月27日会場写真追加
神奈川県・箱根町のポーラ美術館のアトリウム ギャラリーにて、HIRAKU Project Vol.15「大西康明 境の石」展が開催されています。会期は2024年5月19日まで(会期中無休)。
「HIRAKU Project」とは、美術の表現と美術館の可能性を「ひらく」という思いを込めてポーラ美術館が実施しているプロジェクトです。アトリウム ギャラリーで展示される作品を誰でも無料で観覧することができます。
本展では、作家が近年取り組んでいる銅箔を素材とした作品の新作が披露されています。
大学時代に彫刻を学んだ大西は、型取り作業の経験から、ポジとネガの関係性や、ものそれ自体ではなく、その周囲を把握することに関心を持ち、これまで一貫して余白や空洞、体積、境界などをテーマに制作してきました。
本展では、大西が近年取り組んでいる銅箔を素材とした作品の新作を展示します。
銅箔は、多くの電子機器の内部で重要な役割を果たしていますが、人の目に触れることはなく、多くの人はほとんどその存在を意識することもありません。大西は、私たちの日常を裏側から支える銅箔をその機能から離し、河原の石に被せて叩くことによって成型し、大型のインスタレーションへと組み上げていきます。長い時間をかけて地表を移動してきた無数の石の表面には、これまでに削られ磨かれたことによる物理的な喪失と引き換えに、途方もない時間の蓄積と、この地球の記憶が宿っています。大西が生みだす銅箔は、型取り作業を通してそうした不在/存在を提示するとともに、ものごとを認識するためには表層を知るだけでなく想像力を豊かに働かせることが不可欠なこと、あるいは想像力を以てしてもすべてを見通すことはできないことをも、示唆しています。
そこにないもの、見えないものに焦点を当てる大西の作品は、この複雑で多様な世界を、私たちがより自由で柔軟な感覚によって捉えるための助けとなることでしょう。(本展プレスリリースより)
大西康明(おおにし やすあき)プロフィール
1979年、大阪府生まれ。大阪府在住。2001年、筑波大学芸術専門学群美術専攻卒業。2004年、京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2011年度ポーラ美術振興財団在外研修員(イギリス)。近年の主な個展に、「Permeating Landscape」Bellagio Gallery of Fine Art(ラスベガス、アメリカ、2019年)、「reverse of volume」Weber State University, Kimball Visual Arts Center, Mary Elizabeth Dee Shaw Gallery(オグデン、アメリカ、2019年)、「Hidden Landscapes: Yasuaki Onishi」COCONINO Center for the Arts(フラッグスタッフ、アメリカ、2018年)など。
主なグループ展に、「Taoyuan Land Art Festival」Longtan Sports Park(桃園、台湾、2023年)、「SCHLOSSMEDIALE」Schloss Werdenberg(グラープス、スイス、2023年)、「境界を縁どる―石、呼吸、埋立地」福岡アジア美術館(福岡、2022年)、「ART OSAKA 2022 Expanded」クリエイティブセンター大阪(大阪、2022年)などがある。
会期:2023年12月16日(土)〜2024年5月19日(日)
※会期中無休
会場:ポーラ美術館 1Fアトリウム ギャラリー
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285(Google Map)
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料:無料
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
協力:福田金属箔粉工業、アートコートギャラリー
展覧会特設サイト
https://www.polamuseum.or.jp/sp/hiraku-project-15/
※同時開催:「モダン・タイムス・イン・パリ 1925―機械時代のアートとデザイン」※別途入館料が必要
ポーラ美術館 公式ウェブサイト
https://www.polamuseum.or.jp/