品川駅と田町駅の間にあったJR品川車両基地跡地の大型再開発プロジェクト、品川開発プロジェクト(第I期)を推進しているJR東日本が、進行中の新街区および建設される棟の用途など概要のほか、建物のイメージビジュアル、デザインを担当する建築家とデザイナー、スケジュールなどを発表しました[*]。
*.プレスリリース発表当時の内容につき、今後変更される場合あり
同プロジェクトの開発面積は、約9.5ヘクタールにおよび、4つの街区にまたがる大規模なもの。2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅に加えて、計5棟の複合棟が建設され、2025年度内までに東京に新たな”国際タウン”が誕生する予定です。
街全体の照明デザインを、シリウスライティングオフィス(代表:戸恒浩人)が担当。文化創造棟の外装デザインをデザインアーキテクトとして隈 研吾氏が担当。
また、開業予定のラグジュアリーホテルのパートナー企業には、マリオット・インターナショナルを迎え、「JWマリオット」ブランドのホテルが首都圏に初進出。住宅棟の低層部にはインターナショナルスクールも開校します。
開発コンセプトは「Global Gateway(グローバル ゲートウェイ)」。この地の歴史性が反映されています。
現・高輪ゲートウェイ駅傍の国道15号線付近は、江戸時代には旧東海道が開かれ、品川は江戸から旅立つ最初の宿場町として栄え、高輪大木戸(関所)は、江戸への玄関口でした。明治期になると、帝都と横浜を結ぶ日本初の鉄道が開通。このとき、海上には、日本の在来技術と西洋技術の融合となる高輪築堤が築かれました。
古くからのダイバーシティとして栄え、日本の近代化を支えたこの地の歴史性を継承しつつ、次の時代へとつなげていくため、世界に新たなイノベーションを発信する場、新たな文化・ビジネスが生まれ続けるまちとして「Global Gateway」と命名されています。
JR東日本では、この街を「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」と位置づけ、多様なパートナー、周辺地域の人々との共創による、まちづくりを進める計画です。分散型のあたらしい働き方・暮らし方を創出します。
新たな文化・ビジネスが生まれ続けるための仕組みづくりの一環として、「TokyoYard PROJECT」が稼働中、公式サイトもオープンしています。
街名仮称:高輪ゲートウェイシティ
建物仮称 / 区域名称:各称以下の通り
・複合棟I(North・South)/ 4街区
・複合棟II / 3街区
・文化創造棟 / 2街区
・住宅棟 / 1街区
文化創造棟
外装デザイン:隈 研吾(デザインアーキテクト)
施設内部で行われるダイナミックな活動が躍動感をもって外部に滲み出す象徴的なデザイン。緑と木によってかたちづくられたスパイラルにより、建物全体で日本の四季を表現している。
住宅棟 住宅内装デザイン:
インテリアデザイン:HBA(ハーシュ・ベドナー・アソシエイツ)
“Wind and Sails”をコンセプトに、風を受けて揺れる帆の柔らかさと、大海を進む帆船の力強さを併せもった、躍動感あふれるインテリアデザインで、日々の暮らしをラグジュアリーに彩る。
複合棟I
外装デザイン・エントランス内装デザイン:ピカード・チルトン(Pickard Chilton)
街の中心街区として、「象徴的なアイデンティティの創出」「ヒューマンスケールな空間表現」「海岸線を想起させる全体デザインに調和する”フロー”が生み出す良質な空間形成」を指針にデザインを行う。
複合棟I / ホテル
内装デザイン:ヤブ・プッシェルバーグ(Yabu Pushelberg)
街全体 照明デザイン:シリウスライティングオフィス(代表:戸恒浩人)
かつてこの場所で人々が集まり栄えた湊(みなと)を照明によって表現。各棟を海岸線で未来への船出を待つ帆船に見立て、季節やイベントに合わせた街の照明全体での動的演出も行われる予定。
高輪ゲートウェイ駅前に建設される国際交流拠点の象徴となるツインタワー。
駅直結の立地を活かし、国際的な大企業本社機能の入居を想定したハイグレードオフィスを有するほか、国際会議の誘致を想定した大規模コンベンション・カンファレンス機能を整備。
South棟高層部(23階〜30階)には、ラグジュアリーホテル〈JWマリオット・ホテル東京〉が首都圏発進出。North棟には、高層にルーフトップレストラン、低層部全体に商業施設が展開。利便性の高い空間を提供する。
