世界で最も権威あるデザイン賞の1つ「iF DESIGN AWARD 2026」の受賞者を祝う祭典「iF DESIGN AWARD NIGHT 2026」が、ドイツ・ベルリンのフリードリヒシュタット・パラストで開催されました。 今年は全93部門に世界68カ国から10,000件を超える応募が寄せられ、131名の国際的な専門家審査員団による審査を経て、最高賞である74組の「ゴールドアワード」が決定。世界最大級の劇場の舞台でゴールドトロフィが授与されました。
今回の授賞式における大きなハイライトとなったのが、スペイン出身でミラノを拠点に活動する建築家・デザイナー、パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)氏への「iF Design Lifetime Achievement Award 2026(生涯功労賞)」の贈られたことです。本賞は2024年のディーター・ラムス氏、2025年のノーマン・フォスター氏に続き、彼女が3人目の受賞者となります。

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner
今日、デザインは私たちがどのように未来を形作っていくか――どのように責任を引き受け、資源を意味のある形で活用し、AIを含む新しいテクノロジーを人間のために役立つ形で使いこなしていくか――を大きく左右する存在になっています。AIはデザインに取って代わるものではありません。デザインなくしては、AIは平凡なままです。しかし優れたデザインが伴えば、AIは戦略的な強みへと変わるのです。
iF Design CEOのウヴェ・クレメリング(Uwe Cremering)氏コメント

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner
受賞者全員が会場内で立食しながら交流会が行われました。受賞者同士の交流だけではなく、主催者とも積極的に交流をもてる、とても貴重な機会になっています。


If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner

If Design Award 2026 Fotos: Marlena Waldhausen, Liesa Johannssen, Sophie Kirchner
授賞式の翌日には、建築家・フランク・ゲーリー(Frank O. Gehry)氏が設計した〈AXICA〉にて、第3回となる「iF Design Trend Conference」が開催されました。〈AXICA〉はブランデンブルク門に隣接した歴史あるコングレス・コンベンションセンターで、普段は一般解放されておらず、国際会議や政治的イベント、ガラなどのパーティーで利用される特別な施設です。今回のカンファレンスでは、未来志向のテーマについて4組のクリエイターが登壇しました。

Photo: Anne Freitag

Photo: Anne Freitag

Photo: Anne Freitag

・ブランコ・ルキッチ氏(Cognitive Architecture / サンフランシスコ)
テーマ:AI時代における「人間の不完全さ」が持つ価値
・ボルハ・マルティネス・ペレス氏(Lo Siento Studio / バルセロナ)
テーマ:デジタル時代における「アナログな創造性」の意義
・ムーナ・アンドラオス氏・メリッサ・モンジアット氏(Daily tous les jours / モントリオール)
テーマ:インタラクティブな公共インスタレーションを通じた、21世紀の「共生のあり方」の再定義
・ロバート・ホッジン氏(Rare Volume / ニューヨーク)
テーマ:自動化が進む時代における「創造性」の役割の探求
カンファレンスでは、未来の生活環境を形づくるデザイン動向をまとめた「iF Design Trend Report 2026」が発表されました。本レポートは5回目の発行を迎え、今回初めて、社会的・技術的な変化の両極を扱う「トレンドと対抗トレンド」の摩擦を軸に、4つの主要なトレンドが提示されました。それぞれが、現代の重要なデザイン課題への答えを提供し、様々なデザイン領域に応用可能なデザインパラダイムとして機能するとしています。
1. Age of Average(平均の時代)— Recoupling Design(再結合のデザイン)
・イノベーションを生み出す
AIやアルゴリズムの発達によって、世界中で似たようなデザインや表現が広まりやすくなっています。ブランドは多くの人に伝わりやすいデザインを採用する一方で、他と差別化することも求められています。これに対し「Recoupling Design」は、既存のルールや定型から少し距離を置き、新しい組み合わせや独自の視点によって、個性や独自性を生み出そうとする考え方です。2. Convenience Culture(利便性の文化)— Skillization(スキル化)
・摩擦をデザインする
私たちの暮らしは、AIやデジタル技術によって、より便利で効率的な方向へ進んでいます。一方で、あらゆることが簡単になることで、自ら学び、身につける機会が減るという側面もあります。「Skillization」は、利便性だけを追求するのではなく、使う人が新しい知識や技術を身につけながら成長できる体験を重視する考え方です。3. Next Nature(ネクスト・ネイチャー)— Human Enhancement(人間の拡張)
・関係性を形づくる
建築や都市は、人間だけでなく、多様な生き物や自然環境と共存する存在として捉え直されつつあります。「Next Nature」は、自然と人工物を対立させるのではなく、両者が共に成り立つ環境づくりを目指す考え方です。一方の「Human Enhancement」は、テクノロジーを活用し、人間の能力や可能性を広げることに焦点を当てています。4. Unfolding Cities(展開する都市)— Urban Villages(都市の中の村)
・住みやすい都市をデザインする
都市では、スマートインフラや新しい交通システムなど、大きなスケールで街を更新する動きが続いています。一方で、「Urban Villages」は、徒歩で移動できる距離感や人とのつながり、既存の街並みを活かした暮らしやすい環境に価値を見出す考え方です。都市の成長と身近な生活環境の両方をどう実現するかが、1つのテーマとなっています。
トップ写真、サムネイル:Photo: Anne Freitag
特記なき写真:TEAM TECTURE MAG