戦後のブラジル近代建築を牽引した、建築家のリナ・ボ・バルディ(Lina Bo Bardi)が手がけた家具を紹介する「リナ・ボ・バルディ展 〜彼女の意思を継ぐバラウナ工房〜」が、鎌倉の円覚寺にて開催される。ヴィンテージや復刻された家具が展示・販売され、会期は10月14日(金)から16日(日)までの3日間。
本展でスポットがあてられるリナ・ボ・バルディ(1914-1992)は、戦後のモダニズム、ブラジリアンミッドセンチュリーと呼ばれる時代に活躍した建築家の1人です。1992年に没するまでの間、建築家、家具デザイナー、ジャーナリスト、活動家としても活躍しました。
イタリア・ローマに生まれ、ジオ・ポンティ(1891-1979)のもとで、建築および都市プロジェクト、インテリアデザインのほか、建築雑誌『Domus』の編集にも携わり、1951年にブラジルに拠点を移した後も続く、彼女の幅広い活動の基礎がこのときに築かれました。
本展が開催される鎌倉および円覚寺は、リナ・ボ・バルディがかつて訪れた土地です。
彼女は日本の伝統的な木造建築とそれらをシンプルに構成する建具に興味があったとされ、1973年と1978年に日本を訪れ、鎌倉のほか、京都、日光、東京を周遊しています(同年代の建築家・丹下健三(1913-2005)を訪れたともいわれる)。
日本での空間体験は、その後の彼女の創作活動に影響を与え、二度目の訪日時に設計中だった公共施設〈SESC ポンペイア文化センター〉おける窓のデザインが直線から曲線を用いた雲形に変更され、また、円覚寺でみた園路を敷地内の歩道に取り入れるなどしています。
建築家のマルセロ・ファラスとの共同設計で、旧倉庫のコンバージョンと新築からなり、1986年に竣工した〈SESC ポンペイア文化センター〉では、リナ・ボ・バルディは建物だけでなく、椅子などの家具、館内のサイン(標識)、掲示するポスター、職員の制服までデザインしています。
もとより彼女は、1951年に建てた自邸〈ガラスの家〉など、自身が設計する建築空間にあわせて家具もデザインしていました。〈SESC ポンペイア文化センター〉の竣工と同年に、マルセロ・ファラスらと家具工房「バラウナ工房」をサンパウロに共同で設立。本展では、現在も稼働中である、このバラウナ工房の家具が、貴重なヴィンテージを含めて数多く紹介されます。
リナ・ボ・バルディ(Lina Bo Bardi)プロフィール
1914年イタリア・ローマ生まれ。1934年ローマ大学建築学部入学。卒業後、ジオ・ポンティのもとでキャリアを積む。1946年にアートディーラーのピエトロ・マリア・バルディと結婚。1951年に夫婦でブラジルへとわたり、1992年に没するまで、同国を拠点に、建築、家具デザイン、ジャーナリズムの領域で活動した。
主な建築作品に、1947年〈サンパウロ美術館(MASP)〉講堂のための椅子デザイン、1951年の自邸〈ガラスの家〉、1968年〈サンパウロ美術館〉改築、1984年〈オフィチーナ劇場〉、1986年〈SESC ポンペイア文化センター〉などがある。新しい〈サンパウロ市庁舎〉ほかを設計中の1992年に没。享年77歳。
家具デザイナーとしては、1949年にジャンカルロ・パランティ(1906-1977)と「スタジオ・ダルテ・パルマ」を設立し、約2年と短期間ながら、プライウッドやブラジル原産材を使ったシンプルな構造のモダンな家具を製造した。1986年にブラジル・アーキテトゥーラ社と共に「バラウナ工房」を設立。最初の家具シリーズとなった〈Girafa Chair〉は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久所蔵品となっている。
「リナ・ボ・バルディ展 〜彼女の意思を継ぐバラウナ工房〜」の会期は10月14日から16日まで。この機会をお見逃しなく。
会期:2022年10月14日(金)〜16日(日)※会期中無休
会場:円覚寺 龍隠庵
開場時間:10:00-16:30
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内409(円覚寺内 / Google Map)
※円覚寺入山料(500円)が必要
主催:ATELIER GALLERY、CASA DE
問合せ先:イニシャルジャパン(TEL.03-6276-5323)
ATELIER GALLERY Website
https://www.atelier-gallery.com/
CASA DE Website
https://www.gallerycasade.com/