FEATURE
妹島和世氏は"シークレットガーデン”をオーダー
京都のクラフツマンによる「誂え品」の展示・オーダー会【内覧会Report】
FEATURE2021.04.23

妹島和世氏は”シークレットガーデン”をオーダー / 京都のクラフツマンによる「誂え品」の展示・オーダー会【内覧会Report】

TOTOギャラリー・間 SANAA展(2021-2022年)会場レポート

FEATURE2022.01.19

TOTOギャラリー・間「妹島和世+西沢立衛/SANAA展」

[Report] 圧倒的な模型群から読み取るテーマ「環境と建築」

自分の希望通りにつくられたもの、誂(あつら)え品。優れた職人に、音楽、建築、料理など各界の第一線で活躍する7氏が完全オーダーメードで製作を依頼して生み出されたの逸品を披露する展示会が、東京・赤坂の草月プラザにて、4月22日より3日間限定で開催されています。

企画と主催は、京都を中心とした伝統技法を用いて、他にはないものづくりを手掛けるKiwakoto(キワコト)。今年2月に京都で開催された展示・オーダー会の東京巡回です。
会場となるのは、丹下健三が設計した〈草月会館〉の1F、草月プラザ。イサム・ノグチが手がけた、花と石と水の広場「天国」。珠玉の逸品が展示されるにふさわしい大空間です。

第一線で活躍する文化人とクラフツマンとのコラボレーション

7名の誂え人(敬称略)と1ブランド:朝吹真理子(小説家)、小木 “Poggy” 基史(ファッション・キュレーター)、片岡千之助(歌舞伎役者)、小山薫堂(作家、脚本家)、坂本龍一(音楽家)、庄司夏子(オーナーシェフ)
妹島和世(建築家)、デルヴォー(Delvaux / ラグジュアリーブランド)

出品作家(クラフツマン):⼩倉智恵美(竹工芸作家)、桶屋近藤(指物師)、開化堂(茶筒)、黒田工房(建具)、せいわ工房(指物師)、染司よしおか(草木染)、高島 新(漆芸 蒔絵)、竹内(金工)、堤浅吉漆店(漆精製)、中村譲司(陶芸家)、西村圭功(漆芸 塗師)、馬場染工(黒染め)、兵働知也(指物師)、服部しほり(日本画家)、マスミ鞄簔(革鞄製作)、村田好謙(漆芸 蒔絵)、村田紘平(引箔作家)、吉羽與兵衛(金工)

8組のオーダーに応えたのは、文化的事業継承の一翼を担う、このKiwakotoの取り組みに共感したクラフツマン(作家・職人)たち。小山氏は軽自動車「ジムニー」を改装した「動く茶室」を、小説家の朝吹氏は携帯用原稿用紙入れなどの一式、オーナーシェフの庄司氏はケーキボックス、建築家の妹島氏は大切な故人を偲ぶ「シークレットガーデン」と名付けた厨子などをオーダー。依頼する側もつくる側も、強いこだわりをもって製作にあたっているのがそれぞれの品から伝わってきます。美術館・博物館のショーケースに収められても遜色ない逸品です。

丹下健三×イサム・ノグチによる大空間〈草月プラザ〉

【TECTURE MAG】では、4月21日に開催されたプレスビューを取材しました。
スキップフロアになっているイサム・ノグチの「庭」を、水のせせらぎを聴きながら、上へと進み、誂え品を見て行きましょう。
なお、「誂え品」の詳細は、並んで置かれている衣桁(いこう)に掛けられた白い布に印刷されたテキストで確認できます。京都の事務所が手がけたという、粋な会場構成です。(Photographs & txt: en)

小説家の誂え品

誂え人:朝吹真理子(小説家)
誂え品:道具箱・インク用小箱、風呂敷、携帯用原稿用紙入れ・付箋等小物入れ

音楽家の誂え品

誂え人:坂本龍一(音楽家)
誂え品:石笛用竹籠 旅先用お香入れ、旅先用煎茶道具セット

オーナーシェフの誂え品

誂え人:庄司夏子(オーナーシェフ)
誂え品:ケーキボックス

建築家の誂え品

誂え人:妹島和世(建築家)
誂え品:お厨子(シークレットガーデン)

展示解説より

シークレットガーデンと銘打たれたお厨子は、黒塗りに金の錺(かざり)金具といった元来のイメージからは想像もできない、現代の住空間に相応しく、木地の美しいシンプルな造りで、心穏やかに祈りを捧げる場所となりました。

