2021年10月に閉館した東京・表参道沿いの商業ビル〈原宿クエスト〉の建て替え工事が完了、9月11日に開業を迎えます。
プロジェクトの概要は『TECTURE MAG』2022年10月26日掲載のニュースにて速報したとおり、デザインアーキテクトをOMAパートナーの建築家・重松象平氏が務めています。
事業主であるNTT都市開発は、2020年6月に原宿駅前にオープンさせた〈ウィズ原宿〉との連携を当初から計画しており、〈原宿クエスト〉とあわせてエリアの魅力を拡げていく予定とのこと。

原宿クエストから北東側を望む(左:原宿クエスト / 右奥:ウィズ原宿)
新たな〈原宿クエスト〉は、高層棟と低層棟の2棟で構成されています。デュアリティ(二面性)をコンセプトに、原宿・表参道に併存する異なる街の個性をつなぐ空間を重松氏がデザイン。両棟の間に街の回遊性を高めるパサージュ(敷地内通路)を設け、都市に奥行きと新たなリズムをもたらします。

原宿クエスト(表参道側 外観)
〈原宿クエスト〉の表参道側には、垂直性と透明性を意識したアイコニックな外観を採用。ガラス面に街路樹を映し出すことで、特徴的な個性を通りに可視化させます。ファサードが街のにぎわいと調和し、街との連続性を生み出します。
表参道から続くパサージュの先には、小さな店舗や広場、アートスケープを配置し、住居地域に配慮したヒューマンスケールのファサードを採用することで、街並みに自然に溶け込むやわらかな印象を形成しています。
パサージュ沿いや地下階には、地層をイメージした版築壁が設けられ、透明感のあるガラス面と対比的な印象を与えます。
壁面には、明治神宮の地層や植生を反映した素材を採用、地域の自然環境と調和した緑豊かな空間を生み出します。

原宿・表参道それぞれの個性を体現したコンセプトダイアグラム

フロア構成
〈原宿クエスト〉には、国際的にも認知度が高い原宿のカルチャーを追求する多様な店舗が入り、ここにしかないモノ・コト・人との出会いを創出する複合商業施設として再始動するとのこと。9月11日の開業にあわせ、1-3Fに[NIKE HARAJUKU] が表参道沿いから移転・オープンするのも話題です。
工事中の様子は、フォトグラファーの土屋 航氏が撮影し、ドキュメンタリーフォトとして記録されているとのこと。作品の展示が待たれます。

土屋 航氏が撮影した工事中の〈原宿クエスト〉
所在地:東京都渋谷区神宮前1-13-14(Google Map)
用途:物販店舗、飲食店舗、サービス店舗、事務所、自動車車庫
構造:鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
規模:地上6階、地下2階、塔屋1階
敷地面積:1,956.49m²
延床面積:7,513.18m²

原宿クエスト エリアマップ
事業主:NTT都市開発、H-QUEST特定目的会社(東京センチュリーとNTT都市開発が出資するSPC)
設計:NTTファシリティーズ一級建築士事務所
デザインアーキテクト:OMA / 重松象平
施工:熊谷組
着工:2022年10月
竣工:2025年8月29日
開業日:2025年9月11日 ※一部店舗が開業、11月以降に順次開業予定
NTTアーバンソリューションズ プレスリリース(2025年9月1日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000134094.html
ランドスケープ・プラスによる原宿クエスト 仮囲いアート計画(2023年)
https://www.landscape-plus.co.jp/原宿クエスト仮囲い
原宿クエストの新たなロゴマークは、アートディレクターを務めるグラフィックアーティストのYOSHIROTTEN(ヨシロットン)氏がデザイン。旧「原宿クエスト」のロゴを継承・進化させ、デジタルとフィジカルを自由に行き来する現代のライフスタイルをイメージ。また「Q」を構成する斜めに傾いた四角形は、建築の個性と世界へ開かれた窓を表現しているとのこと。
原宿クエスト ウェブサイト
https://harajuku-quest.com/