CULTURE

内覧会Report: 平田晃久設計〈ナインアワーズ半蔵門〉

CULTURE2020.08.12

2020年6月16日 初掲
同年8月12日内覧会レポートを追加

ナインアワーズとして国内15棟目となる〈ナインアワーズ半蔵門〉が7月1日に開業しました。

【TECTURE MAG】では、基本・実施設計・監理を平田晃久設計事務所が担当した同ホテルについて、6月16日に内外観のCGイメージビジュアル(下の画)が公開された際に速報しています。

開業前の6月29日に開催されたプレス内覧会を【TECTURE MAG】は取材。内外観の様子と、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大および予防に取り組む、ナインアワーズ独自の衛生対策をお伝えします。

模型(制作:平田晃久建築設計事務所)

〈ナインアワーズ半蔵門〉
開業日:2020年7月1日
所在地:東京都千代田区麹町3-5-20
最寄駅:東京メトロ有楽町線麹町駅(1番出口)徒歩2分、半蔵門線半蔵門駅(1番出口)徒歩3分
電話番号:03-6910-0940
営業時間:24時間 年中無休
延床面積:1,207.44平方メートル / 敷地面積178.59平方メートル / 地上10階建
客室数:180室[男性100室 / 女性80室]
所有:ナインアワーズプロパティファンド第2号
運営:ナインアワーズ
基本・実施設計・監理:平田晃久建築設計事務所
設計施工:坪井工業
〈ナインアワーズ半蔵門〉 https://ninehours.co.jp/hanzomon

平田彰久氏は、これまで手がけたナインアワーズ大手町(旧竹橋)・赤坂・浅草・新大阪・水道橋・浜松町と合わせて、今回の半蔵門で7棟目となります。

建築コンセプト:
「ナインアワーズ半蔵門」は皇居から続く街路樹が立体化したようなファサードを持つカプセルホテル+ランニングステーションです。
かつて武家屋敷だった敷地周辺は、現在ではカーテンウォールのビルが立ち並ぶオフィス街となっています。そこで、この建築のファサードには周囲の雰囲気を取り入れたミラーガラスと、カプセルモジュールである120cm角グリッドのサッシュを用いました。
立体的に配された樹木は、120cmキューブのピクセルで刳り抜かれたニッチにはめ込まれます。空中の樹木はミラーガラスに映し込まれ、街の中に緑を増幅させます。夜には緑を照らす照明や室内からこぼれた光により昼間とは違った表情が街に浮かび上がります。
内部は雁行したカプセル配置により、徐々に外部に向かっていく街路的な広がりを持ちます。内外にまたがる立体的な「街路」を介して都市の中に生活していることを体感することができるでしょう。(平田晃久)

まわりはガラスファサードだらけのオフィス街。上記の設計コンセプトにもあるように、「ファサードには周囲の雰囲気を取り入れたミラーガラスと、カプセルモジュールである120cm角グリッドのサッシュ」を採用。反射率の高いものとやや低いもの、クリアガラスの3種類を配しています(本稿4枚目の外観写真を参照)。軒天は映り込みを意識してシルバーとなっています。

ナインアワーズは、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動の本質を捉え、機能性と品質を徹底追求し、適切で納得感のあるサービスで都市ならではのトランジットサービスを各地で提供してきました。
半蔵門でもそのコンセプトは変わりません。そして、2009年の1号店開業以来、クリエイティブディレクション・プロダクトデザインは柴田文江氏、サイン&グラフィックデザインは廣村正彰氏が担当しています。

最上階・10階カプセルフロア

最上階・10階からの眺望。ビルの谷間に国会議事堂が見える。手前のマツはナインアワーズの植栽

サルスベリ、コブシ、マツなどの植栽で、平田氏の「植物が浮かんでいるイメージ」を具現化したのは、有限会社温室の塚田有一氏。平田氏とは、東京・赤坂のOKAMURA DESIGN SPACE で2012年に開催された、会場を水と植物で満たした企画展「FLOW_ER」展でも協働しています。

構造上必要な柱に造作してプランターで空間の一角を演出(9階)。

カプセルフロアの窓に面している角の部分は、カプセルを1つでも多く設置するのではなく、空間としての開放感を優先。宿泊フロアの奇数階の一角にはプランタースペースが施されており、腰を屈めてにじり入るカプセルと合わせ、茶室の「床の間」を想起させます。グリーンは温室の塚田氏のセレクトによるもの。

8階カプセルフロア

カプセルまわりの壁など、館内のベースカラーはグレーで統一されています。カプセルのまわりの色は、上の階ほど明るめのグレーで、階が下るほどシックなグレーへと変わっていきます。言われないと気づかない、繊細なカラーリングです。

5階から植栽越しの外の眺め。

なお、ナインアワーズでは、COVID-19の感染拡大を受けて、4月半ばより全店が臨時休業に入っていましたが、7月1日(水)より、新店舗として開業した〈ナインアワーズ半蔵門〉も含めて営業を再開しています(ナインアワーズ 6月24日プレスリリース)。
営業再開にあたり、ホテルとして最善の感染症予防・拡大防止策「ハイジーンプロジェクト」を立ち上げ、各店で実施しています。

内覧会では、カプセルユニット内を除菌、ウィルスの不活化させるUV照射器を前に説明があり、プレスからの質疑にも対応しました。


#ナインアワーズ YouTube公式チャンネル「9h hygiene project」2020/7/20より限定公開

カプセル内のUV照射とは、直射日光の1,600倍の殺菌効果を持つUV-C(波長254nm)紫外線ランプ40Wを2本用いて、毎日すべてのカプセルユニット内に30秒間照射することで、表面強度6~8mJ / cm²を確保[*]。ウィルスを不活性化させるこの取り組みは、カプセルという凹凸の少ない狭小の空間だからこそ可能となっています。
*光源254nmではインフルエンザウイルスは6mJ / cm²、大腸菌O-157は5mJ / cm²で99.9%不活化・除菌(出典:弘前大学大学院医学研究科感染 生体防御学講座測定)

エレベーター前の館内サイン

ロッカー&シャワールーム

通常のシャワー水栓に加え、高機能なシャワー水栓の「ウォームピラー」(TOTO)も(採用の理由は後述)。

2階・女性専用 シャワー室 洗面

カプセルフロアの手洗い場。ナインアワーズを象徴するカプセルを正面からみたときのかたちにくり抜かれた鏡。

外国人の利用も多いため、ごみ箱の分別の図示もわかりやすい

ナインアワーズでは壁や床、要所に施された廣村氏のサインを見るのも楽しい。

〈ナインアワーズ半蔵門〉は、近い距離にある皇居を周回するランナーの利用を想定して、シューズロッカーやランニングウェア、ランニングシューズなどをレンタルできるランニングステーションを設置しています。シューズはナイキの「ナイキ エア ズーム ペガサス 37」を中心に、ランナーから信頼の高い3つのモデルを提供(無料レンタル)、最新シューズの試走も可能です。

1階 内部エントランス 共有スペース(宿泊以外も利用可能)。内覧会時は中央ベンチに建築模型やシューズのサンプルを展示。

シャワールームに高機能のシャワー水栓を用意しているのも、ランナーたちの疲れを癒すための心配り。ナインアワーズならではの高品質な機能とサービスを提供しています。(en)


#ナインアワーズ YouTube公式チャンネル「9h nine hours hanzomon」2020/7/20 公開 Cinematography & Editng :
Nakasa & Partners

ナインアワーズ
https://ninehours.co.jp/