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【内覧会速報】佐藤可士和氏がデザインした公衆トイレ〈WHITE〉が恵比寿駅西口にオープン
FEATURE2021.07.16

【内覧会速報】佐藤可士和氏がデザインした公衆トイレ〈WHITE〉が恵比寿駅西口にオープン

佐藤可士和氏がデザインした”真っ白”な公衆トイレ

佐藤可士和氏が”真っ白”な公衆トイレをデザイン
東京・恵比寿駅前に、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏(SAMURAI代表)がデザインした公衆トイレ(恵比寿駅西口公衆トイレ)が誕生、2021年7月15日(木)16時より供用を開始しました。

佐藤可士和デザイン 恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉

恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉南側側面

このトイレは、既存の恵比寿駅西口公衆トイレを佐藤氏がデザインし、建て替えたもの。渋谷区の協力を得て、公益財団法人日本財団が2020年8月より進めているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の1つです。

渋谷区×日本財団「THE TOKYO TOILET」プロジェクト 計画予定マップ

渋谷区×日本財団「THE TOKYO TOILET」プロジェクト 計画予定マップ(2021年7月15日時点)

プロジェクトには、国内外の16組の建築家・デザイナーがクリエイターとして参画、トイレのデザインを手がけ、区内の公園など計17カ所に建設されます。今回で合計10のトイレが完成(本稿下部・関連記事参照)。そのいずれも、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレとしてデザインされ、多様性を受け入れる社会の実現と、多くの人々が公共トイレに対してもっている「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」といった芳しくないイメージの払拭を目指しています。

作品タイトルは「WHITE」

佐藤可士和氏がデザインした公共トイレの立地は、JR恵比寿駅の西口、駅前交番の横。東京メトロ恵比寿駅の乗り換え口と、東口へ抜けられるガード下も至近にあるため、人通りがとても多い場所です。

佐藤可士和デザイン 恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉

ひっきりなしに人と山手線電車も通る恵比寿駅西口の立地

佐藤氏は、駅を利用する人々が毎日、目にする駅前のシンボルとして、極端に目立ちすぎないように配慮したとのこと。入りやすく、使いやすく、「一歩引いた」清潔な佇まい。恵比寿駅を利用する人々の気持ちが、少し明るく、清々しくなるように、との想いが込めて。トイレとして「当たり前の配慮」のひとつひとつに向き合い、デザインされた「真っ白なトイレ」です。

恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉を背にした佐藤可士和氏

恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉を背にした佐藤可士和氏(画像提供:日本財団)

佐藤可士和氏プロフィール
クリエイティブディレクター/ SAMURAI代表
主な仕事に、国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロのグローバルブランド戦略やふじようちえん、カップヌードルミュージアム等のトータルプロデュース等。「ユニクロパーク横浜ベイサイド」「くら寿司浅草ROX店」では、特許庁による日本国内初となる内装意匠に登録(2020年11月)されるなど、ブランドをアイコニックに体現するクリエイションを幅広い領域で展開している。文化庁・文化交流使(2016年度)、慶應義塾大学特別招聘教授(2012-2020)、多摩美術大学客員教授。著書「佐藤可士和の超整理術」(日本経済新聞出版社)ほか。2021年2月-4月には「佐藤可士和展」が国立新美術館にて開催された。
http://kashiwasato.com/

佐藤可士和デザイン 恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉

佐藤氏がデザインしたトイレのピクトグラム(画像提供:日本財団)

クリエイター 佐藤可士和氏のコメント
<清潔・安心・調和>。多様性を受け入れる社会の実現を目的に実施された「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの参加にあたっては、公共のトイレに求められる“あたりまえのこと”をコンセプトとして臨みました。
アルミルーバーにより明るく軽やかな印象を持たせ、都市の街並みに自然と馴染む静かな佇まいを心がけました。
今回のプロジェクトは新築ですが、街中に存在する多くの公共トイレが<清潔・安心・調和>を獲得できるような、リノベーションの可能性も視野に入れながら考察しています。本プロジェクトのさまざまなデザイン案のトイレと共に、東京の公共空間の在り方を考えていくきっかけになることを願っています。

人の気配が外からわかる安心設計

白いキューブに内包されたトイレ室は合計5つ、そのいずれも男女共同で使えるジェンダーレス仕様です。キューブのまわりはアルミ製ルーバーが覆い、その間は通路で、「コの字」に通り抜けることができます。

佐藤可士和デザイン 恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉

平面図(向かって左が北側)

内部(通路上)に人がいるかどうかはルーバーの隙間から容易に視認でき、また5つある個室のドアは全て外側を向いているため、利用者に安心感を与える設計に。

出入り口は、線路側に2カ所。個室の扉を開ける前に、まずは北東のコーナーから中に入り、ぐるっと通路を通り抜けてみました。

ピクトサインも佐藤氏がデザイン

「THE TOKYO TOILET」のピクトサインは、これまでにオープンした9つのトイレを含め、全て佐藤氏がデザインしています。

「JIS規格を参考に、エレメントを整理しシンプルにしていくことで、どんなデザインのトイレにも合うように心がけました。視認性の良さに加え、ひとつひとつのパーツの角を丸くすることでユーザーに柔らかい印象を与えられるようデザインしています。」(佐藤可士和氏コメント)

優れたデザイン・クリエイティブの力で、インクルーシブな社会のあり方を広く提案・発信していくことを目指した「THE TOKYO TOILET」プロジェクト、11個めのトイレは、建築家の伊東豊雄氏がデザイン(2021年7月16日の午後に供用開始予定)
『TECTURE MAG』では、このプレス内覧会も取材予定。SNSから写真を投稿し、現地レポートも追って掲載します。(en)

佐藤可士和デザイン 恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉とエビス像

恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉と駅前エビス像

恵比寿駅西口公衆トイレ〈WHITE〉
所在地:東京都渋谷区恵比寿南1-5-8
面積:39.99m²
デザイン:佐藤可士和(SAMURAI)
ピクトサインデザイン:佐藤可士和(SAMURAI)
設計・施工:大和ハウス工業
協力:TOTO株式会社
事業主:日本財団(完成した公共トイレは渋谷区に譲渡)
供用開始:2021年7月15日(木)16:00

「THE TOKYO TOILET」プロジェクト 公式Webサイト
https://tokyotoilet.jp/

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