三越製作所の歴史は、三越の前身である「三越呉服店」の家具加工部としてスタートした1910年(明治43年)に遡ります。その歩みは、日本で生活様式の近代化が進んでいた時代とも重なります。
三越製作所では、木取り・組み立て・塗装といった工程を全て自分たちで受け持ち、室内装飾と一体となった特注家具から1脚の椅子まで、幅広く手がけてきました。
現在は、ファイブスター(五つ星)ホテルや商業施設の建装事業、住環境のオートクチュール・リノベーションまでを手がける、三越伊勢丹プロパティ・デザイン(IMPD)直営の木工家具工場として、「100年先も誇れる家具と建装」を合言葉に、永く愛されることとサステナビリティの両立を目指したものづくりを続けています。
本展は、三越製作所の110年に及ぶ軌跡を、貴重な資料や展示の数々を通じて紹介する、初の展覧会となります。
展示の中でも必見は、1968年(昭和43年)に三越製作所が製作し、宮内庁に納入した〈玉座〉の試作品で、本展が初公開となります。実際に納入されたものは、漆塗りの最高技法である「蝋色(ろいろ)」仕上げ、刺繍職人が本金糸を用い、手作業で仕上げた背もたれの菊の紋章など、細部にまで最高峰の匠の技が注ぎ込まれています。
近年の作品では、モダンデザインの傑作として名高い《バンブーチェア》のオリジナルと、建築家・隈 研吾氏とのコラボレーションによって生まれた新作家具《topo》が展示されます。
会場では、これらを生み出す三越製作所の工房を再現。先人から代々受け継ぎ、現代の職人たちが大切に使い続けている鉋(かんな)などの工具や、椅子の木地型板などとともに、三越製作所のこれまでの足跡を紹介する映像も上映されます。
さらには、三越製作所のイズムを受け継ぐIMPDが展開する「JAPAN LUX(ジャパンラグジュアリー)」のオリジナルキッチン《練》も展示され、これら新旧の展示を通して、ものづくりの根底に息づく哲学と思想を伝え、受け継がれてきた匠の技と、その革新性を帯びた美意識の正体に迫ります。
会期:2021年3月10日(水)〜16日(火)
開館時間:10:00-19:00(入場は18:30まで)
会場:日本橋三越本店 本館1階中央ホール(東京都中央区日本橋室町1-4-1)
TEL:03-3241-3311(大代表)
展覧会詳細(3月10日 公開):https://hautecouturerenovation.com/rekishiten.html