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菊竹清訓の名建築で特別展 11/23-27開催

「メタボリズム建築・旧館林市庁舎のかたち -ル・コルビュジエ建築との共通点を探る-」

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 外観(南西側)

戦後の日本を代表する建築家の1人、菊竹清訓(1928-2011)が設計した旧館林市庁舎(現在の館林市民センター / 中部公民館)にて、企画展示「メタボリズム建築・旧館林市庁舎のかたち -ル・コルビュジエ建築との共通点を探る-」が11月23日より開催されます。

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 外観

菊竹清訓(きくたけ きよのり)プロフィール
1928年福岡県久留米市生まれ。1947年早稲田大学理工学部建築学科に入学、在学中に「広島平和記念カトリック聖堂建築競技設計」(1948)で3等に入選。1950年早稲田大学を卒業。1953年に25歳で菊竹建築研究所を創立(1962年菊竹清訓建築設計事務所に改称)。
ブリヂストンタイヤの創業者・石橋正二郎からの依頼で、設計のほか、ブリヂストン関係の建物を多く手がけた。1958年には自邸〈スカイハウス〉を発表し、日本の新しい住宅建築として注目を集めた。1960年に川添 登、黒川紀章らとともに「メタボリズム」を提唱し、「世界デザイン会議」に参加。「か・かた・かたち」の設計理論を展開したことでも知られる。
設計作品として、石橋文化センター(1956)、自邸として名高いスカイハウス(1958)、島根県立博物館(1958)、出雲大社庁の舎(1963、現存せず)、東光園(1964)、旧都城市民会館(1966、現存せず)島根県立図書館(1968)、日本万国博覧会の企業パビリオン・エキスポタワー(1970、現存せず)、沖縄国際海洋博覧会におけるアクアポリス(1975、現存せず)、東京都江戸東京博物館(1992)、島根県立美術館(1998)、九州国立博物館(2004)などがある。
主な受賞:アメリカ建築家協会(AIA)汎太平洋賞、芸術選奨文部大臣賞、日本建築学会賞作品賞など。著書に『代謝建築論』(1969)などがある。

群馬県館林市にある館林市民センターは、同市に現存する貴重なメタボリズム建築で、1963年の竣工。戦争を体験している菊竹が、近代日本の再興を願い、設計したものです。

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 エントランス

同センターでは昨年、築年から58年が経過した菊竹建築を未来へと残すことを目的に、11月に1日限りのイベント「メタボリズム建築と旧館林市庁舎」展を開催しており、これが約500人の来場者数を記録、好評を博しました。
今回は会期が5日間に延び、旧庁舎の5階を主な会場として、当時の建築図面やスケッチ、菊竹がオリジナルでデザインした家具などが展示されます。

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 5階 議場 天井見上げ

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

シェル構造の天井見上げ

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

館林市旧庁舎には、菊竹が設計時に影響を受けたと思われる、コルビュジエ(1887-1965)の晩年の傑作、フランス・リヨン郊外に1960年に竣工したラ・トゥーレット修道院からのディティールが散見されます。例えば、館内の窓。フランス語で”波状”を意味する、「オンデュラトワール」と呼ばれる、あみだくじのような窓枠のレイアウトは、ラ・トゥーレット修道院の渡り廊下に見られるデザインとして知られています[*]
*.「オンデュラトワール」はコルビュジエと弟子のヤニス・クセナキスが生み出したとされる。菊竹の師にあたる村野藤吾(1891-1984)が設計した千代田生命保険本社ビル(現在の目黒区総合庁舎)にも見られる。

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

ラ・トゥーレット修道院からの影響が見られる、旧館林市庁舎 渡り廊下(開口部)のデザイン

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

チャンディーガルのモニュメントとして知られる〈開いた手(オープン・ハンド)〉のオブジェ、旧館林市庁舎館内にて撮影

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

5階議場のドアハンドル

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 M3階 特徴的な五角形の窓

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 東側外観

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

せり出し部分

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉

旧館林市庁舎 カンチレバー部分、床は軽量化のためにボイドスラブ構造となっている

菊竹清訓設計〈旧館林市庁舎(現 館林市民センター)〉カンチレバー

カンチレバー 見上げ

本展では、これら菊竹建築の空間とディテールを紐解く貴重な資料のほか、菊竹が自身の建築作品のためにデザインし、1960年代に誕生した家具 —〈コトブキのための椅子〉、〈都城市民会館のための椅子〉、〈バス停のための椅子〉などの貴重なプロダクトも展示されます。

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

菊竹清訓〈コトブキのための椅子〉

さらに、コルビュジエのヴィンテージ家具が並ぶのも本展ならでは(協力:ATELIER GALLERY)。フランス・パリ南部のジャルダン国際大学都市(Cité internationale Universitaire de Paris)のブラジル学生会館、マルセイユのユニテ・ダビタシオン(Unité d’Habitation)、インドのチャンディーガル(Chandigarh)で実際に使われていた貴重な家具、照明、建材など、これらの一部は販売も行われます。

カッシーナ製家具 ブラックカラーシリーズ

コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンの共同デザインによるカッシーナ製家具。1960〜80年代に製造された希少価値が高いブラックカラーシリーズ

コルビュジエ /

コルビュジエとシャルロット・ペリアンがデザインした間仕切り(Room divider)、ブラジル学生会館で使われていたもの

コルビュジエ /

〈ユニテ・ダビタシオン〉で使われていた脱却式の梯子階段

コルビュジエ / コートフック

〈ユニテ・ダビタシオン〉のためにコルビュジエがデザインしたコートフック

コルビュジエ / 街灯

チャンディーガルで街灯として使用されていた照明

建築史上、貴重なメタボリズム建築の名作が次々と解体となっていく中で、地元の眼鏡店・garage(ガラージュ)をはじめ、館林市の各社と同市出身者が中心となって開催される本展は、菊竹の代表作である旧市庁舎の建物の魅力を伝えるとともに、日本における近代建築の文化的な価値を見つめなおす機会となります。建築保全の在り方と、まちづくりにおける近代建築の意義を改めて社会に問いかけ、館林市民センターの保存に向けて弾みとしたい考えです。

会期中は、日没後に館内照明点灯によるライトアップが行われるほか、11月23日、26日、27日の3日間限定で屋上が見学可となります(時間制限などあり)。

旧館林市庁舎「メタボリズム建築・旧館林市庁舎のかたちール・コルビュジエ建築との共通点を探るー」

「メタボリズム建築・旧館林市庁舎のかたち -ル・コルビュジエ建築との共通点を探る-」展覧会概要

会期:2022年11月23日(水・祝)〜11月27日(日)
開場時間:10:00-17:00
会場:館林市民センター(旧館林市庁舎)5階 講堂および会議室
所在地:群馬県館林市仲町14-1(Google Map
入場料:無料

主催:館林市役所都市建設部都市計画課
企画:TBRI(東毛建築リサーチ研究所 / Toumou Building Research Institute)
協力:ATELIER GALLERY、garage(ガラージュ)、田部井石材、情報建築、斎藤信吾建築設計事務所、塚本二朗建築設計事務所
問合せ先:館林市役所都市建設部都市計画課都市再生推進係(電話:0276-47-5150)

※本稿の画像全点・資料提供:ATELIER GALLERY

館林市イベント案内
https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/s063/kanko/010/20221018110911.html

中部公民館(館林市民センター)公式ウェブサイト
https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/k002/

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