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[Report]RUI Architectsが可動モジュールを設計して松竹のアートスペースをリニューアル、柿落とし展「継承のトランジション」の会場デザインも担当

[Report]RUI Architectsが可動モジュールを設計して松竹のアートスペースをリニューアル、柿落とし展「継承のトランジション」の会場デザインも担当

東京・東銀座にある松竹のアートスペース〈SHUTL(シャトル)〉が今年7月にリニューアル。7月24日からこけら落としの企画展が開催されます。
SHUTLの中核をなす「FREEDOM SPACE」の展示空間のアップデートを、建築家の板坂留五氏率いる建築設計事務所・RUI Architectsが担当しています。

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル) リニューアルオープン後の内観 撮影:山根 香

INDEX

・”中銀カプセル”2基を撤去、フレキシブルな空間に
・空間リニューアルのコンセプト:「いつも」ってなんだっけ?
・RUI Architectsが設計した可動パネル付き吊りボックス
・板坂留五氏インタビュー
・リニューアル記念企画展「継承のトランジション」開催概要

“中銀カプセル”2基を撤去、フレキシブルな空間に

〈SHUTL〉は、黒川紀章(1934-2007)の設計で知られ、2022年に解体された〈中銀カプセルタワービル〉から”レスキュー”されたカプセルのうち2基を設置して2023年10月にオープン[*註]。今回のリニューアル前に一時撤去され、約85m²をフルオープンで運営してきましたが(下の画)、SHUTLのコンセプトである”伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として、「未来のオーセンティック」を生み出す”ことを体現するスペースとしてさらなるリニューアルを決定。このうち、約85m²の「FREEDOM SPACE」のために、RUI Architectsが「可動パネル付き吊りボックス」をデザイン、出展者の自由度を拡張・再構築できる空間へとアップデートしています。

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

SHUTL ※2026年7月リニューアルオープン前、スケルトン状態の「FREEDOM SPACE」と隣接する屋外スペース「OUTER SPACE」(左下) 撮影:山根 香

*註.1972年竣工当時のオリジナルの内装に近づけて復元されたカプセル1基と、内装を取り外しスケルトン状態のカプセル1基をそれぞれ展示(詳細はフッター・EDITOR’S PICKSを参照)。施設運営は協働事業者のマガザンが担当。2026年2月14日より一時休廊してカプセル2基を撤去、5月15日よりレイアウトを変更して再開(2025年4月25日SHUTLプレスリリースより)。今回のリニューアルはこれに続くもの。

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

空間リニューアルのコンセプト:「いつも」ってなんだっけ?

板坂留五氏(RUI Architects)によるコンセプトスケッチ

板坂留五氏(RUI Architects)による改修プロジェクトのコンセプトスケッチ

 

板坂留五氏(RUI Architects)メッセージ

もしも、「いつも違う」ということで、場所やモノの豊かさを測ることができるのだとしたら、その「いつも」って何なのでしょう。

「いつも」ってなに?

と思った瞬間、今見えていないものを思い出したり、ここにないものに気づいたりすることがあるような気がします。それは、表現を受け取るだけでは得られない、喜びにつながるのではないでしょうか。

今回のリニューアルでは、展示やイベントに合わせて、モジュールを持つ什器をレイアウトできる空間を計画をしています。ただ自由なだけでなく、時に制限にもなる仕組みが、作家と空間の対話を生む。作家に限らず、作品自体や鑑賞者、近隣の人や環境も巻き込んで、昼夜、季節、1年を通して生き生きとするような空間を目指しています。

板坂留五(いたさか るい)氏 近影

板坂留五(いたさか るい)氏 近影 Photo: Nanako Ono

板坂留五氏プロフィール
RUI Architects代表、一級建築士。
1993年兵庫県生まれ。2016年東京藝術大学卒業。2018年同大学院を修了後、店舗兼住宅「半麦ハット」をきっかけに独立し、2018年にRUI Architectsを設立。2021年「Under 35 Architects exhibition 2021」でGold Medal受賞。これまでの主な作品に、新築住宅兼クリニック〈象〉(小黒由実、西澤徹夫との共同設計、兵庫県、2025年)、新築住宅〈近くと遠く〉(西澤徹夫との共同、愛知県、2025年)などがある。東京・天王洲のWHAT MUSEUMで開催中の「波板と珊瑚礁 ‐ 建築を遠くに投げる八の実践」に出展(8組によるグループ展)。建築設計を軸に、プロダクトや素材開発、建物、作品制作まで、大きさにかかわらない設計活動を行っている。

