東京駅の皇居側の目の前に、地上37階建ての超高層複合施設〈丸の内ビルディング〉(以降、丸ビルと略)が開業したのは2002年。この5年後に、御幸通りを挟んで北側に地上38階建ての規模で〈新丸の内ビルディング〉(以降、新丸ビルと略)が開業。東京の玄関口の顔とも言えるツインタワーとして知られています。
新丸ビルの開業15周年と、丸ビルの開業20周年の節目にあたる2022年の9月以降、両ビルのアニバーサリーイヤー企画が始動(三菱地所+三菱地所プロパティマネジメント)、館内の各フロアでリニューアルが行われ、個性的な各種店舗が順次オープンしています。
このアニバーサリープロジェクトの一環として、丸ビルの地下と新丸ビル7階の飲食フロアも、「Your Palette-明日を彩る、わたしを選ぼう。-」をコンセプトに、これまで以上に個性豊かな各種飲食店が集まる魅力的なフロアとなっています。
このうち、新丸ビル7階「(marunouchi) HOUSE」では、既存の6店舗のレストラン・バーに加え、新たに5店舗が入り、4月17日にリニューアルオープン。コロナ禍を経て、さまざまなニーズに対応した「大人の社交場」へと生まれ変わりました。
連動して、同フロアのトイレもリニューアル。空間デザインを、I IN(アイ イン)と三菱地所設計が共同で手がけています。
商業施設の館内とはいえ、不特定多数の人々が利用する公共のトイレとしては珍しい、光の色を思い切って大胆に取り入れた空間となっています。
デザインコンセプト
新丸ビル15周年に伴う大規模リノベーションの中でも特異な存在感を放つ飲食フロア「(marunouchi) HOUSE」における、パブリックトイレの改修プロジェクトである。
多くの人が訪れる商業施設の中のトイレであり、強いインパクトとメッセージ性を伝えることを今回のデザインの目的とした。
その1つが、ジェンダーを示す色の新しい在り方となる提案である。
多様性の象徴であるレインボーカラーにおいて、となりあう2つの色、黄色と緑色をそれぞれのトイレ空間のキーカラーとして用いることで、ジェンダーの隔たりを和らげる表現とすることを試みた。それぞれの色が空間の中でいっぱいに広がり、人々は光の色彩を身体(からだ)全体で体験する。床、壁、天井は白いタイルで構成され、清潔感を強調している。タイルの表面の微細についた凹凸は、光を受けることによって、繊細な陰影を生み出している。
金物でつくられた特注の洗面カウンターは、強い存在感を放ちながら、このトイレを利用する人々を光とともに包み込む、新たな手洗いの行為を提案している。光の色によって洗い流されるような感覚が、トイレでの全ての体験要素を非日常的なものへと転換し、訪れる人に強い印象を残していく。(I IN)
所在地:東京都千代田区丸の内1丁目5-1 新丸の内ビルディング 7階
フロア名称:(marunouchi) HOUSE(読み:丸の内ハウス)
事業主:三菱地所
デザイン:I IN
設計:三菱地所設計
管理:三菱地所プロパティマネジメント
施工:乃村工藝社、竹中工務店、東光電気工事、三機工業、西原衛生工業所
撮影:三輪晃久写真研究所、見学友宙
提供開始:2023年4月17日
新丸ビル「(marunouchi) HOUSE」詳細
https://www.marunouchi-house.com/
「丸の内ハウス」に関する三菱地所プロパティマネジメント プレスリリース(2023年4月6日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000043503.html