CULTURE

隈研吾+佐藤可士和監修、横浜「洋光台団地」における「団地の未来プロジェクト」で集会所や広場などの整備が完了

CULTURE2020.11.17

UR都市機構では、1970年(昭和45)に神奈川県横浜市磯子区に誕生した「洋光台団地」において、継続的に団地の価値を上げていくことで、より良い社会づくりに貢献することを目指す「団地の未来プロジェクト」を、2015年(平成27)3月より進めています。
外部監修者として、クリエイティブスタジオ・SAMURAIを率いるクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がプロジェクトディレクター、建築家の隈 研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所 主宰)がディレクターアーキテクトを務めています。

2018年には、隈研吾氏デザイン監修のもと洋光台中央広場のリニューアルが行われ、新しく生まれた2階デッキ部分には工芸作家のショップが集積するクラフトマルシェゾーンがオープンしています。

さらにこのほど、隈・佐藤の両氏監修のもと、同エリアの新たな拠点として、「団地の集会所 OPEN RING」や、同集会所に隣接する屋外広場と住棟ファサードの大規模リニューアル(一部建て替え、一部改修)が完了し、その概要が独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)より発表されました(2020年11月16日プレスリリース)。

ディレクターアーキテクト 隈研吾氏コメント:洋光台のリニューアルは、団地という、日本にしかない特別にユニークで豊かな空間とコミュニティの資産を再発見するプロジェクトでした。コロナ後の、開放的なライフスタイルの一つのモデルが、洋光台に生まれつつあります。


#UR都市機構 YouTube公式チェンネル「団地の未来プロジェクト 洋光台北団地エリアリニューアル お披露目ムービー!」(2020/11/16)

団地の住民および地域の人々に親しみやすい場として、従来の集会所から、サンクンガーデンやその奥に新たに誕生した芝生広場と一体となった「団地の集会所 OPEN RING」として生まれ変わりました。コミュニティカフェ「団地のカフェ(「よっしーのお芋やさん」)や「団地のライブラリー」なども併設されています。

「団地の集会所 OPEN RING」

「団地の集会所 OPEN RING」は、2015年から2016年にかけて行われた「団地の未来プロジェクト建築アイデアコンペティション-集会所」において、148作品(応募登録数277)の中から最優秀賞に選ばれた、東京と香港に拠点をおくデザインユニット、NAAW(長野憲太郎+王翠君)による提案「OPEN RING」をベースに、隈氏と佐藤氏のディレクションにより具現化されたものです。

最優秀案「OPEN RING」 提案者:長野憲太郎+王翠君 / NAAW(アイデアコンペ結果発表ページより)

「団地の集会所 OPEN RING」改修コンセプト:北団地の屋外空間の良さを活かすために、建物と地形の関係性を高めることを考えました。サンクンガーデンをより広く階段状に改修し、軒下空間と関係づけることによって、既存建物・周辺環境を含め全体として「集まり」を感じる空間をつくりました。新築、改修、既存部分を共存させることで、文脈と馴染んだ様々な居場所や交流の場所を創出しました。また、軒下空間が通り側にも面することで、北団地の玄関口として人々を迎えられるように考えました。(デザインアーキテクト NAAW)

階段で囲まれた広場・サンクンガーデン

「団地のカフェ」外観

「団地のカフェ」内観

「団地のライブラリー」の監修は、ブックディレクターの幅 允孝氏(BACH 代表)が担当

プロジェクト関係者(左から):隈 研吾、佐藤可士和、長野憲太郎、幅 允孝の各氏

「団地の集会所 OPEN RING」のオープンにあわせて、洋光台中央広場のトーン&マナーを継承して佐藤可士和氏がデザイン監修を行った、洋光台北団地集会所に隣接する、広場と住棟ファサードのリニューアル工事も完成。洋光台地区の北エリアに新たな拠点が誕生しました

広場では、柵や段差をなくし、芝生を敷設したことにより、高度成長期時代の「団地」のイメージが刷新されています。住民に限らず誰もが使いやすい、オープンで気持ちの良いスペースに。ロゴマークをかたどった木製の家具も配置されています。

屋外広場

プロジェクトディレクター 佐藤可士和氏コメント
今回の北エリア改修は、プロジェクトのメインコンセプトである「集まって住むパワー」の象徴として、中央エリアに続いて具現化されたものです。集会所を起点に、木と緑の爽やかな空間としてリデザインしました。団地ならではの「集住の価値」を再発見し、皆さんが心地良く一日を過ごせる場所となってほしいと考えています。

住棟ファサードは白く再塗装され、加えて、温かみのある木調のルーバー状の手すりを設置。広場など周囲の緑と調和するデザインとなっています(デザイン監修:SAMURAI)。

住棟ファサードのリニューアル

団地の「小枝手すり」

「住棟ファサード」改修コンセプト:今回の広場と住棟ファサードの改修に当たってまず心がけたのは、明るく、風通しの良い、普遍的に気持ちの良い場所を住人の方々に提供することでした。なるべく開放的な空間となるよう、既設の古くなってしまった構造物を撤去し、植栽の整理を施すことで生まれたオープンスペースに芝を貼り、木製の家具を設置しました。白く再塗装された住戸のファサードには、木調のルーバー状の手すりを設置。シンプルな外壁に広場の家具や緑と調和するアクセントを与えることで、ランドスケープと建物が一体化するようにデザインしています。軽やかな印象に生まれ変わる洋光台団地が、団地の更なる可能性を広げていけるような試みを継続していきたいと考えています。(デザイン監修:SAMURAI)

「洋光台団地」では今後、「団地の集会所 OPEN RING」を活用したワークショップや、広場でのイベントなどを予定しており、団地の住民や近隣地域の人々のコミュニティ拠点として「新しい住まい方」の発信を行っていく予定とのことです。(en)

UR都市機構「団地の未来プロジェクト」公式ウェブサイト
http://danchinomirai.com/

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

洋光台団地「団地の未来プロジェクト」

FEATURE2021.04.06
【イベントReport】佐藤可士和展連動企画 UR都市機構「団地の未来プロジェクト」トークセッション
CULTURE2022.04.17

新刊『郊外住宅地の再生とエリアマネジメント』

佐藤可士和、隈研吾らが参画した「団地の未来プロジェクト」を含む洋光台エリアマネジメント10年間の軌跡

【特別対談】佐藤可士和×中島正弘「団地を俯瞰してデザインする」

FEATURE2021.04.27

Special Dialogue Series #01

【特別対談】佐藤可士和×中島正弘「団地を俯瞰してデザインする」 #01 改善できるスペースを見出す
FEATURE2021.04.30

Special Dialogue Series #02

【特別対談】佐藤可士和×中島正弘「団地を俯瞰してデザインする」 #02 全体のイメージを大切にデザインする
FEATURE2021.06.09

[Special dialogue movie] Kashiwa Sato × Masahiro Nakajima

【対談動画】佐藤可士和×中島正弘「団地を俯瞰してデザインする」

国立新美術館「佐藤可士和展」概要

COMPETITION & EVENT2021.03.17

Special Exhibitions "KASHIWA SATO"

「佐藤可士和展」国立新美術館にて開催

「佐藤可士和展」会場レポート

FEATURE2021.04.07

国立新美術館「佐藤可士和展」会場Report

佐藤可士和が佐藤可士和をプロデュースする展覧会

RECOMMENDED ARTICLE

  • TOP
  • CULTURE
  • ARCHITECTURE
  • 隈研吾+佐藤可士和監修、横浜「洋光台団地」における「団地の未来プロジェクト」で集会所や広場などの整備が完了
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