建築家の隈 研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が設計した〈東紀州こどもの園〉が竣工、4月2日に開所式が執り行われました。
〈東紀州こどもの園〉は木造平屋の2棟から成り、それぞれが児童養護施設と児童家庭支援センターの機能を有します。なお、児童養護施設の開所は東紀州では初となります。
〈東紀州こどもの園〉は、IT周辺関連製品の開発、製造、販売を行っているエレコム(本社:大阪市)の創業者で現取締役会長の葉田順治氏の着想と強い想いからプロジェクトがスタート、このほど開所を迎えたものです(プロジェクトの経緯・詳細は昨年8月発表時の『TECTURE MAG』ニュースを参照)。
建物の構造材、外壁材、内装材には紀州材のスギ・ヒノキを採用。建物を設計した隈氏は、施設内に配置されたオリジナルの木製家具もデザインしています。
設計者:隈 研吾氏コメント
今後、〈東紀州こどもの園〉は、おそらく児童養護施設のひとつのモデルになると思います。
当初、設計のお話をいただいた際には、プロジェクトの趣旨に非常に感動しました。紀州は日本の木の聖地です。最高の木材を使って児童養護施設をつくることができ、本当に幸せです。日本の子どもたちに、将来明るい夢を抱いてもらえるプロジェクトだと思っています。建物は、曲線を使って周囲の山並みに馴染むように、溶け込むようなデザインにしました。屋根の高さはなるべく低くしましたが、室内はゆったりした空間にしています。児童家庭支援センター内の地域交流スペースが特に象徴的です。
建物の入口は、曲面を使った垂木の部分にこだわっています。一本一本垂木の角度も長さも異なり、日本で最高の木材、最高の木の技術を使って建設されました。
各部屋は、子どもたちがリラックスして、気持ちよく暮らしてもらえるように配慮しています。施設内の木の椅子は、私たちがデザインしたものも設置しています。今後、地域の皆さんにはさまざまなかたちでご協力を依頼させていただくと思います。私からもご支援のほど、お願い申し上げます。」(2024年4月2日 開所式にて)
所在地:三重県熊野市金山町
構造・規模:木造・平屋
施設面積:約800m²
敷地面積:約4,400m²
施主・運営主体:社会福祉法人聖マッテヤ会
設計:隈研吾建築都市設計事務所
着工:2023年7月
竣工:2024年3月
開所:2024年4月
構成:児童養護施設、児童家庭支援センター
エレコム プレスリリース(2024年4月10日)
https://www.elecom.co.jp/news/release/20240410-01/
※本稿の画像提供:エレコム