RUI Architects
https://ruiitasaka.ooo/

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)イメージ

イメージビジュアル(デザイン:RUI Architects、©SHOCHIKU Co.,Ltd.)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)イメージ

イメージビジュアル(デザイン:RUI Architects、©SHOCHIKU Co.,Ltd.)

RUI Architectsが設計した可動パネル付き吊りボックス

施工風景

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)施工風景

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)施工風景

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)施工風景

吊る前の可動式ボックスのフレーム

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)施工風景

現場で施工を確認する板坂氏

可動パネル付き吊りボックス 概要

レールに装着されたモジュール=可動パネル付き吊りボックスを連結させ、移動させることで、空間を編集する可動壁システムを採用。ギャラリー壁面の構成はもちろん、ボックスの上部を残して下部を取り外すことで、高さが自在に変化する棚や展示台としても活用できます。
また、空間上部に展示をしながら、同時にフロアを広く使うことで、作品が浮遊しているようにもみえるなど、多彩な空間バリエーションを展開できます。壁そのものを壁面に寄せることで85m²の空間をフラットに使用することも可能です。この可変性が、平面・立体などアート作品の展示はもちろん、プロダクトやアパレルの展示販売、大小さまざまなグッズ販売、大型インスタレーションやパフォーマンスなど、多様な表現の可能性を引き出します。

〈SHUTL〉展示スペック
面積:約85m²(幅約6.4×奥行き約13.3m)
天井高:約4m
壁:石膏ボード+塗装
可動パネル付き吊りボックス(ボックス幅:幅1,200mm×3台、幅600mm×4台)

設計・デザイン:RUI Architects
施工:月造
構造(アドバイス):ARSTR / 富岡庸平
プロジェクトアドバイザリー:森 純平(interrobang)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)施工風景

施工風景(可動式ボックス 実装テスト中)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

SHUTL「FREEDOM SPACE」平面図 作成:板坂留五(RUI Architects)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

SHUTL「FREEDOM SPACE」断面図 作成:板坂留五(RUI Architects)

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

リニューアルオープン後の内観 撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

SHUTL 屋外スペース「OUTER SPACE」  撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

松竹アートスペース・SHUTL 鳥瞰 撮影:山根 香
SHUTLは、板坂氏が改修した吊りボックスが設置される「FREEDOM SPACE」と、屋外スペース「OUTER SPACE」のほか、道を挟んだ南側に位置する屋外フリースペース「ブルーシート」で構成される

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

屋外フリースペース「ブルーシート」 ※自動販売機設置前 撮影:山根 香

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

SHUTL「FREEDOM SPACE」外観 撮影:山根 香

板坂留五氏インタビュー

『TECTURE MAG』では、7月2日に行われたメディア内覧会を取材、現地で板坂氏にインタビューを行いました。
スケルトンの状態、がらんどうの「FREEDOM SPACE」の空間に、作家あるいは出展者のための什器を新たにデザインして空間をアップデートする、当初「什器プロジェクト」と呼ばれていたとのこと。

板坂留五
私たちが見に来た時は、正面の壁と床を支持体に展示を行なっていました。展示によっては仮設壁や什器をつくるそうですが、もう少し常設の支持体があると嬉しいとの声が出展者からあったようです。それを受けて、SHUTLとして作家にとって何か展示の取っかかりになるようなしつらえを作ってほしいという依頼でした。SHUTLの「実験場」というコンセプトのとおり、約1年半のあいだ使われる予定です。

