CULTURE

ドバイ中心部へと人々を迎えるゲートでもある高層ビル

高速道路をまたぐキャンチレバーが2棟のタワーをつなぐ 日建設計による複合施設〈One Za’abeel〉

CULTURE2024.03.15
〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

ドバイの中心部に、高速道路を挟んで建つ305mと235mの2棟の高層タワーと、地上100mの高さで2棟をつなぐ長さ230mの「THE LINK」で構成された新たなランドマーク〈One Za’abeel〉が誕生しました。高級オフィスや2つのラグジュアリーホテル、住宅、レストラン、バー、商業施設などが集積した大型複合施設です。

ドバイ国際空港から市街地に向かうルート上で、現代的かつダイナミックなゲートでもあり、来街者を最初に出迎えます。リードコンサルタントである日建設計が設計・監理全体を統括したプロジェクトです。

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

ドバイの新たなシンボルとなるエレガントなタワー

〈One Za’abeel〉は、世界有数の金融ハブであるドバイ中心部の玄関口に位置し、オフィス・ホテル・住宅・商業施設をシームレスに一体化する大規模複合開発である。魅力的で洗練されたライフスタイルの提供を目指し、2014年の国際コンペにより日建設計が選ばれた。

高速道路で分断された敷地に建つ2棟のタワーが、地上100mの高さに位置する「THE LINK」により連結されている。非対称で直線的なシルエットは、時代を超越するエレガンスを体現し、ガラスカーテンウォールの外装は室内環境に配慮してデザインされている。

高級ホテル「One&Only」が展開する初の都市型リゾート「One&Only One Za’abeel」、94戸のサービスアパートメント「One&Only Private Homes」、フィットネス&リカバリーをコンセプトとするライフスタイルホテル「SIRO」が入居し、8軒のミシュラン星付きレストランや「THE LINK」屋上にはインフィニティ・プールを有する。

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

ドバイの新たなスカイライン

〈One Za’abeel〉は、ドバイ国際空港から市街地へと向かうメインストリートであるSheikh Zayed Roadの入口に立地している。この通り沿いには既にドバイのアイコンとして知られる〈ブルジュ・ハリファ〉や〈エミレーツ・タワーズ〉が建ち並ぶ中、〈One Za’abeel〉は日本的なシンプルな形状でありながら挑戦的かつ優雅なシルエットで、他のビルとは一線を画す、ドバイの新たなスカイラインを形成している。

〈One Za’abeel〉日建設計

Site Location

〈One Za’abeel〉日建設計

© Courtesy of One Za’abeel

高速道路で分断された2つの敷地をつなぐ

敷地は高速道路により分割されている。商業施設やホテルの会議室、ボールルームを内包する低層部は、2つの敷地全体を緩やかな曲面で覆う。さらに高速道路の高架下をプラザとし、開発全体の一体性を高めた。

One Za’abeelタワー(ホテル・オフィス棟)とOne Za’abeelザ・レジデンス(住宅棟)は2つの敷地それぞれに配置されており、空中で「THE LINK」によりつながることにより機能的な連携を可能とした。「THE LINK」のキャンチレバーや屋上は、360度の眺望を提供するとともに、アイコニックなデザインを創出している。

〈One Za’abeel〉日建設計

Overall composition

〈One Za’abeel〉日建設計

Function layout

〈One Za’abeel〉日建設計

Building Program

奥行き感のある外装デザイン

タワーの外装は、ガラスカーテンウォールの外に配置したガラスフィンの効果で、見る角度によりさまざまな表情をみせる。ガラスフィンにはホワイトドットを施すことにより、日射遮蔽効果を得るとともに、ミラー感を和らげ奥行き感をつくりだしている。

また、ファサード面には透明度と日射遮蔽性能が高いLow-Eガラスを採用した。一方で「THE LINK」は、6面のトラス構造とガラスカーテンウォールの相乗効果で、浮遊感を強調した。
周囲を道路に囲われた低層部は、バルコニーや出窓でリズム感のあるデザインとしつつ、多色のアルミルーバーの内側に、給排気設備などを配置することで機能性とデザイン性を両立させた。

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

2棟のタワーと「THE LINK」の構造計画

タワー部は、 SRC造とすることで、柱寸法を小さくし有効床面積を確保。また、「THE LINK」を支えるため、タワーの接続部コンクリート壁内に高強度鉄骨斜材を配置し、強度を高めた。

「THE LINK」の構造は、4面に沿って鉄骨部材をダイヤグリッド状に配置した外殻構造システムとし、ねじれや変形を小さくしつつ、内部の無柱大空間を可能としている。さらに「THE LINK」で2棟をつなぐことにより、構造システムの安全性が高まり、超高層建築で課題となる強風時の揺れを効果的に抑えることにも貢献している。

