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帝国ホテルが東京・新本館のデザインアーキテクトに田根 剛氏を起用、2036年度完成を目指す

BUSINESS2021.10.27

帝国ホテルは、建て替えを予定している〈帝国ホテル 東京〉の新本館のデザインアーキテクトとして、建築家の田根 剛(たね つよし)氏を起用すると発表しました。同氏が率いる、フランス・パリに拠点を構える設計事務所、Atelier Tsuyoshi Tane Architects(ATTA)のデザイン案を採用したものです(2021年10月27日プレスリリース / 竣工イメージ:Perspective of the new Main Building of the Imperial Hotel / ©ATTA – rendering: RSI)

「内幸町1丁目街区」のまちづくり計画
帝国ホテルでは、2021年3月25日に自社およびNTT都市開発ほか計10社連名で発表したプレスリリースにて、駐車場ビルと、竣工から50年が経過した本館と、1983年に開業したタワーからなる〈帝国ホテル 東京〉を、営業を続けながら建て替える計画であることを発表しています。

同ホテルの建て替え計画は、東京都・千代田区・地域関係者によって、2011年(平成23)に「日比谷エリアまちづくり基本構想」が策定され、続けて2019年(令和元)に、同エリアが国家戦略特別区域会議において都の都市再生プロジェクトに位置付けられたことに基づいています。
〈帝国ホテル 東京〉の所在地である千代田区「内幸町1丁目街区」における関係権利者(前述の計10社)が、同街区のまちづくりに議論を重ね、再開発の方針については合意しているとのこと。

「内幸町1丁目街区」のまちづくり計画

「内幸町1丁目街区」のまちづくり計画(2021年3月25日 帝国ホテルほか発表の報道資料より)

「内幸町1丁目街区」の再開発計画では、全体で敷地面積約6.5haの同街区は、北・中・南の3つに分割され、そのうちの北地区・約2.4haの敷地に、オフィス・商業施設・サービスパートメントなどで構成されるタワーを2030年度に、ホテル・宴会などが入った新本館を2036年度に完成させる予定です。
新本館は、単独棟でのグランドホテルとなり、1890年(明治23)開業の帝国ホテルの歴代としては、フランク・ロイド・ライトが手がけた本館(ライト館)が2代目で、田根氏が手がける新本館は4代目となります。

デザインアーキテクト選考の経緯
帝国ホテルの発表によれば、新本館のデザインアーキテクトの選出は、帝国ホテルが求める「品格・継承・挑戦」という3つのキーワードと、諸条件のもと、国際的に活躍する国内外の建築家を候補にコンペティションを実施したとのこと。
帝国ホテルの歴史・理念を十分に把握し、次世代の日本のホテル文化をリードする「新しいグランドホテル・迎賓館」にふさわしい、近景、遠景、どこから見ても「ザ・ホテル」の顔となり、存在感や独自性を体現したデザインを求めました。
審査の結果、「東洋の宝石」をコンセプトに掲げた、田根氏の案を採用したとのこと。

田根 剛氏 Tsuyoshi Tane

Photo: Yoshiaki Tsutsui

田根 剛(たね つよし)プロフィール
Atelier Tsuyoshi Tane Architects 代表 | パリ・フランス
URL: www.at-ta.fr
建築家。1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを設立、フランス・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトが進行中。
主な作品に、エストニア国立博物館、弘前れんが倉庫美術館、アル・サーニ・コレクション財団美術館(2021秋完成予定)や、2012年新国立競技場基本構想国際デザイン競技における古墳スタジアムの提案などがある。
フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017ノミネート、フランス国外建築賞2021グランプリ、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞など受賞多数。
著書に『TSUYOSHI TANE – Archaeology of the Future』(TOTO出版)ほか。

コンセプトは「東洋の宝石」
田根氏は、独自のアプローチである考古学的(Archaelogical)リサーチにより、帝国ホテルのみならずホテル業そのものを考察。賓客を迎え入れる「宮殿」の構えと、人類の進歩の証である「塔」を融合することで、唯一無二で、かつ新しい迎賓館にふさわしいデザインと、2代目・ライト館を形容する言葉として使われた「東洋の宝石」を継承し、未来につなげるというコンセプトを提案したとのこと。
この「帝国ホテルの歴史を深く考察し、それに立脚して未来につながる建物を造る」という、田根氏のアプローチと姿勢を、帝国ホテルでは高く評価しました。

未来につながる建物を造る
さらに、これまで田根氏がプロジェクトごとに全く異なるデザインによってオリジナリティを表現していることにも、帝国ホテルは着目。新本館のデザインに求めている独自性の創出への期待と、才能ある若手建築家とともに未来の帝国ホテルを創るという気概をともに示していきたいという見地から、田根氏の起用を決定したとのこと。

なお、10月27日付けで発表された外観パース(本稿1枚目の画像 ©︎Atelier Tsuyoshi Tane Architects)は、2021年10月27日発表時点のもので、現在および以降は、行政との協議などにより、デザインが変更される場合があります。

本館の建て替え工事は、ホテルとしての営業を継続しつつ、2031年度に着手、2036年度の完成を目指します。
なお、「内幸町1丁目街区」の中地区と南地区にも、ホテルやオフィス、商業施設が入る計画で、街区全体としての完成は、2037年度以降になる見込みです。

帝国ホテル プレスリリース(2021年度)
https://www.imperialhotel.co.jp/j/company/release/2021/index.html

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