——期間限定のプロジェクトなのですね。

板坂留五
松竹さんは東銀座の街づくりに取り組んでおり、東銀座が文化発信の拠点になるように、ここでのアート事業をどのように拡張して発展させていくかという先を見据えたプロジェクトのようです。今回の設計は、撤去を前提にした仮設でありつつも、次につながる実験的な試みが求められました。
この場所の場合、ガラス張りですし、外を通る人からある意味「丸見え」になる。それは、宣伝にもなるけれども、ちょっとした緊張感も生み出しているようにも感じました。だからといって塞いでしまうと、それはそれで居心地が悪い。屋内外の人の目線の高さのずれを設計のきっかけとして、距離感を保ちながらも、なにか一体感があるような空間にしようと考えました。1つの空間ではあるけれども、仕切ることもできる。その結果、作品が配置されることの少ない足元は抜けていて、浮いてるようなものになりました。いわゆる仮設壁ではない姿が、作家さんに何か働きかけるのではないかと思います。

——天井から吊られたこの展示什器は可動式です。レールはオリジナルでつくったのですか?

板坂留五
構造エンジニアの富岡庸平さん(ARSTR)に相談しながら、今回の用途に合わせて設計したものです。2列のレールによってブレずに片手でスムーズに動かせられると同時に、当たっただけで移動してしまわない重量のバランスになるように調整しています。

——什器には幅があって、なんとなく家具のようです。

板坂留五
おっしゃるとおり、家具みたいな幅でもあるし、壁みたいな幅にもなるように、60センチという幅を決めて、それを基準に構成していきました。今回、床置きしたり壁の隅に立てかけている四角いパネルは、正面の展示壁をちいさく刻んでいったイメージで、同じ白色で仕上げており、今後も同じ塗料で補修できるようになっています。また、什器から取り外すと棚板のように使うことができます。

——展示作品にあわせて付け替えられるなど、可変性があるギャラリー空間になっています。

板坂留五
作家や出展者自身がビスうちもできるようにパネルの素材は合板としました。展示が終わってパテで埋めれば使いまわせる。同じサイズで用意してもらえば、作家が好きな色や素材の壁を作ることもできます。設営にあまり慣れていない、初めて展示を行う出展者や、ギャラリーインストーラーがいない状態で準備する作家や物販の利用も想定していて、なるべくシンプルなシステムで、自分たちに合わせて空間をつくりかえやすいようになっていると思います。什器の中に渡している白い棒も、バックヤードにたまたまあったものです。こんなふうに、出展する側のアイデアで自由に空間をつくっていってもらえるといいなと考えています。

[了] Text by Naoko Endo / TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)内覧会

SHUTL リニューアルオープン内覧会風景 Photo: TEAM TECTURE MAG


リニューアル企画展「継承のトランジション」開催概要

出展作家:倉敷安耶、JACKSON kaki、MULTISTANDARD
会場デザイン:RUI Architects

SHUTLリニューアル企画展「継承のトランジション」ポスター

Graphic Design: Daichi Kawashima(NEW Creators Club)

リニューアル記念企画展「継承のトランジション」開催概要

空間アップデートの柿落としとして、企画展「継承のトランジション」を開催いたします。SHUTLのコンセプト「伝統と現代の新たな接続」、その接続の中には必ず“継承”が存在します。本展は“継承”を単なる保存や伝達ではなく、受け継がれるたびに変化し続ける動的なプロセスとして捉えます。
リニューアルしたSHUTLの空間そのものもまた、「継承」と「変化」のあいだにあります。メタボリズム建築の文脈を継承しながら、新たな空間へと変化したSHUTL。そのリニューアルを象徴する企画として本展を開催します。
出展作家の倉敷安耶、JACKSON kaki、MULTISTANDARDの3組は、それぞれ昔話・身体・道具をモチーフに、「伝わること」と「変わること」が同時に起きる現象を可視化します。

 

会場:SHUTL(読み:シャトル)
所在地:東京都中央区築地4-1-8(東劇ビル隣 / Google Map
会期:2026年7月24日(金)〜8月30日(日)
休廊日:火・水曜
開場時間:13:00-19:00
※7月24日(金)夜はメディア・関係者向けにレセプション開催
※8月9日(日)、8月30日(日)JACKSON kakiのパフォーマンスあり(1日2回開催、予約不要)
入場料:無料

施設および展覧会の詳細は、SHUTL ウェブサイトを参照

SHUTL ウェブサイト
https://shutl.shochiku.co.jp/

松竹アートスペース・SHUTL(シャトル)

撮影:山根 香

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