〈One Za’abeel〉日建設計

Structure of The Link

〈One Za’abeel〉日建設計

Tower and structure of THE LINK

スライド工法による「THE LINK」組立てとリフトアップ

高速道路をまたぐ「THE LINK」は、高所での作業を最小限とするため、あらかじめ組み立てたブロックを順次道路上にスライドさせ、後続のブロックをつなぎ合わせる工法を採用した。7回のスライドにより幅約40mの高速道路を飛び越える特殊施工で組み立てを行った。

全体で約230m、重量約9,580トンに及ぶ「THE LINK」は、2度に分けて上空約100mまでリフトアップされた。

まず重量約8,500トンの本体が12日間をかけて2棟のタワーの間に取り付けられた。残りのキャンチレバー先端部(重量約900トン)は、4日間かけて行われた2回目のリフトアップにより、所定の位置に取り付けられた。

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

〈One Za’abeel〉日建設計

© Koji Horiuchi(堀内広治)

リードコンサルタントとリーダーシップ

日建設計は、本プロジェクトのリードコンサルタントとして、監理段階では、約20カ国、60社超え、計1,000人以上の施工関係者間の調整を図りながら、難易度の高い設計・施工の実現を目指した。

〈One Za’abeel〉日建設計

© Courtesy of One Za’abeel

〈One Za’abeel〉日建設計

© Courtesy of One Za’abeel

〈One Za’abeel〉日建設計

Podium GF Plan

〈One Za’abeel〉日建設計

Podium 4F Plan

〈One Za’abeel〉日建設計

THE LINK Plan

プロジェクト詳細

プロジェクト名(日本語):One Za’abeel
プロジェクト名(英語):One Za’abeel
用途:オフィス、商業、ホテル、住宅、宴会場
所在地(都道府県、市):ドバイ、アラブ首長国連邦
敷地面積(m²):31,000
延べ面積(m²):530,700
階数:One Za’abeel タワー:地上67階、One Za’abeel ザ・レジデンス:地上58階、THE LINK:3階、低層部:地上4階、地下7階
軒高/最高部高(m):One Za’abeel タワー:305、One Za’abeel ザ・レジデンス:235、低層部:20
主体構造:鉄筋コンクリート造、鉄骨造
着工:2015年(準備工事)、2017年(本体工事)
竣工年月:2023年

クレジット

建築主(日本語):Investment Corporation of Dubai(ICD)
建築主(英語):Investment Corporation of Dubai(ICD)
リードアーキテクト:日建設計
主なスコープ:Lead Consultant(建築/構造/設備/ランドスケープ/サイン/PM/監理等)
施工会社:ALEC ENGINEERING AND CONTRACTING
その他設計協力企業(順不同):WSP MIDDLE EAST(レジデント・エンジニア、ローカル・アーキテクト、設備、構造、専門分野)、INHABIT(ファサード)、LIMAH(サイネージ)、MCTS(キッチン・サービス)、CRACKNELL(ランドスケープ)、BARR + WRAY(プール設備)、RWDI(風工学)、LPA(ファサード、インテリア照明)、ESD(サイネージ)、NORTECH(航空サーベイ)、LW DESIGN GROUP、Square M Design、DENNISTON、ROCKWELL GROUP、DWP、HBA SOCIAL、STUFISH and associated sub-consultants、DPA、WELLNESS、BRIMAXX 、FARMBOY、CAPSULE ARTS、CROWD DYNAMICS、BRASH
フォトクレジット(日英):© Koji Horiuchi(堀内広治)、© Courtesy of One Za’abeel 、Nikken Sekkei Ltd(日建設計)

プロジェクト担当者

設計チーム
中村晃子(日建設計 設計監理部門 ダイレクター)
錦織 弘(日建設計 設計監理部門 アソシエイト)
レーンオルト・デイビッド(日建設計 設計監理部門 アソシエイト)
笠嶋一生(日建設計 設計監理部門 アソシエイト )
守山隆充(日建設計 設計監理部門 アソシエイト)
鈴木 卓(日建設計 都市・社会基盤部門 ダイレクター)
現場監理
小比賀一史(日建設計 設計監理部門 ダイレクター)

建材、関連製品情報

材料:仕様 / 製品名(ブランド / メーカー)
Vertical Transportation:Single and double deck lift, escalators(Otis L.L.C)
Glass:Insulated glass unit(Al Abbar Architectural Glass)
Façade:Aluminium curtain wall(Al Abbar Aluminium)
Sanitary Ware:Toilet, faucets(Toto Asia Oceania Pte. Ltd.)
Flooring:Resilient flooring(TARKETT, Italy & TARKETT, France), Resinous flooring(BASF Construction Chemicals UAE, Silikal GmbH)
Mechanical Car Parking System:Multiparker(WÖHR Autoparksysteme GmbH)

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