スイスの建築設計事務所・E2Aの建築作品とその建築思想を紹介する展覧会「Methodologiesースイス建築の方法論」が、都内にあるスイスブランドのショールームまたはストア・計4カ所にて開催されます(主催:日瑞建築文化協会 / Japan Swiss Architectural Association: JSAA)。
E2Aは、スイス出身の建築家の2人、ピート・エッカート(Piet Eckert)とヴィム・エッカート(Wim Eckert)の兄弟が、2001年に設立した建築設計事務所。国内外のコンペティションなどで勝利を収め続けるなど、スイス建築界でも注目されている事務所の1つです。
アーティスト プロフィール
E2Aは、ピート・エッカートとヴィム・エッカートの兄弟により、2001年に設立された、スイス、チューリヒを拠点とする建築設計事務所。
E2Aの仕事の舞台はヨーロッパ全域に及び、その内容も公共建築や文化的活動、企業との共同や商業活動、さらに住宅設計と多岐にわたる。2001年の設立以降、ピートとヴィムのエッカート兄弟が手がけた建物は400以上、それらのうちの41案が実現している。
初期の主要プロジェクトとしては、キルヒベルクのブロエルベルク住宅地(2003年)や、マイレンのテラスハウス(2005年)など、チューリヒ周辺の住宅作品がある。
同事務所では、設立以降、常に国内外のコンペティションやスタディで成功を収めてきた。近年には複数の公共プロジェクトが竣工、最新作はドイツ・ベルリンのtaz Neubau(ターゲスツァイトゥング新聞社)編集本部。今後では、直近のコンペ優勝作であるブレーメン大学の講堂・会議場が2027年に竣工予定。今年2022年はチューリヒにて水上警察署とホーファッカー小中学校が完成する。ピート・エッカートは1994年、ヴィム・エッカートは1995年にスイス連邦工科大学チューリヒ校を卒業後、1994年から1997年にかけて、ロッテルダム、ロサンゼルス、ソウルにおいて、オランダの建築設計事務所OMAと協働した。兄弟はこれまで、ハンブルグ・ハーフェンシティ大学(HCU)、アカデミア・ディ・アーキテトゥーラ、メンドリーシオのスイス・イタリア大学(USI)、ドイツのドルトムント工科大学など複数の学校や大学にて教鞭もとっている。
E2A Web Site
https://www.e2a.ch/
本展では、これら進行中のプロジェクトと、近年竣工したプロジェクトを紹介。それぞれのプロジェクトにおける、E2A建築の本質を探求する模型、イメージ、実施設計図などが展示されます。
展示はスイスを代表する家具メーカーの1つ、USMのモジュラーユニットで構成されるのも、本展ならではの特筆点です。9.5m×2mの立体的なグリッドから突き出した白い模型が、それぞれのプロジェクトの展示グリッドを示しているとのこと。複数のプロジェクトの相互の関係性を視覚化しつつも、そこに新たな物語を見出すことを狙いとした会場デザインです。
なお、FREITAG(フライターグ)の渋谷と銀座の店舗が、2013年と2011年にそれぞれオープンした際には、トラフ建築設計事務所が店舗設計に参画しています。
ピート&ヴィム・エッカートからのメッセージと解説文(JSAAサイトより)
「建築を生み出し、発展させる上での状況は、近年特に脆弱になりつつあります。そんな中では、持続性のあるコンセプトを導くための戦略的な方法論こそが非常に重要となってくるのです。方法論をして、空間を発展的に序列づけるための道具として使うということです。」今回の展覧会の名称にもある「方法論」とは、彼らが2001年にチューリヒにおいて設立した設計事務所の、設計やデザインに向き合う姿勢そのものを意味しています。
E2Aの方法とは、理想論に対して、現実の集積を照らし合わせるというもの。両者を照合することにより、そこには皮肉や喜び、さらには戦略的な矛盾といった見方が浮上します。これらから、建築を取り巻く文脈やプログラムの課題を再検証するのが彼らの方法なのです。
欲望と現実、そして物語と分析との間の軋轢が一層高まる現代において、彼らはそのヴィジョンをひとつに収束させるよりもむしろ、相違や破綻といった状況と潜在する有機的な論理とを統合させようとしています。これらの制約が、建築的形態へと変換されていくのです。展覧会ではまた、抽象性と現実性という相反するテーマが掲げられています。この展覧会では、建築とは展示されるものである一方、観客によって想起されるものなのです。たとえば模型の読み取りやすさは、レントゲン写真や、あるいは全身のスキャン画像のようです。
そこではコンセプトの本質が描かれる反面、細部は隠されています。対して、ドローイングは、建築を(既存の)現実の中に文脈化しています。
実施設計図はコンセプトを慣習へと翻訳し、コンセプトから現実へと運ぶ乗り物とも言えるでしょう。これらの建築ツール、デザインのプロセスの中のあちこちに顔を出し、また建設と構想のさまざまな段階を描き出しているとも言えます。
しかし、ピート・エッカートとヴィム・エッカートは、こうしたすべてのメディアをいかに同調させ、最終的な決断に至るかが問題だと言います。その決断があるからこそ、すべての作業が同時多発的に指揮され、現実的なコンセプトが実際の建物としての生命を宿すのだと。
会期中、E2Aの2人による講演会もオンラインにて開催されます。
会期:2022年3月18日(金)〜4月7日(木)
会場:都内下記4カ所
入場料:無料(共通)
会場1
USMモジュラーファニチャー ショールーム
所在地:東京都千代田区丸の内 2-1-1 丸の内 MY PLAZA(Google Map)
営業時間:11:00-19:00
定休日:水曜
会場2
クリエーションバウマン ジャパン 東京本社ショールーム
所在地:東京都港区南青山6丁目3-3(Google Map)
営業時間:10:00-18:00
定休日:水曜、祝日
会場3
フライターグ ストア トウキョウ シブヤ
所在地:東京都渋谷区神宮前6-19-18(Google Map)
営業時間:11:00-19:00
定休日:なし(会期中無休)
会場4
フライターグ ストア トウキョウ ギンザ
所在地:東京都中央区銀座1-13-12(Google Map)
営業時間:11:00-19:00
定休日:なし(会期中無休)
講演会:E2A「Methodologies」
日時:2022年3月19日(土)18:00-19:30
登壇:ピート・エッカート、ヴィム・エッカート
会場 オンライン
使用言語:英語(日本語通訳なし)
詳細
http://js-aa.org/event003.html
[九州]
会期:2022年4月末頃
会場 福岡大学 ヘリオスプラザ
[京都]
会期:2022年6月
会場:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
詳細が決まり次第、日瑞建築文化協会公式ウェブサイトにて発表予定。
日瑞建築文化協会について
一般社団法人日瑞建築文化協会(JSAA)は、日本とスイスの建築文化交流のプラットフォームとして2018年に設立。日本とスイスの建築分野での交流と相互理解のためのプラットフォームを目指す。展覧会、レクチャー、シンポジウム、学生のワークショップなどのイベントなどを開催。会長:石田建太朗(イシダアーキテクツスタジオ / 東京工業大学特任准教授)
副会長:平瀬有人(yHaarchitects / 佐賀大学准教授)
事務局長:黒川智之(黒川智之建築設計事務所)
金野千恵(teco、京都工芸繊維大学特任准教授)、湯谷紘介(湯谷建築設計)、黒川 彰(ShoKurokawaarchitects)日瑞建築文化協会公式ウェブサイト
http://js-aa.org/@jsaa_japan_swiss