東京・南青山のプリズミックギャラリーにて、写真家の川辺明伸氏の写真展「木三学」が7月7日より開催されます。
本展タイトルの「木三学」とは、木造三階建学校を略した呼称です。
今から11年前の2012年、木造建築史上では最大規模の実大火災実験が、茨城県つくば市にある国土交通省の研究機関・国土技術政策総合研究所(国総研)にて行われました[註.詳細は後述の参考リンクを参照]。当時の建築基準法では耐火上、認められていなかった、木造三階建てでの学校建設を可能とするべく、法改正を目指して実施された大規模実験でした。
本展は、3回にわたり行われた火災実験のうち、最大規模の1回目の様子をカメラに収めた川辺氏の写真で構成されます。
ステートメント
2012年2月22日 3℃ 晴れ 茨城県つくば市
実大火災実験当日の朝を迎えた。
実験の記録写真を担当することになった私は、準備の段階から写真を撮り始めていた。もちろん燃やすことを前提に学校を造っていることは承知の上だが、
多くの人が関わり造っている姿を観察していた身としては出来上がった学校に火を放つのは物悲しくもある。周りでは点火へ向け、それぞれの場所で着々と準備が進んでいる。
私はというと、それを一人ウロウロと記録する。
全ての準備が整い静かになっていく現場。
学校を背に広場の中心に置かれた時計が9時を告げ、火が放たれた。
薄らいでゆく11年前の記憶を辿り、 自分自身の紡ぐ物語とは別の方向を向いている世界というのは、記録され時間を経て熟成することで、本来とは違う姿の物語を観ることができるのか。
川辺明伸氏 プロフィール
写真家
1975年 神奈川生まれ
2001年 東京綜合写真学校卒業
2001年 helico藤塚光政氏に師事
2007年 藤塚光政と共にhelico共同主宰、現在に至るAkinobu Kawabe インスタグラム
https://www.instagram.com/akinobu.kawabe/
会期:2023年7月7日(金)~8月27日(日)
開廊時間:10:00-18:00
休廊日:土・日曜 ※但し、8月26日(土)、27日(日)は開廊
※そのほかの土日曜・祝日に開廊する場合、作家のインスタグラム(@akinobu.kawabe)にて告知予定
会場:プリズミックギャラリー
所在地:東京都港区南青山4丁目1-9 秋元南青山ビル1階(Google Map)
入場料金:無料
協賛:長谷見雄二、桜設計集団一級建築士事務所、コスモスインターナショナル、リネクト、水沢住宅建築、川辺直哉建築設計事務所、八坂麻里子写真事務所
事業名:平成23年度 木造建築基準の高度化推進に対する検討を行う者に対する補助事業
事業主体:学校法人早稲田大学・公立大学法人秋田県立大学・三井ホーム・住友林業・現代計画研究所
共同研究:
事業全体:国立研究開発法人建築研究所
実大火災実験:国土交通省国土技術政策総合研究所
木造3階建学校 施工:中島工務店
*註.国土交通省 国土技術政策総合研究所(国総研)プロジェクト研究「木造3階建て学校の火災安全性に関する研究」
https://www.nilim.go.jp/lab/bbg/kasai/h23/top.htm
国総研 YouTubeチャンネルには、予備実験として実施された当時の様子を撮影した動画が公開されている
https://www.youtube.com/watch?v=xkNv5RemEkg