東京・渋谷の渋谷PARCO 8階にある、糸井重里氏が主宰する 「ほぼ日刊イトイ新聞」のリアルスペース「ほぼ日曜日」にて、3月17日より「アート・シマツの極意」展が開催されます。
「アート・シマツの極意」展とは、2022年春に京都市京セラ美術館で開催された展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」の会場にて使用された膨大な量のカーテンの生地を、廉価で譲渡するプロジェクト「アート・シマツ」から生まれた作品の展示・販売会です。
「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」 展示風景(撮影:三吉史高)展覧会概要はこちら
現代美術家の森村氏の大規模個展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」では、会場構成を西澤徹夫建築事務所[*1]が担当。川島織物セルコンに特注した遮光カーテンにより、ホワイトキューブの会場を迷宮のように仕切り、空間をデザインしました。高さ5m、総面積約2500m²という膨大な量を、展覧会終了後に廃棄してしまうのは「もったいない」という森村氏の思いに、糸井氏が率いる「ほぼ日」が協力。カーテンの再活用のアイデアを募り、採用者に対してできる限り廉価で譲渡するという、”展覧会の後始末”について考える「アート・シマツ」プロジェクトが昨年立ち上がっています。
*1.建築家の西澤徹夫が率いる西澤徹夫建築事務所は、京都市京セラ美術館館長を務める建築家の青木淳とともに、同館の大規模リニューアルプロジェクトを手がけ、森村展の会場となった新館「東山キューブ」の設計も手がけている
ブルーグレーのような色味のカーテンは、高品質の遮光性生地、京都での森村展のために特注で川島織物セルコンが製作した
活用のアイデアは300件以上寄せられ、その一部は実現しています(下の画)。
熊川哲也氏が率いるK-BALLETと、Bunkamuraによる新プロジェクト「K-BALLET Opto」にて、2023年1月に行われた公演の舞台装飾での使用例(写真の左手、宙に浮かぶダンサーがまとっているのがカーテンの一部)
本展では、下記の参加アーティストらによる作品も含め、プロジェクトの成果が披露されます。カーテン生地の販売も行い、さらなる「アート・シマツ」の実現を図るとのこと。
さらに、本プロジェクトの大元の展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」の空間規模を縮小して再現。森村氏が本展のためにセレクトしたポートレイト作品の一部が展示されます。
本展参加アーティスト(敬称略、五十音順):加賀美健(現代美術家)/スソアキコ(帽子デザイナー、イラストレーター)/ sunui(デザインユニット)/ 中川いさみ(漫画家)/ ひびのこづえ(コスチューム・アーティスト)/ 福田利之(イラストレーター)/ 北欧家具talo(ビンテージの北欧家具屋)/ 洋服の並木(洋服店)/ 和田ラヂヲ(ギャグ漫画家)
ひびのこづえ氏が作成したバッグとうさぎのブローチ(試作品)
アート・シマツプロジェクトからの声がけで、お笑い芸人のナイツの2人のスーツを洋服の並木(東京。梅ヶ丘)が仕立てた活用例(本展では展示のみ、販売なし)
森村泰昌作品のドレス制作を担当している、河本育子氏と石塚佳奈氏のコスチューム製作ユニットによる作品。森村氏の希望により、映画『風と共に去りぬ』の劇中において、スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー演)がレット・バトラー(クラーク・ゲーブル演)に会いに行く際に着ていた、カーテンからつくった“グリーンのドレス”をオマージュした「子ども用のドレス」
「アート・シマツの極意」展 会場風景(撮影:『TECTURE MAG 』編集部、以下同)
ちいさな「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」と題した展示
「作品数も、会場の”迷宮感”もぜんぜんちがいますが、あの、すばらしかった展示の雰囲気だけでも伝えられたらと思います。」(本展に掲示されたテキストより)
京都市京セラ美術館で開催された展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」会場で使用された、西澤徹夫建築事務所がデザインしたベンチも今回の”アート・シマツ”に!
「アート・シマツ」プロジェクトでは、募集した40日間に322件ものアイデアが寄せられた。会場の展示では集計結果の一部も報告されている
「アート・シマツの極意」展 展示・物販コーナー
プロジェクトの第四部も本展にて始動、使いやすいサイズでカーテン生地の切り売りを行い、来場者に「アート・シマツ」の次なる展開を期待している
本展会期中に現品限りの計3台が販売される、建築家の西澤徹夫氏がデザインした木製ベンチ(税込価格:大 110,000円 / 小 77,000円 ※共に送料は別途)
会期:2023年3月17日(金)~4月16日(日)
会場:イベントスペース「ほぼ日曜日」
所在地:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 8階
開場時間:11:00-20:00
休館日:3月31日(金)
入場料:無料
3月31日には会場内にて「アートとシマツの落語会」も開催される(イベント当日は高座をしつらえ、観客は椅子着座となる予定)
「アート・シマツ」とは、古典落語の演目の1つ、「始末の極意」から森村氏が着想を得てうまれた。この”お題”を落語家の桂 吉坊師匠が公演し、森村氏も登壇して解説を行う。
日時:2023年3月31日(金)
・1公演目 開演15:00(開場14:45)
・2公演目 開演19:00(開場18:45)
※公演時間は共に1時間半~2時間を予定
出演:桂 吉坊(落語家)、森村泰昌 ほか
会場:渋谷PARCO 8階 イベントスペース「ほぼ日曜日」
視聴方法:チケット制、要予約
料金:3,300円(税込)
販売開始:2023年3月17日(金)午前11時
チケット取扱:以下URLの「アート・シマツの極意」展イベントページにて