LEED BD+C CS(バージョン4)の予備認証ゴールドを取得済み。
区域名称:4街区
敷地面積:38,281.26m²
延床面積:460.177.37m²
高さ:North 161.43m / South 158.68m
階数:North 地上29階+地下3階 / South 地上30階+地下3階
主用途:オフィス、ホテル、商業、コンベンション、カンファレンス、子育支援施設、ビジネス、支援施設、駐車場など
設計:品川開発プロジェクト(第I期)設計共同企業体
デザイナー:
外装デザインアーキテクト・エントランス内装デザイン:ピカード・チルトン
ホテル内装デザイナー:ヤブ・プッシェルバーグ
施工:大林組
泉岳寺駅に隣接する大規模複合棟。
フレキシビリティの高いオフィスフロアに加え、商業施設やクリニック、フィットネスを完備し、ビジネスワーカーの街でのくらしを支える。
街のレジリエンス(回復力)を支えるエネルギーセンター・地域冷暖房設備を有し、街全体に環境性能の高いエネルギーを供給。災害時も電力・熱を確保する。
LEED BD+C CS(バージョン4)の予備認証シルバーを取得済み。
第7橋梁部を含む高輪築堤80mの現地保存の保存空間確保にあたり、建物位置の東側への移動のため、都市計画変更を行った(2021年11月都市計画変更決定)。
区域名称:3街区
敷地面積:14,996.38m²
延床面積:208,164.26m²
高さ:166.86m
階数:地上31階+地下5階
主用途:オフィス、商業、フィットネス、クリニック、子育支援施設、エネルギーセンター(地域冷暖房)、駐車場など
設計:品川開発プロジェクト(第I期)設計共同企業体
施工:大林組
公園と一体となった低層建物を計画。屋上庭園には水盤のほか足湯設備も用意される。
外装デザインアーキテクトに隈 研吾氏を迎え、緑と木によって形づくられたスパイラルにより、建物全体で日本の四季を表現する。
街のシンボルとなる施設として、約1,200人収容のライブホール、約1,500m²の展示室、約300m²のオルタナティブスペース、約200m²の畳スペースなどを備え、次世代に向けた文化育成・交流・発信の拠点となる。
区域名称:2街区
敷地面積:7,977.31m²
延床面積:28,952.55m²
高さ:44.98m
階数:地上6階+地下3階
主用途:展示場、ホール、飲食施設、駐車場など
設計:品川開発プロジェクト(第I期)設計共同企業体
デザイナー:外装デザインアーキテクト / 隈研吾建築都市設計事務所
エクスパッツ(外国人ビジネスワーカー)にも対応した国際水準の高層高級賃貸住宅、テラス型住戸を含むレジデンス。
低層部のインターナショナルスクールによって、周辺に居住するエクスパッツとその家族にとっても暮らしやすい環境を提供する。
区域名称:1街区
敷地面積:12,705.97m²
延床面積:148,294.34m²
高さ:172.12m
階数:地上44階+地下2階
主用途:住宅、インターナショナルスクール、商業、駐車場など
設計:品川開発プロジェクト(第I期)設計共同企業体(構成員:JR東日本建築設計 / JR東日本コンサルタンツ / 日本設計 / 日建設計)
デザイナー:住宅部分内装デザイン:HBA(ハーシュ・ベドナー・アソシエイツ)
施工:フジタ
ホテル
オペレーター:マリオット・インターナショナル
「JWマリオット」ブランドのホテルが首都圏に初進出。内装デザインを〈ザ・ロンドン・エディション〉をはじめ、世界各地のマリオットホテルでもデザインの実績を有する、ヤブ・プッシェルバーグ(Yabu Pushelberg)が担当。
総客室数:約200室
付帯設備:ラウンジ、ダイニング、レストラン、会議室、ファンクションルーム、屋内プール、フィットネスジム、Spa by JW ほか
「禅」のイメージから、日本らしい深い藍色をアクセントカラーとし、バランスのとれた繊細かつエレガントなデザイン。ゲストが文化的な幅の拡がりを経験し、ウェルビーイングの向上を体験できる場としてデザインされる。
インターナショナルスクール
オペレーター:学校法人 東京インターナショナルスクール
国籍、宗教に関係なく生徒を受け入れているインターナショナルスクールがオペレーションを行う。Global Gateway にふさわしい外国人コミュニティの核となる施設を目指す。11学年・各学年2クラス40名、最大440名を予定。
