川口総合文化センター・リリアの大規模改修とあわせて香山建築研究所が設計した〈川口市立美術館〉が9/12開館、こけら落とし展は「蜷川実花展 はじまりの光」 - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
川口総合文化センター・リリアの大規模改修とあわせて香山建築研究所が設計した〈川口市立美術館〉が9/12開館、こけら落とし展は「蜷川実花展 はじまりの光」

川口総合文化センター・リリアの大規模改修とあわせて香山建築研究所が設計した〈川口市立美術館〉が9/12開館、こけら落とし展は「蜷川実花展 はじまりの光」

埼玉・川口市に新たにオープンする川口市立美術館にて、開館記念特別展「蜷川実花展 はじまりの光」が9月12日より開催されます。
同美術館は、建築家の香山壽夫氏(1937-)が率いる香山建築研究所の設計により、JR川口駅西口に1990年に竣工・開館した文化複合施設・川口総合文化センター・リリア(以下、リリアと略)の隣接地において、リリアの大規模改修計画[*]にあわせて建設されたものです。リリア改修の基本・実施設計および美術館の設計を、香山建築研究所が担当しています。

*.2021年(令和3)3月に川口市が策定した「美術館建設基本計画」では、駅東側での「栄町3丁目11番地区第一種市街地再開発事業」のなかで美術館建設を目指していたが、翌年3月の市議会にて、川口総合文化センター・リリア西側隣接地で整備する計画へと改定された。川口総合文化センター・リリア(大規模改修期間:2024年3月〜2026年3月)は美術館開館に先行して2026年7月にグランドオープン(詳細は、川口市 2024年07月11日発表を参照)

川口市立美術館

川口市立美術館 外観 撮影:小川重雄
川口市立美術館は、1階、M2階、2階の3つのフロアで構成され、エントランスは2階にある(フロアマップ

 

香山建築研究所が設計した川口市立美術館

川口市立美術館

2階 アトリウム 撮影:小川重雄

川口市立美術館

2階 アトリウム 撮影:小川重雄

川口市立美術館

2階 展示室1 撮影:小川重雄

川口市立美術館

2階 展示室2 撮影:小川重雄

川口市立美術館

2階 多目的室 撮影:小川重雄

川口市立美術館

2階 ミュージアムショップ(画面左奥はレストラン) 撮影:小川重雄

川口市立美術館

M2階 ギャラリー 撮影:小川重雄

川口市立美術館

M2階 ライブラリー 撮影:小川重雄

川口市立美術館

M2階 展示ホール 撮影:小川重雄

川口市立美術館ウェブサイト「建物について」
https://kawaguchi-moa.jp/about/architecture/


写真作品を軸とした原点回帰の個展「蜷川実花展 はじまりの光」

川口市立美術館 開館記念特別展「蜷川実花展 はじまりの光」の出展作家である蜷川実花氏(1972-)の父で、日本演劇界を代表する演出家であった蜷川幸雄(1935-2016)は、川口の出身。実花氏自身も幼少期を過ごすなど、両氏にとって創作の原風景となる地であるとのこと。本展は、実花氏の幼少期に形成された感性の原点をたどりながら、自身の表現をあらためて切り拓く、新たな挑戦と位置付けられています。近年、取り組んできた大規模なインスタレーション表現ではなく、創作活動の出発点である「写真」を軸に、映像作品や家族の記憶を織り交ぜながら、自らの創作の核心へと迫る展示が予定されています。

 

メッセージ

埼玉県川口市。蜷川実花の感性は、この街で形成されました。
彼女の脳裏に今も焼き付いているのは、見世物小屋の異形や鯉の血しぶき、飴玉の光、ピンク映画の看板、電灯の揺れ。おかめ市(酉の市)の雑踏の中で彼女が体験したのは、現実と虚構の境界が曖昧で不安定に揺れ動く世界。この揺らぎこそが、蜷川実花の、見る者を「引きずりこむ」クリエーションに大きな影響を与える起源となるのです。

本展は、蜷川実花自身を作り上げてきた要素に焦点をあて、2つの章で展開されます。

入口のある2階に展示する第一章は、初公開の新作を含む「写真」で構成されます。自身のデビュー作であり、約30年に渡り断続的に記録してきたモノクロのセルフポートレートはまさしく原点。自らの存在を確かめるように実験的に撮り重ねられてきました。さらに、2014年に父・蜷川幸雄が倒れ、死へと向かう1年半を記録し続けた『うつくしい日々』。彼女が「逝く人の目で撮った写真」と表現する本作は、死と向き合うことで再確認されるこの世の美しさ、その瞬きの中にしか存在し得ない風景や感情を留めています。ありとあらゆる瞬間が決定的であり、その時間にしか存在しない儚い世界を切り取る「写真」。誰もがスマートフォンを持ち歩き、簡単に表現ができる現代だからこそ、世界をどう捉えて何を切り取るか、そして「自分の中に何があるのか」という問いと改めて向き合い、表現を突き詰めます。

階段を下がってM2階に展示される第二章では、蜷川実花自身の表現世界に最も大きな影響を与えた家族との記憶に迫ります。川口の地だからこそ明かす、かつてないほど個人的で内面的な世界を通し、自身の根源と深く対峙する特別な空間が広がります。当時の気配をそのままに宿す蜷川幸雄の書斎の移設展示、元女優でキルト作家の母・蜷川宏子のキルト作品、さらに若き日の両親が映るアルバムを発見し、それを蜷川自ら複写した新しいシリーズ『First Light』などが一つの流れの中に共存します。これまで触れてこなかった家族との記憶をたどり、自身の人生を紐解きます。

