4月13日に開幕した大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会 / EXPO 2025)。10月13日まで半年間にわたり開催されます。
大阪・関西万博のために建設された〈大屋根リング〉は、内径約615m・外径約675mという規模で、世界最大の木造建築物として今年3月4日にギネス世界記録に認定されています(詳細は2025年日本国際博覧会協会プレスリリースを参照)。
デザインを担当したのは、2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務める、建築家の藤本壮介氏。市内各所に貼られているポスターなどのキービジュアルにはこの〈大屋根リング〉が採用されており、同万博のシンボル的存在です。
2025年大阪・関西万博(EXPO2025)キービジュアル ©︎公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
東ゲートからの〈大屋根リング〉の眺め、万博に来た!と気分が高揚するアプローチ Photo: TEAM TECTURE MAG(本稿特記なき画像は全てTEAM TECTURE MAGが4月9日のメディアデーに撮影したもの)
〈大屋根リング〉見上げ
〈大屋根リング〉の下は自由に歩行できるようになっている(e Moverの外周道路があるウォータープラザ側を除く)
この〈大屋根リング〉の上は、屋上デッキ「スカイウォーク」が整備され、来場者が徒歩または車椅子などで開場時間中いつでも自由に周回できるようになっているのが特徴です。リングの内外周の要所には、エスカレーターと階段のほか、エレベータも設置されたバリアフリー仕様です。
『TECTURE MAG』では、4月9日に開催されたプレス内覧会(メディアデー)を取材、〈大屋根リング〉を昼と夜に周回しました。本稿では、全周約2kmのリングのスカイウォークから撮影した画像を中心に、万博会場をレポートします(特記なき画像はすべてTEAM TECTURE MAG撮影、スマートフォン パノラマ機能で撮影した画像を含む)。
開放感にあふれる晴天時もとても心地よいものですが、おススメは夜! リングとパビリオンがライトアップされ、昼とは全く異なる光景が出現します。
・リング上の景色(東から北側に向かう)▶︎▶︎▶︎ 眺めてみる
・リング上の景色(北から西側に向かう)▶︎▶︎▶︎ 眺めてみる
・リング上の景色(西から南・ウォータープラザ側に向かう)▶︎▶︎▶︎ 眺めてみる
・リング上の景色(南から東側に向かう)▶︎▶︎▶︎ 眺めてみる
・おススメは夜の光景 ▶︎▶︎▶︎ 眺めてみる
内側に設置されたエスカレーター、外周部にある階段・エレベーターの位置をある程度把握しておくとよい(上の図:2025年日本国際博覧会協会が万博公式ウェブサイトで配布しているマップPDFデータに編集部にて黄色丸囲い)
万博会場 東ゲートに近い〈大屋根リング〉の上からの眺め(注.パノラマ撮影)
「光の広場」に面して、フランス館、アメリカ館、フィリピン館などが並ぶ。雲を模した白い椀状の屋根をいただく建築物は東内・ポップアップステージ(概要は若手建築家が設計した20施設を巡る内覧会レポートを参照)
左端から(視認できる主なパビリオンと施設):フィリピン館、コモンズ-A館、マレーシア館、アイルランド館
コモンズ-A館(四角い建物)の奥に見えている植栽エリアが(静けさの森〉で、SANAAが建築デザインを担当した宮田裕章氏プロデュースのパビリオン〈Better Co-Being〉がある(詳細:パビリオン内覧会レポート)
地上からの見上げではわからないルクセンブルク館の特徴的な屋根形状 / 右奥は”WA”をテーマにデザインされたドイツ館
アゼルバイジャン館
東側エスカレーターを反時計回りに巡り、次のエスカレーターがある「空の広場」/(ポップアップステージ[北]の詳細は内覧会レポートを参照)
リング内観
〈大屋根リング〉階段(この後ろにエレベーターが付帯)
自分がいまどのあたりに居るにかがわかる案内板
柱をくり抜いた開口部に梁を差し込む貫接合(ぬきせつごう)を確認できる(詳細は開幕前に大林組が公表した工事の途中経過を伝える『TECTURE MAG』2024年7月3日ニュースを参照)
スカイウォークから外周部方向の眺め
西ゲートゾーン(リング外)に位置する、建築家の高松 伸氏が設計した民間パビリオン(飯田グループ×大阪公立大学共同出資館、詳細は概要発表時のニュースを参照)
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コネクティングゾーンの西側:モナコ、トルコ、タイの各国パビリオン
ミラーの視覚効果で実際の規模より大きな外観となっているタイ館
アラブの都市にみられる曲がりくねった路地空間をつくり出した、ノーマン・フォスター氏が率いるフォスター アンド パートナーズが手がけた〈サウジアラビア館〉(概要はパビリオンの概要発表時の『TECTURE MAG』ニュースを参照)
インドネシア館
ウズベキスタン館の設計は、ドイツの建築設計事務所 アトリエ・ブリュックナー (ATELIER BRÜCKNER)が担当
坂 茂氏が設計した民間パビリオン〈ブルーオーシャン〉のエントランスがある第1のドームと、話題の1/1ガンダムはリングの外側
