多摩美術大学八王子キャンパス内のギャラリーにて、「中村竜治 展示室を展示」が10月19日まで開催される(主催:同大学芸術学科展覧会設計ゼミ[家村ゼミ])。3週間にわたる会期中、週ごとに展示が変化。入れ替えの様子も作品の一部として披露される。10月15日には、中村氏と青木淳氏、中尾拓哉氏によるトークセッションも開催。
多摩美術大学美術学部芸術学科で教授を務める家村珠代氏のゼミでは、学外からアーティストらをゲストとして招き、毎年企画展を開催しています。
「家村ゼミ展」詳細
https://www.iemuraseminar.com/
6回目となる今回の「家村ゼミ展 2022」は、建築家の中村竜治氏(中村竜治建築設計事務所代表)による「中村竜治 展示室を展示」。9月28日から10月19日まで、同大学八王子キャンパス内のアートテーク ギャラリーにて開催されます。
本展開催の経緯:
今回、中村さんには、展示する作品をつくるのではなく、展示室そのものを展示するような展示にしてほしいとお願いしました。
それに対して中村さんは、6つの案を提示してくれました。それらは「結界」という、彼が今年の「第八次椿会」への出品作品として構想していた思考の延長上にあるものでした。その一方で、家村ゼミは、「展覧会の完成形をあらかじめ定めず、作家・学生・教員、さらにはその周辺をも巻きこみ、その過程そのものを運動体として提示し、その試行錯誤の行い全体を展覧会と捉え、展覧会というものの再考を試みていく」ことをテーマに活動しています。
それゆえ本展では、1案に絞り、それのみを展示するのではなく、展示期間をフルにつかって、次々と3つの案を試し検証する、運動体としての展示活動を行うことにしました。アートテーク ギャラリー[*]1階の展示室(101,102,103,104,105)全体を使い、以下の3つの展示を行います。
帯(形の観察)
↓
結界(風景の観察)
↓
対角線(大きさの観察)展示期間
帯(形の観察):9月28日(水)10:00~10月8日(土)12:00
帯(形の観察)→ 結界(風景の観察):10月8日(土)12:00〜14:00
結界(風景の観察):10月8日(土)14:00 〜10月15日(土)12:00
結界(風景の観察)→ 対角線(大きさの観察):10月15日(土) 12:00〜13:30
対角線(大きさの観察):10月15日(土)13:30〜10月19日(水)17:00
※展示の入替中も観覧可能
会場では、どこにでもある安価な白い紐と市販の固定材だけが使用されています。中村氏の作品は、日常的には意識されていないアートテークギャラリー1階の空間全体のありようを、そして、個々の目と身体で捉え直す入り口を提示します。
これら連続的に展示する3作品のいずれも、101室、102室と展示室に名前を与え、情報を圧縮することで、失ってしまった「展示空間そのもの」への意識化を促そうとするものです。
関連企画として、会期終盤の10月15日には、出展作家である中村氏のほか、建築家の青木 淳氏と美術評論家の中尾拓哉氏をゲストに招いてのトークセッションが、アートテークギャラリー会場にて開催されます。
中村竜治氏プロフィール
建築家。1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、青木淳建築計画事務所を経て、2004年中村竜治建築設計事務所を設立。
主な作品に、〈へちま〉ヒューストン美術館(2010)とサンフランシスコ近代美術館(2012年)収蔵)、2016年〈JINS京都寺町通店〉、2017年〈神戸市役所1号館1階市民ロビー〉、2021年〈MA nature〉など。主な展示に、2010年「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館、2013年「反重力」豊田市美術館、2022年「第八次椿会 この新しい世界」資生堂ギャラリーなどがある。
主な受賞に、第6回京都建築賞優秀賞(2018年)、第32回JIA新人賞(2020年)など。
著書に『現代建築家コンセプト・シリーズ16 コントロールされた線とされない線』(LIXIL出版、2013年)がある。
会期:2022年9月28日(水)〜10月19日(水)
開場時間:10:00−17:00
休館日:10月2日(日)、10月9日(日)、10月16日(日)
会場:多摩美術大学️八王子キャンパス アートテーク ギャラリー
大学所在地:東京都八王子市鑓水 2-1723(Google Map)
観覧料:無料
トークセッション
日時:2022年10月15日(土)14:30-16:30
登壇者(敬称略):中村竜治(建築家 / 出展作家)、青木 淳(建築家)、中尾拓哉(美術評論家)
会場:アートテークギャラリー
参加費:無料(予約不要)
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大状況により、スケジュールが変更される可能性あり
※最新の運営状況はウェブサイトにて随時告知、来場前に必ず確認のこと
多摩美術大学アートアーカイヴセンター 来場者用ガイドライン
https://aac.tamabi.ac.jp/information_covid-19_2.html
*.アートテーク:”知と創造の多面的複合施設”として、八王子キャンパスの中心、旧図書館跡地に建設、2015年オープン。ギャラリー、80周年メモリアルルーム、自由デッサン室(石膏室)、大学院博士後期課程アトリエ、個人コレクション・アーカイブ、竹尾ポスターコレクション・ギャラリー、収蔵庫などで構成される
※会場写真は後日追加予定