文化創造棟と連携した実践的なアートプログラム、起業家とのコラボレーションなど、高輪ゲートウェイシティ(仮称)ならではの教育プログラムを検討。
コンベンション・カンファレンス
国際会議誘致・施設運営パートナー:コングレ
国際会議等の大規模なコンベンションをはじめ、さまざまなニーズに対応。多機能ホールと会議室、高速大容量通信環境を完備し、リアルでもバーチャルでも最先端の情報交流を実現する次世代型MICE施設。
フロア計画:
コンベンション 複合棟I 地下2階〜1階
カンファレンス 複合棟I 6階
コンベンションホール(約1700m・最大2000人収容)
中会議室(約300〜500m²・約260〜500人収容):4室 / 小会議室(約100m²・約60人収容):10室
オフィス
練されたロビーや抜群のアクセスで、ヘッドオフィス機能にふさわしい気品あるオフィス空間
オペレーター:ジェイアール東日本ビルディング
商業
オペレーター:ルミネ
既存の商業施設の領域に留まらない、エキマチー体開発だからこそ実現可能な MD・サービスを提供する、ライフデザイン型の商業空間
住宅
オペレーター:ジェイアール東日本都市開発
Global Gateway にふさわしい国際水準の住環境を提供するハイグレード賃貸住宅
フィットネス
オペレーター:JR東日本スポーツ
街全体を活用した「フィットネスフィールド」をコンセプトとした大型フィットネスクラブ
「Global Gateway」のビジョンと一体となり、「100年先の心豊かな暮らし」に対して、品川開発プロジェクトにおける文化創造施設での各種プログラムの企画・運営を担うための組織として、一般財団法人 JR東日本文化創造財団が、2022年4月1日に設立されています。
同法人の文化創造棟準備室長には、日本科学未来館のキュレーターを長年務め、関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」プランニングディレクターを務める内田まほろ氏が就任しています。
内田まほろ氏プロフィール
1971年生まれ。
2005-2006年に文化庁在外研修員として、米国ニューヨーク近代美術館(MoMA)に勤務。Barbican Center “AI-More than Human” ゲストキュレーター、Milano Triennale”Broken Nature” アドバイザリー委員など歴任。2002‐2020年日本科学未来館キュレーター、同館展示開発課長を務める。
慶應義塾大学非常勤講師、金沢美術工芸大学名誉客員教授 大阪大学招聘教授、グッドデザイン賞審査委員大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」プランニングディレクターほかを務める。
複合棟I・高輪ゲートウェイ駅周辺エリア
開業予定:2024年度末(2025年3月)
国際交流拠点としての主要な機能であるMICE施設(コンベンション、カンファレンス、ビジネス支援施設)、オフィス、商業などを整備する複合棟I、および駅周辺の広場・歩行者デッキなどを開業。伴い、高輪ゲートウェイ駅を全面開業となる。
JWマリオット・ホテル東京
開業予定:2025年春
その他の棟・エリア
開業予定:2025年度中
高輪築堤の現地保存に伴う計画変更に関して、具体的な施工計画が確定。複合棟II、文化創造棟、住宅棟および各棟周辺エリアは、2025年度中に開業の見込み。
#TokyoYard PROJECT / JR東日本
YouTubeチャンネル 高輪ゲートウェイ「まちづくりムービー」(フルバージョン)(2022/03/22)
「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」に関する各社プレスリリース
マリオット・インターナショナル(2022年4月21日発表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001000.000011305.html
コングレ(2022年4月21日発表)
https://www.congre.com/news/20220421-13950/
東日本旅客鉄道株式会社(2022年4月21日発表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000450.000017557.html