デビュー以降約30年、多彩に表現領域を広げ続ける中でも、自らの心が動いた一瞬にだけシャッターを切り、目の前の存在や自身の内面とまっすぐに向き合い続ける姿勢は一貫しています。「写真」本来の表現を研ぎ澄まし、幼少期の記憶が眠る感性の原点ともいえる地・川口で一瞬の光の中に閉じ込められた世界と記憶を紡ぎ出すことで、蜷川実花のクリエーションの真骨頂に迫ります。(本展プレスリリースより)

蜷川実花(にながわみか)近影

作家近影

作家プロフィール

蜷川実花(にながわ みか)
写真家、映画監督、現代美術家。写真を中心として、映画、映像、空間表現も数多く手掛け、国内外で精力的に作品発表を続けている。2001年に第26回木村伊兵衛写真賞を受賞、以降も受賞歴多数。

主な映像作品として、『さくらん』(2007年)、『ヘルタースケルター』(2012年)、『Diner ダイナー』(2019年)など5本の長編映画があり、2020年にはNetflix配信のオリジナルドラマ『FOLLOWERS』で監督を務める。近年は、個人の作家活動に加え、蜷川実花 with EiMとして、クリエイティブチーム「EiM(エイム)」とともに大規模なインスタレーションを手掛けるなど表現の幅を広げている。
2010年に米国ニューヨークの老舗アート系出版社・Rizzoliから写真集を出版するなど、これまでに写真集120冊以上を刊行、最新の写真集に『VIRA』(bookshop M Co., Ltd.、2026年)、『mirror, mirror, mirror』(光村推古書院、2026年)がある。個展は150回以上、グループ展は130回以上開催。京都市京セラ美術館で開催された個展「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」(2025年1月〜3月)では来場者数25万人を記録。今年12月から来年3月にかけて、フランスのグラン・パレにて大規模個展「Mika Ninagawa with EiM:Alive with shadows」を予定している。
https://mikaninagawa.com

 

展示予定作品(一部)

〈First Light〉

本展が初公開となる最新シリーズ。若き日の両親が写るアルバムを発見し、蜷川自ら再撮影(複写)した作品。当時の写真へ娘の視点から再びレンズを向けた本作は、両親の思い出に蜷川自身の新たな記憶や情念を重ね合わせ、「写真」の持つ価値を再定義する。

川口市立美術館 開館記念特別展 「蜷川実花展 はじまりの光」展示作品

First Light, 2026
©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 

〈Self-image〉

モノクロのセルフポートレートは作家のデビュー作でもあり、当時から現在に至るまでの約30年間を断続的に記録。20代から最新のものまでが一同に会するのは今回が初となり、アーティストとしての内なる変化をありのままに描き出す。怒り、不安、戸惑い、寂しさ、虚無といった感情が刻まれる作品群は、創作の葛藤の中で自らの存在を確かめる記録でもある。

川口市立美術館 開館記念特別展 「蜷川実花展 はじまりの光」展示作品

Self-image, 2013
©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 

〈うつくしい日々〉

父・蜷川幸雄が病に倒れ、死に向かう一年半の日々を撮影した写真。「逝く人の目で撮った写真」と表現される本作は、別れゆく父の視線と、それを受け継ぐ娘の視線が重なりあう。死と間近で向き合う先に見える、世界の美しさ。そして命は止まったようでありながら、娘へ、そしてその子供へと脈々と受け継がれる生命のまばゆい循環の中で、シャッターを切り続けた日々の記録。そこに写るのは死の影ではなく、光に満ちた眩い日常の輝きである。

川口市立美術館 開館記念特別展 「蜷川実花展 はじまりの光」展示作品

The days were beautiful, 2017
©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

〈蜷川幸雄 書斎移設〉

蜷川幸雄氏逝去から10年となる2026年に開催される本展では、氏の書斎を移設した展示も行われます。
膨大な書籍や美術資料で埋め尽くされた父の書斎は、実花氏がいつも遊んでいた思い入れのある場所であり、幸雄氏が演出する舞台作品の世界がそのまま家の中に存在するかのような、現実と虚構の境界が曖昧な空間でもあったといいます。そんな当時の空気感を再現する試みです。

蜷川幸雄氏書斎

〈書斎〉 ©ニナガワカンパニー

 

川口市立美術館 開館記念特別展「蜷川実花展 はじまりの光」開催概要

会場:川口市立美術館
所在地:埼玉県川口市川口3丁目1-2(Google Map
会期:2026年9月12日(土)〜11月29日(日)
開館時間:10:00-18:00
※会期中、夜間開館を実施予定(詳細が決まり次第、下記・川口市立美術館ウェブサイトなどで発信)
休館日:月曜(9月21日、10月12日、11月23日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)、11月24日(火)
主催:川口市

川口市立美術館 開館記念特別展 「蜷川実花展 はじまりの光」フライヤー

展覧会フライヤー(写真作品は両親のアルバムを自ら複写した新シリーズ〈First Light〉より)

川口市立美術館公式ウェブサイト
https://kawaguchi-moa.jp/

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