東側から西ゲートゾーン「大地の広場」とベルギー館(球体が屋根に付帯したパビリオン)
ここまでの所要は写真を撮ったり途中でトイレに立ち寄ったりしながらで約30分
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マリオ・クチネッラが設計したイタリア館(概要は『TECTURE MAG』ニュースを参照)
「ドリーム・スフィア(夢の球体)」と名付けられたシンガポール館は、約17,000枚のリサイクルアルミニウム製ディスクで覆われた球体が大迫力(球体部分は球体鉄骨構造)
赤い球体と対照的な白い球体を頂く〈オランダ館〉は、光を帯びる日没後の時間帯が美しい(画像は後ほど。オランダの設計事務所・RAU Architectsが手がけたパビリオンの施設概要はこちら)
リングのスカイウォークは一部で高低差があり、高いほうの外側のデッキにはゆるやかなスロープで移動できる。南側では大阪湾が一望できる
大阪湾を航行する船
リングの南側・大阪湾の海水を時期混んだ水景エリア「ウォータープラザ」
水と空気のスペクタルショーを観覧する客席が設けられた「ウォータープラザ」
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「ウォータープラザ」
正面の螺旋状のガラスファサードのパビリオンは〈チェコ館〉(概要は『TECTURE MAG』ニュースを参照)
正面の遠景の建物はナノメートルアーキテクチャーが設計した〈サテライトスタジオ(東)〉、その後ろには、馬を象ったファサードのトルクメニスタン館、バーレーン館など
螺旋状の楽譜が目を惹くオーストリア館、ETFE膜構造の球体からなるスイス館、コロンビア館など
「海、青の対話」がテーマのポルトガル館は隈研吾建築都市設計事務所がデザインを担当。海の波のように揺らめく約1万本のロープは万博終了後に再利用される予定とのこと
カナダ館、その並び(右奥)のアラブ首長国連邦(UAE)館は夜間の外観もおススメ
これにてほぼリングを1周。この先、東側エスカレーターから「光の広場」に降り、上から見て気になったパビリオンをこんどは地上から眺め、展示をみていくのはいかが? パビリオンによっては要予約制なので、建物をみてまわるだけでも日が暮れていくことでしょう。
東ゲートに近い「光の広場」
〈大屋根リング〉南東側からの場内俯瞰
そして、日没後は〈大屋根リング〉やパビリオン・各施設が点灯・ライトアップされ、日没直後の”マジックアワー”に始まる夜間の周遊もおススメです(閉場は22時)。
〈大屋根リング〉夕景(日没直後の”マジックアワー”の時間帯)
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夜間 照明が点灯した〈大屋根リング〉 東側エスカレーター昇降中の眺め
日没前後の〈大屋根リング〉スカイデッキ
夜間ライトアップでいちだんと映えるカタール館 (設計:隈研吾建築都市設計事務所)
アラブ首長国連邦館
リング上にはこれから始まる、水と空気のスペクタクルショー 「アオと夜の虹のパレード」を上から見ようという人々がスカイデッキ南側に続々と集結
昼間とは異なる表情をみせる各国およびシグネチャーパビリオン
夜は「ウォータープラザ」で行われるショーにあわせて、リング内側のライトアップも演出
ウォータープラザ 地上観覧席からのリングの眺め(夜間)
夜のスカイデッキ周遊はこの時期まだ海風が冷たいので防寒を怠りなきよう
〈オランダ館〉の光る球体は、オランダ(ネーデルランド)と水との関係性・歴史をテーマにした館内の体験型展示とも関係
韓国館はW27×H10m超大型LEDスクリーンが話題
夜間ライトアップ中のドイツ館(左側のルクセンブルク館は青いライトアップ)
色がトリコロールで切り替わりフランス館のほか、アメリカ館、フォリピン館も夜間ライトアップの外観が美しい
本稿では、主に”リングの上”から会場の見どころをレポートしました。TEAM TECTURE MAGが撮影した写真は、リングを降りた地上で撮影したものも含めまだまだたくさんあります。
『TECTURE MAG』では、建築的見どころが多い今回の万博のレポートを開催期間中、順次掲載していきますので、お楽しみに!
本稿の画像は全てTEAM TECTURE MAG 撮影
「Expo 2025」公式ウェブサイト
https://www.expo2025.or.jp/
「Expo 2025」公式マップ
https://www.expo2025.or.jp/expo-map-index/map/
「Expo 2025」公式ウェブサイト
https://www.expo2025.or.jp/
万博公式アプリ「EXPO 2025 Visitors」(デジタルマップあり、要ダウンロード)
https://www.expo2025.or.jp/visitorsapp/
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https://mag.tecture.jp/tag/expo2025/
Photo by TEAM TECTURE MAG
Texted by Naoko Endo(TEAM TECTURE MAG)