建築家でデザイナーの寺田尚樹氏の新刊『モダンファニチャーヒストリー 今さら聞けない!歴史から読み解く家具デザイン』が1月下旬に青幻舎より刊行されます。
本書は、インテリアデザインの豊富な知識とデザイナーならではの目線を持った寺田氏の語りを軸に、18世紀半ばにイギリスでおこった産業革命を発端としたモダンファニチャーの歴史を、豊富な図版とイラストを交えながら辿っていくものです。質実なドイツ、裕福なアメリカ、陽気なイタリア、清貧なスカンジナビア、懸命な日本の5章立てで、トーネットやル・コルビュジエ、イームズやウェグナー、そして岡本太郎や倉俣史朗らが手がけた、これまでは作品単体=1つの点で語られることが多かったプロダクト・インテリアデザインを、それぞれの関連性を結びつけながら、近代家具デザインの系譜として編み、わかりやすく解説しているのが特徴です。デザインの背景にある人間関係についての推察や、ページ下部に添えられた”はみ出しメモ(本文に収まりきらなかったうんちくやマニアックなエピソード)まで、読みごたえある1冊となっています。
目次
はじめに
1.質実なドイツ German Simplicity
年表 1770s – 1930s
Topic 1 ミヒャエル・トーネットと5人の息子たち
Topic 2 工業技術の転用から生まれたキャンティレバー椅子
Topic 3 1年で仕上げた「LCシリーズ」
Topic 4 アメリカに渡ったドイツ人
Topic 5 上流階級向けのアール・デコclose-up 1 近代椅子の源流
close-up 2 ミヒャエル・トーネットと5人の息子たち
close-up 3 鋼管曲げパイプ+キャンティレバー
close-up 4 ル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアン、ピエール・ジャンヌレ2.裕福なアメリカ American Affluence
年表 1900s – 1950s
Topic 1 モデルチェンジなしの「フォードT型」
Topic 2 したたかレイモンド・ローウィ
Topic 3 MoMAと百貨店とコンペ
Topic 4 フローレンス・ノルとクランブルックの仲間たち
Topic 5 イームズとハーマンミラー社
Topic 6 2つのワイヤーチェア
Topic 7 エーロ・サーリネンと2つの空港close-up 1 デザイナー チャールズ・イームズ
close-up 2 建築家 エーロ・サーリネン
close-up 3 校長 ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
close-up 4 彫刻家 ハリー・ベルトイア3.陽気なイタリア Italian Cheer
年表 1920s – 1970s
Topic 1 ファシズム下のイタリア
Topic 2 ドムスとコンパッソ・ドーロ賞
Topic 3 「ベスパ」と「フィアット500」
Topic 4 陽気なカスティリオーニ
Topic 5 カラフルな新素材
Topic 6 ポストモダンのパンデミックclose-up 1 大長老 ジオ・ポンティ
close-up 2 射出一体成型の椅子
close-up 3 ザノッタの挑戦4.清貧なスカンジナビア Scandinavian Economy
年表 1920s – 1980s
Topic 1 デンマークモダンデザインの父、コーア・クリント
Topic 2 灰皿から建築まで、アルネ・ヤコブセン
Topic 3 彫刻的な曲線美、フィン・ユール
Topic 4 庶民を支えたクリントの継承者、ボーエ・モーエンセン
Topic 5 デンマークモダンファニチャーの第一人者、ハンス・J・ウェグナー
Topic 6 妥協を許さない金属作家、ポール・ケアホルム
Topic 7 カラフルな異端児、ヴァーナー・パントン
Topic 8 フィンランドの自然が生んだ建築家、アルヴァ・アアルトclose-up 1 建築家 アルネ・ヤコブセン1
close-up 2 建築家 アルネ・ヤコブセン2
close-up 3 マイスター ハンス・J・ウェグナー
close-up 4 自然派 アルヴァ・アアルト5.懸命な日本 Japanese Diligence
年表 1900s – 1980s
Topic 1 フィリピンのジャングルを彷徨った柳宗理と「輝く都市」
Topic 2 ディペンデントハウスと戦後家具
Topic 3 ちゃぶ台絶滅と公団住宅
Topic 4 そり脚と低座椅子文化
Topic 5 岡本太郎の反骨家具
Topic 6 東京オリンピックと大阪万博
Topic 7 夢をカタチにした、倉俣史朗close-up 1 戦後デザインの象徴 柳宗理
close-up 2 折り畳み椅子の系譜
close-up 3 無重力 倉俣史朗Column
01|アーツ・アンド・クラフツ運動とウィリアム・モリス
02|ナチスを利用したビートル?
03|建築家、フリッツ・ハラーによるモジュラーファニチャー
04|イタリアが生んだ2つのフォールディングチェア
05|フォールディングスツールの系譜
06|ウッドワーカー、ジョージ・ナカシマおわりに
人名索引
家具名・建築名・芸術運動等索引
参考文献

第1章「質実なドイツ」中面

第1章「質実なドイツ」中面

第2章「裕福なアメリカ」中面

第2章「裕福なアメリカ」中面

第3章「陽気なイタリア」中面

第3章「陽気なイタリア」中面

第4章「清貧なスカンジナビア」中面

第4章「清貧なスカンジナビア」中面

第5章「懸命な日本」中面

第5章「懸命な日本」中面
歴史を学ぶ際のジレンマは何か——。それは、世界中でいろいろなことが同時期に起こっているのに、それらを同時に学べないことではないでしょうか。ですから、それらを時系列に沿ってつなぎ合わせるという作業が必要になってきます。地域ごとの歴史を縦に並べ、あみだくじのように、それらの関係性を横に繫いでいくイメージです。そうすると歴史の全貌が見えてきます。たとえばスカンジナビアンデザインは、MoMAやエドガー・カウフマン Jr.が、アメリカで紹介したことをきっかけに注目され、その後に黄金期を迎えたことや、当時渡米中だった剣持 勇がそれに感化されて「ジャパニーズモダン」という思想を提唱した、といった具合に歴史は繫がっていくのです。(本書「はじめに」より一部抜粋)
著者・寺田氏による手描きの近代デザイン年表
著者プロフィール
寺田尚樹(てらだ なおき)
建築家・デザイナー。テラダモケイ主幹。1989年明治大学工学部建築学科卒業、1994年AAスクール(Architectural Association School of Architecture、イギリス)ディプロマコース修了。2003年テラダデザイン一級建築士事務所設立。 建築や家具、プロダクトなど幅広い分野のデザインを手掛ける。2018年から2024年11月28日まで家具輸入商社・インターオフィスの代表取締役社長を務めた。2026年度より武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科教授。Instagram:@naoki.terada.3
著者:寺田尚樹
判型:A5変
製本:並製
総頁数:288頁
ISBN:978-4-86831-036-5 C0070
定価(税込):6,600円(本体6,000円)
版元:青幻舎
発行予定:2026年1月下旬