国宝修繕を手掛ける確かな建具師の技術により精密な木箱がつくられ、扉の先には、様々な工芸の技術によって創造された梅や植物が、庭を飾ります。金光による造花や鳥、錺金具の技法を応用した透かしのピース、日本画家の描く懐かしい花、透かしのあるいは母より受け継いだ和服を解いて再構築したアートピースなど、自分だけの空間を彩るアイテムが並びます。

細部に、妹島氏の思いが詰まった現代版お厨子。
日々の気分でシークレットガーデンを自由に装飾しながら、変化の速い現代において、ふと、呼吸する時間を届けます。

いちばん上のフロアには、3つの「誂え品」が展示されています。内覧会開催時には、指物師による実演も行われました。

ファッション・キュレーターの誂え品

誂え人:小木 “Poggy” 基史(ファッション・キュレーター)
誂え品:蒔絵スケートボード、漆塗りスケートボード、スケートボードデッキの花台

歌舞伎役者の誂え品

誂え人:片岡千之助(歌舞伎役者)
誂え品:岡持ち

ラグジュアリーレザーグッズメゾンの誂え品

誂え人:デルヴォー(DELVAUX / ラグジュアリーレザーグッズメゾン)
誂え品:Brillant装飾

この日は、指物師の兵働知也氏による実演も行われました。23日、24日にも開催されます。

内覧会で提供されたドリンクも「オーダー」に応えてくれるオリジナリティ溢れる逸品

丹下健三が設計した大空間の為に、イサム・ノグチがしつらえた(意味としては誂えたとも言い換えられる)、花と石と水の広場〈天国〉で、これらの逸品をガラス越しにではなく鑑賞できるのも、今回の展示・オーダー会の大きな見どころです。

展示はこれらだけではありません。小山薫堂氏の「誂え品」は、ビルの外、エントランスに「停車」しています。

小山薫堂氏の「誂え品」

放送作家で脚本家の小山薫堂氏のために誂えられた、特別仕様のジムニー〈動く茶室〉はこの東京会場が初公開。伝統工芸に造詣の深い小山氏と「『喫茶去』まあ、お茶でも飲みましょう」をテーマに、8カ月の歳月をかけ開発された特別仕様車です。
以下のテキストは、Kiwakotoのニュースリリースより。

前席との境には、雪見障子の構造から着想を得た上下に可動する「障子」。天井には柔らかな風合いが美しい金糸が織り込まれた「西陣織」。両側の棚は「指物」の技術を用い、京都北西部・京北の杉ですっきりと仕上げました。
床にはい草のにおいが車内に充満しないようにと配慮した、和紙製の「畳」。リアドアの内側には、「指物」の技術で床の間のような棚を設け、「漆」を施した「錺金具」が特別な棚であることを暗示。花器などを飾る場所として、茶室の趣を残しました。
そして前席、シフトレバーに銀の「高蒔絵」を施し、亭主である運転手が経年の変化をそっと楽しめる遊び心も忘れません。お茶室のごとく、ジムニーに職人の技を集結しました。

障子:宇佐美松鶴堂・髙田南勢堂工房
指物・棚:兵働知也
西陣織:加地織物
畳:横山 充
錺金具:竹内
施工:イレブンオートモーティブ
デザイン:ジイケイ京都
総ディレクション:Kiwakoto

ジムニー〈動く茶室〉詳細
https://kiwakoto.com/news/news_20210409/

天井は雲母のようなきらめきを有する上品な西陣織。そうと言われなければわかりません。
ジムニーの前に用意された立礼式の木の椅子と机は、分解して、ジムニーの後席にコンパクトに収めることができます。裏面のほぞを含め、職人の手技によるものです。

「京都のクラフツマンに依頼する 上質な「お誂え」の逸品展示・オーダー会」

企画・主催:Kiwakoto
会期:2021年4月22日(木)〜24日(土)※終了しています
開場時間:10:00〜18:00(最終日は17:00閉場)
会場:草月会館 1階 草月プラザ(東京都港区赤坂7-2-21 / Google Map
入場料:無料
※オーダー会のみ予約が必要
オーダー会時間:10:00 / 11:30 / 13:00 / 14:30 / 16:00

関連イベント 詳細
https://www.sogetsu.or.jp/events/other-org/205425/

展示・オーダー会 詳細
https://kiwakoto.com/news/event_20210315/

Kiwakoto(キワコト)公式ウェブサイト
https://kiwakoto.com/

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TOTOギャラリー・間 SANAA展(2021-2022年)会場レポート

FEATURE2022.01.19

TOTOギャラリー・間「妹島和世+西沢立衛/SANAA展」

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