デザイナーの皆川明氏(1967-)が設立したブランド、ミナ ペルホネン(minä perhonen)。流行に左右されず、長年着用できる普遍的な価値を持つ「特別な日常服」をコンセプトとし、日本各地の生地産地と深い関係性を紡ぎながら、オリジナルの生地からプロダクトを生み出す独自のものづくりを続けてきました。
皆川氏がミナ ペルホネンの前身となる「ミナ」を立ち上げたのは1995年。「せめて100年つづくブランドに」という思いで、ファッションからスタートした活動は、その後、インテリアや食器など、次第に生活全般へと広がり、現在ではデザインの領域を超え、ホスピタリティを基盤にした分野へと拡張しています。
本展のタイトルに掲げられた「つづく」とは、文字通り、ブランドの時間的な継続性を示すだけでなく、つながる・連なる・手を組む・循環するなど、モノや人が連鎖し、何かを生み出していく生成のエネルギーを想起させる言葉でもあります。本展では、多義的な意味をもつ「つづく」をキーワードに、生地や衣服、インテリア、食器などのプロダクトに加えて、デザインの原画、映像、印刷物、皆川氏の手による挿絵など、その創作の背景を浮き彫りにする作品群のほか、貴重な資料も併せて展示されています。
このほかにも、建築家の中村好文が設計を担当し、皆川氏とともに進められている新たな「宿」のプロトタイプ(シェルハウス)が会場に展示されているほか、現代美術家の藤井光氏がミナ ペルホネンの世界を撮り下ろした映像作品も上映されます。
さらに、美術館前広場には、皆川氏がデザインした屋外作品〈遊具〉を展示、これが初披露となります(製作:ジャクエツ)。
本展は、2019年11月より東京都現代美術館で開催された企画展「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」をベースに、巡回先の会場ごとに展示が進化し、「つづく」が実践されている展覧会です。
東京では、14万人以上の来場者数を記録。以降は、兵庫県立美術館、福岡市美術館で開催され、東北・北海道には今回が初上陸となります。
会場の展示構成を、建築家の田根剛氏(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)が連続して担当。ミナ ペルホネンと皆川明のものづくりとその思考を明らかにし、これまで以上の規模で展開する本展は、私たちの日常生活やその先にある社会の仕組みについて、新たな視点と示唆をもたらすことでしょう。
会期中は、ワークショップやトークイベントなどの関連イベントも開催されます。
#青森県立美術館 YouTube「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」青森会場開幕記念スペシャル鼎談:皆川明+青木淳+菊地敦己」(2022/08/15)
会期:2022年7月16日(土)〜10月2日(日)
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
※7月23日(土)、8月27日(土)、9月10日(土)、24日(土)は20:00まで開館(入館は19:30まで)
休館日:7月25日(月)、8月8日(月)、8月22日(月)、9月12日(月)、9月26日(月)
会場:青森県立美術館
所在地:青森県青森市安田近野185(Google Map)
観覧料:一般 1,500円、高大生 1,000円、小中学生以下無料
※障がい者手帳の提示で付添者1名まで無料
※会場では感染症対策を実施
展示構成:田根剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
展示構成補助:阿部真理子(aabbé)
グラフィック・デザイン:葛西薫(sun-ad)
主催:つづく展青森実行委員会(青森県立美術館、朝日新聞社、青森県観光連盟)
後援:青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、青森ケーブルテレビ、エフエム青森、東奥日報社、デーリー東北新聞社、陸奥新報社、青森県教育委員会、青森市教育委員会
展覧会特設サイト
https://mina-tsuzuku.jp/
青森県立美術館 ウェブサイト
https://www.aomori-museum.jp/
フライヤーを除く本稿の画像全点:photograph by Manami Takahashi