CULTURE

BIGによるモジュラーハウジングプロジェクト

多様な生活に対応する渦巻き状の住居群〈Sneglehusene〉

CULTURE2022.10.11
〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

デンマーク・オーフス郊外に建つ、デンマーク語で「カタツムリの貝殻」を意味する〈Sneglehusene〉は、渦巻き状に配置された住居群です。50から150m²の広さをもつ3つのタイプの住宅モジュールを組み合わせて構成された、モジュラーハウジングプロジェクトとなっています。

ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)が率いるビャルケ・インゲルス・グループ(Bjarke Ingels Group、以下BIGと表記)が設計しました。

(以下、BIGから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

多様な生活に対応するモジュラーハウジングプロジェクト

デンマーク第2の都市オーフス郊外に建つ〈Sneglehusene〉は、その優れた建築的な品質と建築環境への貢献が認められ、オーフス市から最高の栄誉を受けた。少ない材料により実現したこのモジュール建築は、自然と都市生活のどちらにも深く結びついた、93戸の広々とした居住空間をつくり出している。

〈Sneglehusene〉は、オーフスの北に位置する新たな地区「ナイ(Nye)」の意欲的なマスタープランに対するBIGの貢献である。このハウジングプロジェクトは、オーフスを拠点とするデベロッパーTaekker Groupが2018年に開始し、設計と建設をBIGとCj Groupに依頼したものである。

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉は、デンマーク・コペンハーゲンに2018年に建設した手頃な価格の住居群「Dortheavej Residences」に続き、BIGとCj Groupの2度目のコラボレーションとなったプロジェクトである。そのため、モジュラーハウジングのコンセプトをさらに適応・進化させ、ナイ地区のためにより洗練されたデザインとする機会を得ることができた。

6棟の建物は、池と遊歩道を囲むように緩やかにカーブを描き、多孔質な壁として設計されている。1階から4階建ての建物は、50から150m²の広さの住居をもち、スタジオ、マルチベッドルームアパートメント、タウンハウスの3つのタイプの住宅を提供している。

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

モジュールだからこそ現れる特徴的な市松模様のファサード

〈Sneglehusene〉は2種類のモジュールを積み重ねたものであり、これを繰り返すことで特徴的な市松模様のファサードが生まれる。モジュールの四方を覆う細長い木板がモジュールを際立たせ、交互に並べることで模様を強調している。

天井高がそれぞれ2.5mと3.5mの2種類の住宅モジュールを積み重ねることで、ゆったりとした室内空間と床から天井まで続く窓、そして各戸に配された屋外テラスを実現している。

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉のシンプルな外観は、内部にも引き継がれている。各住居は、住居タイプや面積に関係なく、建物の両側から自然光を得られるように配置されている。床に換気や暖房システムを組み込むことで間仕切り壁をすべて取り払い、各住居にフレキシビリティを与えている。

建材や仕上げは内外ともに木とコンクリートの淡い色調で統一することで、非常にシンプルにまとめている。

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉周辺の景観は、BIGのランドスケープ部門「BIG Landscape」がデザインした。建物と建物の間を通り抜ける緑の小道や小さな集会所は、隣人同士のおしゃべりや遊びのための快適な空間を提供している。〈Sneglehusene〉の中心には人工池があり、コミュニティの中心であり憩いの場となっている。

この池は、敷地内の運河から流れ込む雨水の流出を管理するとともに、地元の水道局が開発・監督する水循環システムに接続されている。このシステムは、ナイ地区全体から集めた水を浄化して全家庭に送り、トイレの洗浄や衣類のすすぎなどに再利用している。

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

©︎ R Hjortshoj

〈Sneglehusene〉

ブロック

まちに対して閉ざされたクラシックなペリメーターブロックの建物には、居住者だけがアクセスできる緑地がある中庭が設けられている。

スパイラル

〈Sneglehusene〉の敷地は、都市空間に囲まれているのではなく、緑豊かな景観をもち、この自然とそれぞれの建物が視覚的・物理的につながっている。建物はカーブして渦巻き状となり、緑の小道がナイ地区全体の来訪者や居住者につながっている。

〈Sneglehusene〉

建物の文脈

近隣住民とつながり、地域全体を結びつける建物をどうつくるか。

〈Sneglehusene〉

レクリエーション、多機能センター

湖はスパイラルの中心を示し、同時に敷地全体に実装された運河のシステムを通じて雨水を収集する。

〈Sneglehusene〉

近隣とのつながり

〈Sneglehusene〉は、東側でナイ地区の他の建物と視覚的につながり、地域の中心である湖に向かって螺旋状に続いている。

〈Sneglehusene〉

グリーンポケット

6棟の建物は、各棟の間に通路を設け、螺旋状に展開している。その位置は、遊びやいどばた会議の場をつくるだけでなく、周囲の風景に視覚的および物理的につながるために慎重に配されている。

