熊本県人吉市の青井阿蘇神社の新施設〈青井の杜 国宝記念館〉にて、今夏の全館開館を記念した特別企画展「木と九州 人吉球磨復興への祈り」が開催されています。
青井阿蘇神社は平安初期の大同元年(西暦806年)の建立。江戸時代初期(1610年頃)の建設とされる本殿、拝殿、楼門などの建造物5点が平成20年(2008年)に国宝に指定されています。
隈氏が設計した〈青井の杜 国宝記念館〉は、国宝指定の10周年を記念して計画されたもので、結婚披露宴会場や直会(なおらい)の会場として使用されてきた参集殿を、社務所・ギャラリー・記念館を一体化して設計、建て替えたものです。今年9月1日に竣工祭が執り行われています。
国宝指定から10年の節目を迎えるにあたり、建設プロジェクトがスタート。隈研吾建築都市設計事務所に建物の設計を依頼し、計画が進行中の令和2年(2020年)7月に、九州地方を襲った集中豪雨によって神社の眼前を流れる球磨川が氾濫、鳥居が水没するなど大きな被害を受けました。この再建費用などの支援を求め、2021年3月28日よりクラウドファンディングを実施、目標金額を126%達成したという経緯があります。
〈青井の杜国宝記念館〉2階ギャラリースペースほかで開催されている本展では、青井阿蘇神社の貴重な寺宝が展示されるとともに、隈研吾建築都市設計事務所が手がけた建築作品の模型も展示されます(共同設計、監修を含む)。浅草文化観光センター(2012年)、国立競技場(2019年)、ハンス・クリスチャン・アンデルセン美術館(2021年)など、木(Wood)を特徴的に用いた国内外のプロジェクトのほか、スターバックス太宰府天満宮表参道店(2011年)や、今年1月に行われた基本設計プロポーザルで最優秀者に選定されている新福岡県立美術館(2029年開館予定)など、九州に関連した隈建築の模型などで構成されています。
また、本展開催にあわせて特別に公開される建物の玄関ホールと大広間も大きな見どころです。
大広間の市房千年スギの柱、玄関ホールの屋久スギの柱、建物外周に配置された11本の挟野スギ の原木丸太柱といった、建築用材として使われることは稀という貴重な木材による、力強く美しい日本建築の姿を見ることができます。
会期:2023年11月10日(金)~2024年2月29日(木)
休館日:会期中無休
会場:青井の杜国宝記念館
所在地:熊本県人吉市上青井町118(Google Map)
開館時間:9:00-16:30
入館料:大人 1,000円(高校生以上)、小中学生 800円、未就学児無料
本展詳細
https://aoisan.jp/news/2023/94861/
青井阿蘇神社ウェブサイト
https://aoisan.jp/