COMPETITION & EVENT

静嘉堂文庫美術館が丸の内・明治生命館に移転

開館記念展I「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」10/1(土)開幕【読者プレゼントあり】

2022年9月29日初掲、10月1日会場写真他追加

国宝〈窯変天目(稲葉天目)〉の所蔵で知られる静嘉堂文庫美術館が、世田谷区内から丸の内に移転、オープンする。今後は、重要文化財指定の建築〈明治生命館〉の1階で、日本を含めた東洋美術の名品の数々を堪能できる。

東京都世田谷区内にあった静嘉堂文庫美術館が、展示ギャラリーを東京・丸の内にある明治生命館1Fに移転、新たな愛称「静嘉堂@丸の内」として10月1日にオープンします。

明治生命館(重要文化財)外観

明治生命館 皇居側外観 見上げ

明治生命館(重要文化財)外観

古典主義様式の傑作、明治生命館

〈明治生命館〉は、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の教授だった岡田信一郎(1883-1932)と、弟の岡田捷五郎(1894〜1976)が意匠設計を手がけ、1934年(昭和9年)3月に竣工。1997年(平成9)には、昭和の建造物として初めて国の重要文化財に指定されています。

明治生命館(重要文化財)外観

丸の内 MY PLAZA アトリウム空間からみた明治生命館

静嘉堂@丸の内

「静嘉堂@丸の内」エントランス

同館内に移転する静嘉堂文庫美術館は、三菱を創業した岩﨑弥太郎(1835-1885)の弟で、三菱第2代社長を務めた岩﨑彌之助(1851-1908)によって創設され、息子の小彌太(1879-1945、三菱第4代社長)によって拡充された、父子二代にわたるコレクションからなります(運営・管理:公益財団法人静嘉堂)。
漢籍約12万冊・和書約8万冊という規模の古典籍と、国宝7件、重要文化財84件を含む、約6,500件の東洋古美術品を所蔵しています。
なお、「静嘉堂」の名称は、中国の古典から採られた彌之助の堂号からつけられました。

静嘉堂文庫美術館 所蔵品

国宝 〈倭漢朗詠抄 太田切〉 平安時代(11世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

岩﨑彌之助は、三菱第二代社長となって事業の転換、多角化をはかり、今日の三菱グループの礎を築いた人物です。
明治期以降、当時の廃仏毀釈運動もあり、数多くの国内屈指の寺宝や美術品が海外へと売却されました(現在、ボストン美術館など海外の日本美術コレクションの礎となっている)。彌之助は、この日本美術の散失を憂いて、“東洋のものは東洋へ”留めんと、日本の伝統的な美術品の蒐集と、日本文化の保護に努めました。同時代の芸術作家たちを積極的に支援するとともに、絵画・彫刻・書跡・工芸まで幅広く購入した功績は、西洋偏重の時代のなかで、極めて大きいと言えるでしょう。

静嘉堂文庫美術館 所蔵品

右:大名物〈唐物茄子茶入 付藻茄子〉、左:大名物〈唐物茄子茶入 松本(紹鷗)茄子〉いずれも、南宋〜元時代(13-14世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 / 戦国時代の三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)に伝来した唐物の茶道具

彌之助の嗣子、岩﨑小彌太の時代には、西欧で得た見識をもって、各ジャンルの第一人者を招き、学術的な助言を得て、コレクションの充実をはかりました。とりわけ、中国陶磁を系統的に集めているのが特色です。
1934(昭和9年)には、現存数が数点と極めて少ない曜変天目の1つ、稲葉天目が小彌太の所有となり、第二次世界大戦中も大切に保管されてきました。現在では、国宝に指定されています。
このように、父子二代によって形成された静嘉堂のコレクションは、国内屈指の規模と質を誇ります。

静嘉堂文庫美術館 所蔵品

国宝 〈曜変天目(稲葉天目)〉 南宋時代(12-13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

これまでは、岩﨑家の廟堂もある世田谷区岡本の地にて、展示を行なってきましたが、かつて、岩﨑彌之助がミュージアム建設を夢みたという、皇居に面した丸の内エリアに移転。「静嘉堂@丸の内」として、新たなスタートを切ります。

前後期に分けて静嘉堂のコレクションを紹介する本展の見どころは、国宝7件の公開。これまでは特別展など年数回の公開に限られていた国宝〈窯変天目(稲葉天目)〉が通期で展示され、以降も常設となるほか、琳派の名品も披露されます。前期では、俵屋宗達筆の国宝〈源氏物語関屋澪標図屏風〉が登場。後期には、酒井抱一筆の〈波図屏風〉が展示されます。

