東京・八王子にある多摩美術大学八王子キャンパス内のギャラリーにて、同学・家村ゼミ主催の企画展「中村竜治 空間に、自然光だけで、フィルムを置く」が開催されています。会期は10月10日まで。
本展は、多摩美術大学美術学部芸術学科で教授を務める家村珠代氏のゼミが企画・主催し、2017年より開催しているもので、今回で9回目を数えます。
本展について
家村ゼミ展では、中村竜治との展覧会は2度目となります。
3年前に開催した「中村竜治 展示室を展示」では、アートテークギャラリー1階の4つの展示室(約560m²、一部天井高9m)に、市販の白い紐だけを使用し、会期中3回の紐の設え変更を公開で行うことで「展示室を展示」しました。「帯」「結界」「対角線」と中村竜治が名付けたそれぞれの設えは、鑑賞者に自主的な「観察」をうながし、鑑賞者個々の目と身体で展示室を捉えなおす機会となりました。
また、アートテークギャラリーが、あらかじめ展示空間として設計された空間ではあるものの、ガラス面が多く、外光が空間に影響をあたえるという、展示空間としては特異な特徴を有することも同時に、中村はあらためて気づかせてくれました。この中村の展覧会がきっかけとなり、一昨年に「空間に、自然光だけで、日高理恵子の絵画を置く」、そして昨年には「空間に、自然光だけで、大竹利絵子の彫刻を置く」を開催しました。いずれの展覧会も、この展示室の特徴を生かし、4つのどの展示空間にも照明を使用せず、自然光だけの彩光とし、絵画あるいは彫刻を数点だけ置き、それぞれの作品が、大きな余白と距離を所有するという、アートテークギャラリー以外では成立し得ぬ展示になりました。
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本年度の「中村竜治 空間に、自然光だけで、フィルムを置く」は、上記の展覧会、空間に自然光だけで作品を置く展示の流れの一環として位置づけられます。
アートテークギャラリーの空間では、水を使用することが禁じられています。けれどもその空間に、およそ80m²と300m²、ふたつの巨大な水たまりが出現します。もちろん、水による水たまりではありません。厚さ0.04mm、幅900mmの透明フィルムによる水たまりです。光と翳、空間、天気、時間、居合わせた人々の振る舞い、そういったものから個々の目と身体が体験・体感する場であることが、ここ数年開催しているシリーズの特徴ではありますが、展示空間での事前の2回の実験から、湿度や風の存在までもが本展における大きな変容要素としてあることがわかりました。刻々と水たまりが変容することを楽しみたいという気持ちと、水たまりを水たまりの状態でどうしたら会期中保てるのか、湿度や風と折り合いをつけながら作品を守る緊張感は、日々の平穏がけっして当然ではないことを実感する現在と重なるかもしれません。(家村珠代)

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治


撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治

撮影:中村竜治
会期:2025年9月22日(月)〜10月10日(金)
会場:多摩美術大学️八王子キャンパス アートテーク ギャラリー
大学所在地:東京都八王子市鑓水 2-1723(Google Map)
開館時間:10:00-17:00
休館日:日曜
観覧料:無料
アートテーク ギャラリー ウェブサイト
https://www.tamabi.ac.jp/art-theque/atgallery/

「家村ゼミ展」詳細
https://www.iemuraseminar.com/
※トークセッション
出展作家の中村竜治氏と、ゲストに建築家の青木 淳氏と美術評論家の中尾拓哉氏を招いたトークセッションは9月23日に終了
※本稿のテキストは、家村ゼミが発信したプレスリリースをもとに作成した