東京・浅草に2020年にオープンした、くら寿司のグローバル旗艦店〈くら寿司 浅草ROX店〉が、ドイツの国際建築デザインアワード「ICONIC AWARDS 2021」[*1]において、インテリア部門の「Best of Best」を受賞しました。
以下は、審査結果の抄訳と原文です。
審査員コメント(編集部抄訳):
淡い色の木材で統一されたインテリアは、広く開放的な空間と明確なデザインテーマによって、温かく親しみやすい雰囲気を醸し出している。また、日本の伝統的な寿司と、日本の祝祭空間(縁日など)で馴染みのある射的のようなエンターテインメントを組み合わせたアイデアは独創的で、全体のデザインコンセプトとも調和している。印象的なディテールを備えた、印象深い数々のデザインは、その全体的な効果において、間違いなく世界中で高く評価されるだろう。JURY STATEMENT
The interior, styled completely in light-coloured wood, endows the ambience with a warm, friendly atmosphere. This is further underlined by the openness of the room and its clear stylistic language. The idea of combining traditional sushi specialities with entertainment elements in the form of shooting galleries, as are familiar from fun fairs, is original and has been harmoniously integrated into the overall design concept. A timelessly modern design with many interesting and striking details, which in its holistic effect will undoubtedly be positively perceived around the world.*1.「ICONIC AWARDS」概要
ドイツデザイン評議会「German Design Council」が主催する、世界各国の建築関連デザインに焦点をあてた国際的な建築デザイン賞。優れた建築とインテリア製品を表彰することを目的に年次で開催される。建築、インテリアなどの部門があり、各部門ごとに受賞作品が選出され、優秀な作品から順に「Best of Best」「Winner」「Selection」が授与される。さらに、部門横断の総大賞として、その年に優れた建築デザインを多数設計したデザインチームを「デザインチーム・オブ・ザイヤー」として表彰している。https://www.iconic-world.com/directory/kura-sushi-asakusa-rox
所在地:東京都台東区浅草1-25-15 浅草ROX4F(Google Map)
敷地面積:255坪(くら寿司として国内最大、一般店舗の平均は125坪)
座席数:272席(くら寿司として国内最大、一般店舗の平均は199席)
デザイン監修:佐藤可士和(SAMURAI)
〈くら寿司 浅草ROX店〉のデザイン監修は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がデザイン監修を担当したことで知られています(下の画像は国立新美術館で開催された「佐藤可士和展」会場より)。
〈くら寿司 浅草ROX店〉は業界初の「ジャパンカルチャー発信型」店舗であり、くら寿司初のグローバル旗艦店として、2020年1月22日(水)に開業。“観光”(Sightseeing)と“食事”(Eating)が同時に体験できる、「サイトイーティング(SightEating)」をコンセプトに掲げています。
佐藤氏の監修のもと、和のぬくもりを感じられる空間を現代的なアレンジで表現。江戸時代の日本の「祭り」をイメージした、ジャパニーズモダンな内装デザインが大きな特徴です。食事スペースにもこだわり、テーブルと柱には白木を、各座席には畳のシートを採用し、上品さと落ち着いた空間を演出しています。
店内装飾の提灯や、食器類、スタッフのユニフォームに用いられているロゴも、佐藤氏によるデザイン。ブランド確立の為に刷新されたもので、浅草ROX店開業後、日本の各店舗および海外(アメリカ、台湾)でも共通してこのロゴをグローバルに展開中です。
店内の壁を浮世絵や提灯で装飾し、さらには来店者が飲食だけでなく、遊んで興じることができる射的や輪投げといった“縁日スペース”を併設しているのもこの店舗の大きな特徴です。日本文化を体験できる飲食店として、国内外からの来店者に好評とのこと。
「ICONIC AWARDS 2021」の審査でも、伝統的な日本の寿司とエンターテインメントを掛け合わせた独創的なデザインなどが評価されました。
国内では、これまでに、公益社団法人日本サインデザイン協会が主催する「第54回日本サインデザイン賞」の銅賞を2020年に受賞しています。
同店は、2020年4月1日に施行された改正意匠法[*2]から認められるようになった「内装の意匠」において、佐藤可士和氏を創作者として「回転寿司店の内装」で登録を申請し、認められたことが昨秋発表され(意匠登録1671153)、本誌でも取り上げています(本稿株より関連リンクを設定)。
*2.経済産業省特許庁管轄。2019年(平成31)3月1日に特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同年(令和元年)5月10日に国会で可決・成立した。同月17日に法律第3号として公布。ほとんどの改正項目が2020年(令和2)4月1日より施行済みとなっている
意匠登録に関するプレスリリース(店内の限定動画あり)
https://www.kurasushi.co.jp/topic/001037.html
くら寿司では、この浅草ROX店での空間デザインを踏襲し、同じく佐藤氏の監修のもと、ジャパンカルチャー発信型店舗として、大阪に「浪速の祭り」をコンセプトとしたグローバル旗艦店〈くら寿司 道頓堀店〉を2021年4月22日にオープンしています。(en)
〈くら寿司 道頓堀店〉開業プレスリリース
https://www.kurasushi.co.jp/author/002535.html
「ICONIC AWARDS 2021」インテリア部門Best of Best受賞に関して
https://kyodonewsprwire.jp/release/202109019535