静嘉堂文庫美術館 所蔵品

国宝 俵屋宗達〈源氏物語関屋澪標図屏風〉江戸時代・寛永8年(1631) 静嘉堂文庫美術館蔵 ※前期(10月1日〜11月6日)展示

展示構成
第1章 静嘉堂コレクションの嚆矢−岩﨑彌之助の名宝蒐集
第2章 中国文化の粋
第3章 金銀かがやく琳派の美
第4章 国宝「曜変天目」を伝えゆく―岩﨑小彌太の審美眼

静嘉堂創設 130 周年・新美術館開館記念展I「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」

会期:2022年10月1日(土)〜12月18日(日) ※前後期で展示替えあり
前期 10月1日(土)〜11月6日(日)/ 後期 11月10日(木)〜12月18日(日)
会場:静嘉堂@丸の内
所在地:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階(Google Map
開館時間:10:00-17:00 ※金曜は18:00閉館、入館は各日とも閉館30分前まで
休館日:月曜(10月10日を除く)、10月11日(火)、11月8日(火)、11月9日(水)
入館料:一般 1,500円、大学・高校生 1,000円、中学生以下無料
問合せ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館 公式ウェブサイト
https://www.seikado.or.jp/
Twitter @seikadomuseum
https://twitter.com/seikadomuseum

静嘉堂@丸の内

静嘉堂文庫美術館 展示ギャラリー(ホワイエ)竣工写真 提供:竹中工務店

以下の展示室内の写真は、9月30日に開催されたプレス招待会にて、主催者の許可を得て撮影・掲載するものです(ホワイエ内は通常撮影可)。

静嘉堂@丸の内

「静嘉堂@丸の内」ホワイエ / 往時の姿を留める2層吹き抜け空間

静嘉堂@丸の内

「静嘉堂@丸の内」ホワイエ / 柱は大理石(ボテチーノクラシコ)

静嘉堂@丸の内

「静嘉堂@丸の内」ホワイエ Gallery1 入口

静嘉堂@丸の内

Gallery1 / 第1章 静嘉堂コレクションの嚆矢−岩﨑彌之助の名宝蒐集 ※許可を得て撮影

静嘉堂@丸の内

Gallery2(第2章 中国文化の粋)展示室右側に残された米国オーチス社製エレベーター(扉は鋼板に木目模様を手描きして仕上げている)※許可を得て撮影

静嘉堂@丸の内

Gallery3 展示室内にみられる古典主義様式(画面奥:アーチ型の開口部の縁にモールディング)※許可を得て撮影

静嘉堂@丸の内

Gallery3 / 第3章 金銀かがやく琳派の美 ※許可を得て撮影
国宝 俵屋宗達〈源氏物語関屋澪標図屏風〉前期展示

静嘉堂@丸の内

左から、鈴木其一〈雨中桜花楓葉図〉、重要美術品 酒井抱一〈麦穂菜花図〉、尾形光琳〈鵜舟図〉 いずれも江戸時代 ※許可を得て撮影

静嘉堂@丸の内

手前:酒井抱一〈絵手鏡〉江戸時代 ※許可を得て撮影

静嘉堂@丸の内

Gallery4 / 第4章 国宝「曜変天目」を伝えゆく―岩﨑小彌太の審美眼 ※許可を得て撮影
国宝 〈曜変天目(稲葉天目)〉 南宋時代

静嘉堂@丸の内

ホワイエ(左側:Gallery3・4 出入り口、画面奥:Gallery2)

静嘉堂@丸の内

ホワイエに面して展示室(Gallery)が4室、どこから入ってもよい動線

静嘉堂@丸の内

ホワイエ ベンチソファ

静嘉堂@丸の内

「静嘉堂@丸の内」ホワイエ 天井見上げ(バルコニーの手摺りはブロンズ製)

【読者プレゼント】

『TECTURE MAG』への感想など、アンケートにお答えいただいた方の中から、本展のペアチケットを2組4名さまにプレゼントします。
※受付は終了しています。抽選後に発送予定です。ご応募ありがとうございました!

読者プレゼント バナー

受付期間:2022年9月29日(木)〜10月9日(日)終了
※応募者多数、抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了
※発送に関する個々の問合せには対応しませんのでご了承ください
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
  • TOP
  • COMPETITION & EVENT
  • EXHIBITION
  • 静嘉堂文庫美術館が丸の内・明治生命館に移転。開館記念展I「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」10/1開幕
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