COMPETITION & EVENT

隈研吾デザイン、国産材プロダクト〈○○□(マルマルシカク)〉

エースホテル京都での坂本龍一 1周忌 トリビュートイベントにてインスタレーションとトークセッションを開催

世界的に知られた音楽家の坂本龍一氏(1952-2023)が逝去して1周忌にあたる3月28日に、亡き坂本氏が2007年に創立した森林保全団体・more trees(モア・トゥリーズ)[*1]が手がけている新作プロダクトのローンチイベントが、京都市のエースホテル京都にて開催されます(坂本氏の1周忌トリビュートイベントとして)。

more treesは、国産材を適切に使用し、その対価を森づくりへと還元することで、森の健やかさを保つことを目指した活動を行なっている一般社団法人です。現在の組織代表を、坂本氏と交流があった建築家の隈 研吾氏が務め、3月28日に販売開始となる、北海道産のシナ合板を材とした新作プロダクトのデザインも担当しました。

友人であり、最も敬愛する芸術家であった坂本龍一さんの跡を継いで、more treesを率いることになり、 大きな責任を感じています。
単にmore treesという組織のバトンを 「教授」から渡された責任だけではなく、地球環境に対する責任という、 とてつもなく大きくて重いバトンを渡されたのだと、僕は感じているのです。
そのような大きな責任感が、本来とてもシャイであった”教授”を動かし、その志に、さまざまな人が心を打たれ、more treesの今があるわけです。
その「教授」の初心を決して忘れることなく、このバトンを、世界の人につなげ、世界の森につなげたいと考えています。

more trees 代表 隈研吾

隈研吾 Kengo Kuma 近影

Photo: Frederico Martins

 

隈氏とmore treesとのコラボレーションは、2015年まで遡ります。隈氏がデザインを担当し、宮崎県産のスギ材を用いて、株式会社モア・トゥリーズ・デザイン[*2]より販売しているプロダクト〈TSUMIKI (つみき)〉は、2015年ウッドデザイン賞(ハートフルデザイン部門)を受賞。さらに本イベントの会場である〈エースホテル京都〉が入っている商業施設・新風館[*3]のビル改修プロジェクトでは、外装などのデザイン監修を隈氏が担当しました。

〈エースホテル京都〉6/11開業、建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所

 

more treea〈つみき〉エースホテル特別バージョン

more trees オリジナルプロダクト〈つみき〉エースホテル特別バージョン(イメージ)

more trees〈つみき〉

シンプルなかたちから組み合わせ次第でさまざまなバリエーションを展開できる〈つみき〉

隈研吾デザイン、ウッドシェルフ〈○○□(マルマルシカク)〉

新作プロダクト〈○○□〉は、仕切り板となる「○」のパーツ5枚、天板となる「□」のパーツ3枚を組み立てることで、2段のシェルフが完成。さらにオプションパーツを使うことで、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズも可能です。
動きのある○(マル)の仕切り板と、□(シカク)の天板によって小さな空間が切り出され、まるで建築物のような奥行きをもったプロダクトとなっています。

more trees〈○○□〉

北海道産シナ合板を用いて、下川町で製作されるmore treesの新作プロダクト〈○○□〉の製品1点あたりの炭素固定量は約9.6kg。売上の一部は森の保全活動に活用される

隈氏によるデザインコンセプト

「長方形の棚板とそれを支える丸い柱板で構成されたウッドシェルフ。丸い板は棚板の間でクルクルと回っているようにランダムに配置し、棚の表と裏をあいまいにして部屋のどこに置いてもシックリとくるようなデザインを試みた。森の中にひそんでいる、自由を表現している。」(隈 研吾)

プロダクト詳細
http://more-trees-design.jp/project/marumarushikaku/

 

