黒川紀章(1934-2007)やル・コルビュジエ(1887-1965)、リナ・ボ・バルディ(Lina Bo Bardi|1914-1992)といった近現代の建築家・デザイナーが設計・デザインした椅子の展示・販売会「建築家の椅子30脚展」が、東京・表参道の骨董通りにある、リノベるの東京本社ショールーム地下1階「b1./ビーワン。」にて11月25日より開催されています。
開催は12月10日まで、会期中の土曜・日曜限定の開場となります(入場は無料)。
本展では、黒川紀章による〈EDO〉シリーズの椅子のほか、坂倉準三建築研究所(現・坂倉建築研究所)を独立後、自身の事務所を構えた建築家で家具デザイナーの長 大作(1921-2014)が天堂木工とともにつくりあげたジャパニーズモダンな低座イス、岸 和郎(1950-)によるアクリスの家具シリーズ〈AQUA CUBE〉などが登場。
中でも注目は、特別な譲渡で販路にのった、菊竹清訓建築設計事務所在籍時に長谷川逸子がデザインした〈FRPベンチ〉です。長崎県内のバス停で使用されていたプロダクトとのこと。
黒川紀章〈High Back Chair〉/ 黒川によるEDOシリーズのチェア。シンプルな日本の伝統美と伝統的な漆塗りの表現、江戸のマス型を象徴的に引用し、強度を高めている
長大作〈低座イス〉1970s Low Chair by Junzo Sakakura and Cho Daisaku
坂倉準三(1901-1969)が設計した歌舞伎役者・八代目松本幸四郎の邸宅における和室のために、長がデザインした。その後、旅館や各種施設にも導入され、ジャパニーズモダンを代表する名作家具の1つとなっている
〈1969’s FRP Bench for kotobuki〉は、菊竹清訓建築設計事務所在籍時に長谷川逸子がデザインを担当し、コトブキ社のために制作された椅子のベンチタイプ(製作:1969年、座面: FRP、脚部:スチール)。本展を共催するイニシャルジャパンのオーナーが、菊竹清訓が設計した〈旧館林市旧庁舎〉の保存活動を行なっている関係で、長崎県内のバス停で使用されていたものを譲り受けた貴重なもの
海外からは、ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret|1896-1967)やシャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand|1903-1999)の椅子のほか、日本国内では出回ることが稀な、ブラジルのリナ・ボ・バルディがデザインしたジラフ(Girafa、キリンの意)シリーズのうち、マルセロ・ファラスとマルセロ・スズキが設立したブラジル・アルキテトゥーラ社が2006年に設計した〈Flopolis Bread Museum〉のために制作されたモデルも登場。イタリアを代表する芸術家のひとりであるエンゾ・マリ(エンツォ・マーリ|Enzo Mari|1932-2020)がデザインした折りたためるボックスチェアなど、時代を超えて永く愛されている椅子・30脚をセレクトされています(視座の可否は、会場スタッフに確認が必要)。
リナ・ボ・バルディ〈Girafa Chair for the Bread museum〉/ ジオ・ポンティに師事し、サンパウロ美術館の立ち上げのため招致された夫と共にブラジルへ渡ったリナ・ボ ・バルディが、ブラジルのサルヴァドール〈ベナンの家〉のレストランのためにデザインしたチェア〈ジラフチェア〉のシリーズ。本品は〈Bread Museum〉のために制作された特別版を直接、BRAUNA工房から譲り受けた貴重な逸品。通常の〈ジラフチェア〉よりも木材が金色で重量感がある
エンツォ・マリ〈BOX Chair〉/ エンツォ・マリが1971年にデザインしたボックスチェア(Aleph社製)。ポリプロピレンの可能性に早くから着目していたマリならではの素材使いが特徴。分解と組み立てが可能で、芸術的な教育者としての側面が色濃くあらわれたモデル
会期中の12月2日と3日の土曜・日曜には、[リノベる。表参道]エントランスにてマーケット「Vintage&Design Market」を開催。ヴィンテージ雑貨などを取り扱うショップ4店舗による物販のほか、コーヒーや軽食などを楽しめるカフェスペースも設けられます。
開場日:2023年11月25日(土)、26日(日)、12月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)
開場時間:11:00-16:00(最終入館:15:30まで)
会場:リノベる。表参道「b1./ビーワン。」
所在地:東京都港区南青山5丁目‐4‐35 たつむら青山ビル 1F)
入場料:無料(予約不要)
主催:リノベる、イニシャルジャパン
リノベる 表参道本社・ショールーム 外観
詳細(リノベる プレスリリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000049400.html
※本稿では敬称を略