大分県は、昨年12月から今年2月にかけて実施した、「大分空港海上アクセス旅客ターミナル公募型プロポーザル」の審査結果を公式ウェブサイト上で発表(2021年2月24日)。同建設工事において、設計者として契約する予定の最優秀者に、藤本壮介建築設計事務所・松井設計設計業務委託共同企業体を選出したことを発表しました。
※本稿における最優秀および次点の応募案のビジュアルは、大分県が公式ウェブサイトで公開している、提案書ほか発表資料より引用しています
https://www.pref.oita.jp/site/hovercraft/terminaldesign-proporsal-sentei4.html
大分県では、海外の企業と提携し、人工衛星を航空機から打ち上げる、いわゆる水平型宇宙港としても大分空港を活用し、最速で2022年の人工衛星打上げを目指しています。今回のプロポーザルでは、この計画を前提とした提案が求められました。(詳細は後述)
プロポーザルの経緯と、審査結果の詳細は以下の通りです。
主催者:大分県
スケジュール:
公募の開始:2020年12月21日(月)
参加表明書の提出期限:2021年1月21日(木)
※17者から参加表明書の提出あり
第1次審査図書の提出期限:2021年1月29日(金)
※17者から図書の提出あり
大分空港海上アクセス旅客ターミナル公募型プロポーザル実施のお知らせ(建築設計委託)(2020年12月21日)
https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?IMNEWS1=2321812
第1次審査:2021年2月9日(火)
※ファイナリスト6者を選定(以下、五十音順)
青木茂建築工房・高橋由美建築設計設計業務委託共同企業体
坂茂建築設計・東九州設計工務設計業務委託共同企業体
藤本壮介建築設計事務所・松井設計設計業務委託共同企業体
松田平田・大有・矢野設備設計業務委託共同企業体
NASCA+partners 設計業務委託共同企業体
有限会社 SANAA 事務所 松田周作建築設計事務所設計業務委託共同企業体
第2次審査(プレゼンテーション+ヒアリング):2021年2月19日(金)
※最優秀者、次点者を選定
審査結果の公表:2021年2月24日(水)
最優秀者:藤本壮介建築設計事務所・松井設計設計業務委託共同企業体
次点者:坂茂建築設計・東九州設計工務設計業務委託共同企業体
審査講評:
西大分地区のベイサイドエリア一帯と調和する外観と敷地計画となっており、周りの場所の魅力を感じさせる新たなランドマークの提案となっています。
特に、ターミナルは、宇宙港となる大分空港を象徴し、なだらかに空へと向かって上昇する外観の下、大分県の原風景である杉林をイメージした屋内・屋外スペースが計画され、見る人が思わず足を運び、美しい別府湾を感じたくなるような姿が意図されています。
敷地配置計画については、ターミナル機能、イベントスペース、二次交通への乗場等が一体的に計画されており、また、公共交通と一般車両の動線が合理的に区分され、二次交通への円滑な乗り換えができるなど、利用者にやさしいターミナルとなっており、総合的に最も優れた提案と判断し最優秀者としました。
なお、大分県のサイトには、上記の通り、ファイナリスト6組と、そのうち予備候補(次点)は、坂茂建築設計・東九州設計工務設計業務委託共同企業体であったことも併せて公表されています。(en)
審査講評:
かつて世界と交易した大分港の歴史と宇宙港となる大分空港の未来をつなぐ、それぞれの特徴的なデザインは、非常にシンボル性が高く、別府湾岸の新しいランドマークとなる提案となっています。
また、ターミナルは、西大分側は竹の集成材による吊構造を採用し、国東側は木製分子構造のドーム形状とするなど、自然の素材と新しい技術を使った革新的で魅力的なデザインとなっています。
加えて、太陽光発電や海水熱利用など、自然エネルギーによるパッシブな環境制御の導入など、優れた提案となっており、次点者としました。
大分県「宇宙港」構想に関するページ(同県発表):
「大分県、ヴァージン・オービットとの提携により、アジア初の水平型宇宙港に」(2020年4月2日更新)
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14270/spceport00.html
#大分県商工観光労働部新産業振興室 YouTube公式チャンネル
「~大分県宇宙関連事業PR動画~」(2021/02/21)