福岡の太宰府天満宮の本殿が、124年ぶりに大改修されるのに際し、改修期間に建てられる「仮殿」のデザインと設計を、藤本壮介建築設計事務所が担当することが11月22日に発表されました。仮殿は来年2月に着工し、約3カ月半で完成する予定です。
平安時代の朝廷で活躍し、左遷先の太宰府で没した菅原道真(845-903)を祀り、創建は西暦900年初頭(延喜年間)に遡る太宰府天満宮。現在の本殿は、約430年前に筑前国主を務めた小早川隆景(15633-1597)が1591年(天正19)に再建したもので、桃山時代の豪壮華麗な様式を伝え、国の重要文化財に指定されています。
2023年5月中旬から本格的に始まる本殿の大改修では、檜皮の葺替え、漆塗りなどを中心に、防災工事も含めた工事が行われる予定で、これほどの規模での改修は、再建以来初とのこと。
このため、藤本氏の設計により仮殿が建設され、約3年のあいだ使用されます(仮殿遷座祭が執り行われた後、仮殿にて神事や参拝受付を行う)。斎場は現在の本殿と変わらない広さになるとのこと。
2022年(令和4)11月22日:仮殿 完成図 披露
2023年(令和5)2月初旬:仮殿着工
2023年(令和5)5月中旬:仮殿完成、御本殿改修工事着工
2026年(令和8):御本殿改修工事完了予定
建築家の藤本壮介氏によるデザインは、周囲の杜との調和を重視して、仮殿の屋根に木を植えるというもの。また、現在の本殿とは異なり、靴を脱がずに建物の中に入る仕様となります。スロープも設けられ、 年配者や子ども連れの参拝者にも配慮したユニバーサルな設計です。
藤本壮介氏コメント
「太宰府天満宮周辺に広がる、豊かな自然が御本殿前に飛翔し、仮殿としての佇いをつくり上げることをコンセプトとしています。これは、太宰府に古くから残る、道真公を慕う梅の木が一夜のうちに太宰府まで飛んできた、飛梅伝説から着想を得たものです。
仮殿では、梅の木の他にも、天満宮周辺の植物が回廊内に軽やかに舞い、道真公の為の住まいの屋根を創りあげます。屋根の上の植物は、天満宮周辺の環境と共に、季節や天候によってさまざまな移ろいを見せることでしょう。
斎場内は、現代的なプロポーションと伝統的な空間が水平線上に広がり、御扉を中心とした祭壇が、森の影の中から印象深く映えることを意識しています。
内部に近づくと、ルーバー状の天井が曲面状に現れますが、これは御本殿の伝統的な垂木を踏襲しており、厳粛な空間を想起させることを期待しています。さらに内部に踏み入ると、斎場の天窓から美しい空と共に森が目に飛び込み、再び天満宮の豊かな自然を体全体で感じることができます。」
2019年(平成31)4月1日に第40代太宰府天満宮宮司に就任した西高辻󠄀信宏氏は、本殿改修を発表したプレスリリースにて「約3年間を要する大改修において、むしろ約3年間しかお参りをいただけない、令和の時代だからこその、魅力的で特別な仮殿を造りたいと、さまざまなプロジェクトで挑戦を続ける藤本壮介氏にデザイン・設計を依頼した」とコメントを寄せています。
太宰府天満宮
所在地:福岡県太宰府市宰府4丁目7-1(Google Map)
公式ウェブサイト
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