2021年6月14日初掲、2023年2月5日竣工画像とメイキング動画を更新
国立大学法人岡山大学は、岡山市北区の津島キャンパス内に、地域・企業との協働を目的とした新たな交流施設〈共育共創コモンズ〉を建設することを2021年6月11日に発表しました(プレスリリース)。
同学の特別招聘教授に就任している建築家の隈 研吾氏が、設計から施工監理までの監修を担当。木質系材料CLT(Cross Laminated Timber)[*1]を活用した木造建築となります。
*1.ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料
岡山大学では、既存の工学部と環境理工学部を再編改組、「Society5.0 for SDGs 」の実践的教育を特色とする新生「工学部」を2021年4月に開設しています。カーボンニュートラル・脱炭素社会に貢献できる建材とされるCLTを用いた新施設は、そのシンボルであり、地域の産業活性化のための新たな交流と共創の場として建設されます。
従来の木造建築は、戸建住宅などの小規模な建築が主でしたが、CLTは大規模建築が可能。意匠と構造の機能を兼ね備えており、隈研吾建築都市設計事務所が近年、手がけた〈CLT HARUMI PARK〉や〈桐朋学園宗次ホール〉にも用いられています。
国内林業の活性化にも、CLTは貢献します。森林は二酸化炭素・CO2を吸収して温暖化防止に貢献しますが、樹齢を重ねた木はその吸収力が落ちてしまいます。木を植え替え、森林の代替えを促進させるためにも、木材の利用は重要です。森林資源の蓄積やSDGsの観点からも、CLTは今後、サステナブルな素材として期待されています。
建物の規模は、延べ床面積約810平米、木造2階建て。300名収容の大規模講義室と、共同研究拠点としての「共創ラボ」機能を重点的に備えます。最新のデジタル技術に関する講座やワークショップ、社会人と学生がともにアイディアを競いあうハッカソン[*2]などの開催をはじめ、オープンな共同プロジェクトから機密性の高い共同研究まで、幅広い活用を見込んでいます。
*2.ハッカソン:ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせて造られた造語、hackathon。ソフトウェア開発分野のプログラマーやデザイナー、インタフェース設計者らが短期・集中的に行う開発作業・イベントを指す
#岡山大学チャンネル(OkayamaUniversity)YouTube「岡山大学共育共創コモンズ Time – Lapse Photography No.1 Prelude」(2022/11/24)
計画では、新施設は今年度中に着手予定、2022年11月の完成を目指すとのこと。
※その後、2023年1月26日に完成披露式典を開催したことを同年2月5日に発表。(en)