〈Sneglehusene〉

住宅と集合住宅を融合

建物は3階建てを中心に、南に向かって低くなるとともに、敷地の中心に向かってゆっくりと高くなっている。このモジュールコンセプトにより、スタジオ、アパートメント、タウンハウスなど、従来の住宅と一体化した多用途の建築が可能となった。すべての住戸にはプライベートテラスがあり、マルチフロアの建物よりも自然との距離が近くなっている。

〈Sneglehusene〉

サーキュレーション

建物内の通路は、東西南北に交差するように配置され、すべての通路は中央の湖に通じている。この通路は、それぞれの住人が直接アクセスできるプライベート・フロントガーデンから引き込まれている。

〈Sneglehusene〉

プライベートな屋外空間とパブリックな屋外空間の構築

すべてのタウンハウスは、1階のリビングルームの延長線上にフロントガーデンを持つ。フロントガーデンはプライベートな空間であり、徐々に公共の場であるコミュニティエリアへと開いていく。

〈Sneglehusene〉

以下、BIGのリリース(英文)です。

BIG’s MODULAR HOUSING PROJECT ‘SNEGLEHUSENE’ HONORED IN AARHUS, DENMARK

BIG’s recently completed ‘Sneglehusene’ just outside of Aarhus have received the City’s highest honor for its exceptional architectural quality and contribution to the built environment. The project brings 93 new homes to the neighborhood of Nye, mobilizing modular construction with modest materials and creating generous living spaces in close connection to nature and city life.

The ‘Sneglehusene’ are BIG’s contribution to the ambitious master plan of Nye, a new neighborhood developed north of Denmark’s second largest city, Aarhus. The residential project was initiated by Aarhus-based developer Taekker Group in 2018, who retained BIG and contractor Cj Group on the design and construction of the new housing project.

The ‘Sneglehusene’ are BIG and Cj Group’s second collaboration. Following the success of the affordable ‘Dortheavej Residences’ in Copenhagen, Denmark, the team was granted a rare opportunity to further adapt and evolve the modular housing concept into an increasingly refined design for the neighborhood of Nye. Similarly conceived as a porous wall, a total of six buildings gently curve around a pond and a green boardwalk at the heart of the development. The one- to four-storey buildings range in size from 50-150 m2, offering three distinct housing types – studios, multi bedroom apartments and townhouses.

“As an architect, one typically only gets to build a house once. With the ‘Sneglehusene’, we were given the opportunity to evolve our housing concept from an earlier project, while also developing the buildings’ own identity. Our modular concept has made it possible for us to maintain simplicity in the execution despite the construction’s complexity, and we have been allowed to improve the concept with all our experiences. It is a joy to see how the buildings have become homes filled with life, and we’re very proud to have contributed to the realization of the vision for the Nye neighborhood”, Partner, BIG, Finn Noerkjaer.

The ‘Sneglehusene’ consist of two kinds of stacked modules, which are repeated to create the characteristic checkered pattern. Long wooden planks cover the façade on all sides, highlighting the modules and alternating to accentuate the pattern.

The two types of housing modules with 2,5- and 3,5-meter ceilings, respectively, are stacked to create generous indoor spaces, floor-to-ceiling windows and an outdoor terrace in each home.

The simple exterior of the ‘Sneglehusene’ continues inside. Every residence, regardless of typology and square footage, is positioned to enjoy sun and natural daylight from both sides of the building. All partition walls are removed to grant each home flexibility, and ventilation as well as heating is built in the flooring, leaving the walls smooth and intact.

The building materials and finishes are all kept very simple with wood and concrete in light colors dominating inside and out.

BIG Landscape has designed the landscape around ‘Sneglehusene’. Green paths and meeting points between and alongside the buildings offer comfortable pockets for small talk and play among neighbors. The heart of the ‘Sneglehusene’ is marked by an artificial pond, defining a center and retreat for the community.

The pond manages rainwater runoff, which flows to it from canals integrated in the site. Furthermore, the pond is connected to a system for secunda water, developed and supervised by the local water plant, Aarhus Vand. The system reuses water, collected from the entire Nye neighborhood, cleans it and leads it back to all homes to be used for toilet flushes, rinsing clothes, etc.

「Sneglehusene」BIG 公式サイト

https://big.dk/#projects-nye

 

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