〈エースホテル京都〉で行われる今回のローンチイベントでは、8段に積み上げた〈○○□〉のインスタレーションが1Fのエントランスに登場。さらに、隈氏と故・坂本氏の書籍や、エースホテル創業者のアレックス・カルダーウッド氏(Alex Calderwood|1966-2013)と、エースホテルにアメニティを提供している、米国オレゴン州発のブランド・Pearl+(パールプラス)[*4]の共同創設者で世界的クリエイターのジョン・C・ジェイ(John C Jay)氏の書籍も置かれたライブラリーも設られます。4氏の著作がコラボレーションするこのライブラリーでは、〈○○□〉がブックシェルフとして使用されるとのこと。

more trees〈○○□(マルマルシカク)〉インスタレーション イメージ

ブックシェルフ〈○○□〉インスタレーション イメージ

エースホテル京都 / Ace Hotel Kyoto

〈エースホテル京都〉1Fロビーエリア Photo: Yoshihiro Makino

森や木、アートの魅力に触れるエキシビションの会期中、4月6日には、ホテル1Fロビーギャラリーにて、〈つみき〉を用いたワークショップが14時半から開催されるほか、16時からは隈氏が登壇するトークショーも開催されます。
トークでは、隈氏がデザイン監修を手がけた〈エースホテル京都〉の空間や、more treesおよび今回の新作プロダクトへの想いを語るほか、坂本龍一とジョン・C・ジェイの2人の故人との思い出も語られる予定です(進行役:水谷伸吉氏 / 一般社団法人more trees 事務局長)。

more trees〈○○□(マルマルシカク)〉ローンチイベント

4月6日にロビーエントランスにて展示される、坂本龍一氏のアートボックス〈Ryuichi Sakamoto | Art Box Project 2020「2020S」〉。more treesが木箱の制作を手がけた。特別展示にあわせて坂本氏の音楽を試聴できるブースも設えられる

エキシビジョン概要

会期:2024年3月28日(木)〜4月14日(日)
会場:エースホテル京都 1階ロビーエリア、ロビーギャラリー

4月6日(土)トークイベント告知ページ(エースホテル京都ウェブサイト)
https://jp.acehotel.com/kyoto/going-on/a-conversation-with-kengo-kuma/

more trees イベント案内ページ
https://www.more-trees.org/news/20240321/

more trees〈○○□〉ローンチイベント

more trees プレスリリース(2023年3月21日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000029112.html

エースホテル京都 / UDホスピタリティマネジメント プレスリリース(2023年3月21日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000053487.html


人類は森とともにありました。
森が崩壊したところでは
文明が滅んでいきました。

今、世界中で森林が崩壊しています。
これは人類文明全体の滅びへの警告と
言えるのではないでしょうか。

実は日本は森林の多い国です。
たくさんCO2を固着し、また水を保ち、
多くの生命を養い、
はたまた海まで育ててくれる貴重な森を、
後々の世代まで残すために力を合わせましょう。
more trees!!

more trees創立者 坂本龍一

坂本龍一 / Ryuichi Sakamoto

Photo by Neo Sora ©︎ 2020 KAB Inc.

 

[*1] 一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ):国内外で加速する森林破壊と地球温暖化の危機的状況に行動を起こすために、坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、中沢新一、桑原茂一の5名が発起人となり、100名以上の賛同人とともに2007年に設立。「都市と森をつなぐ」をキーワードにさまざまなことに取り組んでいる。

more trees
https://www.more-trees.org/

[*2] 株式会社モア・トゥリーズ・デザイン:more treesの活動から派生するかたちで2010年に設立。では、都市部でのアウトプットに重きを置き、森の恵みを使ったオリジナルプロダクトの企画開発・販売のほか、店舗やオフィスなどの空間の木質化、企業のものづくりやイベントなどの企画制作・監修などを行っている。

モア・トゥリーズ・デザイン
http://more-trees-design.jp/

[*3] 新風館:1926年(大正15年)に吉田鉄郎(1894-1956)の設計で旧京都中央電話局として竣工。2001年にリチャード・ロジャース(1933-2021)率いるリチャード ロジャース パートナーシップジャパンが増築建物の意匠デザインを担当し、NTTファシリティーズ一級建築士事務所との共同設計によって商業施設にコンバージョン(用途変更)。2016年に閉館して大規模改修に入り、NTTファシリティーズが設計・監理、隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修をそれぞれ担当し、ホテル・店舗・映画館からなる複合施設として再生され、コロナ禍の2020年にオープンした。

新風館ウェブサイト
https://shinpuhkan.jp/

[*4] Pearl+(パールプラス)概要:ジョン・C・ジェイ氏とジャネット・ジェイ氏が共同で創設。詳細は公式ウェブサイト参照
https://pearlpluspdx.com/pages/about

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