大和ハウス工業が、老朽化した公設卸売市場の建て替え支援事業を展開することを発表しました(2022年2月25日プレスリリース)。第一弾として、「富山市公設地方卸売市場再整備事業」の本体工事に着手したとのこと。
食品施設や物流施設など、生鮮食品を取り扱う施設の開発実績を背景に、行政の財政負担軽減や施設規模の最適化を目指します。
1970年代に全国各地に建設された、安全な青果物や水産物などの生鮮食料品、観賞用草花などの取り引きを行う中央および地方の卸売市場の数は約200カ所。その多くが、設備の老朽化や耐震性の不足などの課題を抱えています。
農林水産省の「卸売市場データ集」によると、中央卸売市場の取扱金額は、2006年度の4兆6,796億円から2019年度には3兆5,767億円と低下しており、多くの公設卸売市場において、取扱量に対して過大な規模となっています。
これらを背景に、全国各地の行政では、品質管理や配送などの機能強化のため、民間企業を活用した再整備が進められています。
大和ハウス工業では、創業時から現在までに、約900ヶ所で、食品工場や冷凍・冷蔵倉庫など数多くの食品関連施設を手掛けています。
食品工場では年間約30件。適正製造基準に準拠した施設やHACCP[*1]に対応できる施設、温度帯管理施設などの調査企画から設計、施工、アフターサービスにいたるまで、さまざまな食品事業をサポートしています。
物流施設では、これまでに3,000棟以上を開発しており、食品や生活必需品など多種多様な業種のニーズにこたえるため、常温・冷蔵・冷凍など各種食品の管理に対応できる施設の提案も行っています。
*1. 食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因を分析し、効率よく管理して安全を確保する管理手法のこと
同社では、これらのノウハウを活かし、全国各地の行政が公募する卸売市場の再整備事業に積極的に応募していく方針です。
同整備事業は、1973年5月に開設された富山市公設地方卸売市場(開設時名称:富山市中央卸売市場)の建て替えと、余剰地活用の事業です。
同市場では、生鮮食料品の取扱数量が年々減少しており、2016年度には、青果が1992年度のピーク時から約1/2、水産が1983年のピーク時から約1/3まで減少しています。
こうした状況を受け、富山市では2018年7月に「富山市公設地方卸売市場再整備構想」を公表。2020年12月に「富山市公設地方卸売市場再整備事業」の募集要項が開示され、2021年3月に、大和ハウス工業を代表企業とした全8社(現在は9社)による事業者「新とやまいちば創生プロジェクトチーム」が優先交渉権者として選定されています。
同事業では、富山市が所有する市場敷地全体に、約30年間の事業用定期借地権を設定し、「新とやまいちば創生プロジェクトチーム」が、市場施設と商業施設などを一体的に整備します。
卸売市場施設のコンパクト化と、富山市の財政負担軽減を図り、余剰地には商業施設を誘致。「まちに開かれた生活市場」をコンセプトとした一体開発が行われます。
開業は2026年3月の予定です。
名称:「富山市公設地方卸売市場」
所在地:富山市掛尾町500番地(Google Map)
建物用途:青果棟、水産棟、関連店舗棟、家具棟、スーパーマーケット棟、ホームセンター棟
敷地面積:約118,000m²
延床面積:約33,900m²
付帯施設:
青果棟:地上2階建て / 延床面積 約7,300m²
水産棟:地上2階建て / 延床面積 約4,700m²
関連店舗・事務所棟:地上3階建て / 延床面積 約4,800m²
スーパー棟:地上1階建て / 延床面積 約3,000m²
家具棟:地上2階建て / 延床面積 約6,500m²
ホームセンター棟:地上1階建て / 延床面積 約7,600m²
設計:押田建築設計事務所
施工:大和ハウス工業
事業者:新とやまいちば創生プロジェクトチーム
事業代表企業:大和ハウス工業 富山支店
構成企業:押田建築設計事務所、富山中央青果、大和情報サービス、大和ハウスプロパティマネジメント、日本海ガス、北陸電力ビズ・エナジーソリューション、松原建設
着工:2022年2月25日
工事スケジュール:
第一期:青果棟、関連店舗事務所棟工事 2022年2月着工~2023年1月竣工
第二期:水産棟工事 2023年8月着工~2024年6月竣工
第三期:スーパー棟・インテリア棟・ホームセンター棟工事 2025年5月着工~2026年2月竣工
開業(予定):2026年3月
富山市公設地方卸売市場再整備事業(富山市発表)
https://www.city.toyama.toyama.jp/norinsuisanbu/oroshiuriichiba/saiseibijigyou.html