2024年6月13日初掲、24日会場画像とテキスト追加
東京・上野の東京国立博物館にて、同館とカルティエの主催による企画展・カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話が6月12日より始まりました。会場となっている表慶館は、明治期に皇太子(後の大正天皇)の成婚を記念し、建築家の片山東熊(1854-1917年)が設計して1909年(明治42)に開館した歴史的建造物です。
本展は、カルティエが日本国内(東京・原宿)に最初のブティックを開いてから50年を迎えたことを記念して開催されるもので、左右対称の内部構造をもつ表慶館を舞台に、メゾンと日本を結ぶさまざまなストーリーを通して、カルティエと日本、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆が紐解かれます。
以下、カルティエ提供のテキストと画像をもとに構成
展示構成
美へのまなざしを共有する日本とカルティエは、これまで1世紀半にわたってさまざまな物語を紡いできました。表慶館の右側に位置する本展の第1部では、「カルティエ コレクション」(メゾンのヘリテージコレクション、1983年創設)の作品やアーカイヴ資料、現代アーティストの作品、そして個人的なエピソードなど、170点を超える展示品を通して、この長きにわたる対話に光をあてていきます。
そして表慶館の左側の第2部では、カルティエ現代美術財団と日本のアーティストとのこれまでの深い結びつきを示す作品などが展開されます。会場デザイン・構成:スタジオ・アドリアン・ガルデール
単一の展覧会で初めて一堂に会する、メゾン カルティエとカルティエ現代美術財団の並行する2つの歴史は、建物の中心に位置し、来場者が最初に入る円形ドーム下のフロア(Rotanda)にて展示されている、澁谷 翔(1984-)によるインスタレーションで結ばれています。
カルティエ ジャパン50周年を記念するためにカルティエから制作を依頼された澁谷は、35日間にわたり日本全国を旅し、絵画50点の連作を制作。歌川広重と〈東海道五十三次之内〉(1832年)にオマージュを捧げるという長年の夢を実現しました。
偉大な浮世絵師の先例に倣い、日本橋から旅を始めた澁谷は、47都道府県すべてを訪れ、毎日、地元の新聞日刊紙の一面に空の景色を描きました。沖縄から九州、本州各地を経由して北海道まで、青い空から燃えるような夜明けまで。詩的な地図は、日刊紙のリズムに合わせて、過ぎゆく時間のビジョンを映し出し、かたちづくられました。
カルティエと日本のつながりの過去、現在、未来を融合することを企画する本展と同様に、澁谷翔による〈Fifty Sky Views of Japan(日本の空五十景)〉は、こうしたつながりの連続性を示すものであり、絶えず進化させ刷新し続けるカルティエの歴史を象徴するものです。
カルティエと日本、芸術と美へのオマージュ
日本におけるカルティエの最初のブティックが東京・原宿のパレ・フランスにオープンしたのは1974年のこと。カルティエと日本文化との対話の始まりはそれよりさらに1世紀近く前に遡ります。
1898年に父親とともにメゾンの事業経営に参画した、創業者の孫であるルイ・カルティエ(1875-1942)の時代から最新の作品に至るまで、カルティエのクリエイションにおける日本からのインスピレーションの重要性が提示されるほか、1988年以降に日本で開催されてきたカルティエの展覧会も振り返りながら、当時展示された「カルティエ コレクション」の中から、最も貴重かつ象徴的なピースを選び、再び紹介しています。
そして最後の展示室では、これまで半世紀にわたり、常に変化を続ける日本の歴史をともに歩み、自らの価値観に忠実でありながら時代の精神を捉え、建築、デザイン、現代アートとの定期的な対話を通じて、生き生きとした日本の創造性に触れながら、その好奇心を研ぎ澄ませてきたカルティエの軌跡を紹介していく展示構成です。
カルティエ現代美術財団と日本人アーティスト、尽きることのない対話
カルティエと日本との関係を探るには、1984年に設立されたカルティエ現代美術財団と日本人アーティストとの密接な関係を抜きにしては語れません。カルティエ財団は、創設以来、日本人アーティストの発掘や再発見のパイオニアとして新しい道を開拓し、探求する自由を彼らに提供しながら、ヨーロッパの観客に作品を紹介してきました。
また、カルティエ財団はこれまで何度も、日本の機関と密接に協力し、カルティエ財団が所蔵するアーティストの作品や、日本や世界で活躍するアーティストの作品を紹介する展覧会や個展を開催しています。
今回の「結 MUSUBI」展では、絵画、写真、建築、デザイン、あるいは映像など、さまざまなジャンルのクリエイションを結びつけるカルティエ財団のユニークな才覚を、120点を超える財団所蔵作品、あるいは本展のためにアーティストやギャラリーから借用した作品を通して、万華鏡のようなビジョンで表現しています。展覧会から出版まで、またコミッション(委託制作)からコレクションの購入に至るまで、カルティエ財団は日本のアーティストたちとの真のコミュニティを築き上げ、現在も対話を続けています。
こうした創造的対話は、日本のアートシーンを代表する国内外16人のアーティストの作品を通して、本展の会場でも展開されます。アーティスト(五十音順):荒木経惟、石上純也、ウィリアム・エグルストン、川内倫子、北野 武、ジャン=ミシェル・アルベロラ、杉本博司、束芋、中川幸夫、宮島達男、松井えり菜、村上 隆、三宅一生、森村泰昌、森山大道、横尾忠則
会期:2024年6月12日(水)〜7月28日(日)
休館日:月曜(7月15日[月・祝]を除く)、7月16日(火)
開館時間:9:30–17:00(金・土曜は19:00まで、入館は各日とも閉館の30分前まで)
会場:東京国立博物館 表慶館
所在地:東京都台東区上野公園13-9(Google Map)
観覧料:一般 1,500円、大学生1,200円、高校生以下、障がい者と介護者1名まで無料(入館時に学生証、障がい者手帳などの提示が必要)
問合せ先電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:東京国立博物館、カルティエ
特別協力:カルティエ現代美術財団
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
会場デザイン・構成:スタジオ・アドリアン・ガルデール
ハッシュタグ:#MusubiCartierJapan / #CartierCollection / #FondationCartier
展覧会詳細(カルティエ 2024年6月12日プレスリリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000016275.html
東京国立博物館(トーハク)イベント案内
https://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=5&id=11080
※本稿画像提供:カルティエ ©︎Cartier