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みんなの建築大賞推薦委員会(委員長:五十嵐太郎)は2月10日、文化庁およびジンズ(JINS)協力のもとで実施した「みんなの建築大賞2025」において、大賞を〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉(設計:伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV)に、推薦委員会ベスト1も同施設に授与することを発表しました。
〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉を設計した伊東豊雄氏(伊東豊雄建築設計事務所代表)と國本暁彦氏(竹中工務店大阪本店設計部設計第3部長)。2月10日に国立近現代建築資料館で行われた授与式にて(写真:宮沢 洋)
授与式にて。左から倉方俊輔氏(みんなの建築大賞推薦委員会委員長代理、大阪公立大学教授)、國本暁彦氏(竹中工務店大阪本店設計部設計第3部長)、神崎夏子氏(伊東豊雄建築設計事務所)、伊東豊雄氏(伊東豊雄建築設計事務所代表)、大山政彦氏(日本設計建築設計群チーフ・アーキテクト)、西村拓真氏(日本設計建築設計群主管)、山崎智紀氏(国立近現代建築資料館副館長)(写真:長井美暁)
大賞は、「X」「Instagram」「Googleフォーム」の3つの一般投票で最も多くの票(3メディアの合計)を獲得した建築に与えられるもの。また、推薦委員会ベスト1は、ノミネート作「この建築がすごいベスト10」を選定する推薦委員会の場で最も評価の高かった建築に与えられる賞です。
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
写真:上2点・下左2点=森 清、下右2点=宮沢 洋
伊東豊雄氏(写真:藤塚光政)
設計の中心になった伊東豊雄氏は、伊東豊雄建築設計事務所代表。AIA名誉会員、RIBA名誉会員、くまもとアートポリス・コミッショナー。1941年京城市(現・ソウル市)生まれ。1965年に東京大学工学部建築学科卒業後、1965~1969年菊竹清訓建築設計事務所勤務。1971年株式会社アーバンロボット(URBOT)を設立し代表取締役に就任。1979年株式会社伊東豊雄建築設計事務所に改称。1984年に「笠間の家」で日本建築家協会新人賞を受賞。その後も、1986年〈シルバーハット〉および2003年〈せんだいメディアテーク〉で日本建築学会賞作品賞、2002年ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、2006年王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、2010年朝日賞、2010年高松宮殿下記念世界文化賞、2013年プリツカー建築賞、2017年UIAゴールドメダルなど、国内外の数多くの賞を受賞。主な建築作品に〈せんだいメディアテーク(宮城)〉〈多摩美術大学八王子図書館(東京)〉〈みんなの森 ぎふメディアコスモス(岐阜)〉〈台中国家歌劇院(台湾)〉〈水戸市民会館(茨城)〉など。
〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉は、ホールや図書館、子育て支援、市民活動センター、プラネタリウムなど、多くの機能が入る公共複合施設。7階建ての各フロアが吹き抜けの「縦の道」でつながります。「それぞれの機能が混ざり合い、日々いろんなことがいろんな場所で起きている、また、いろんな人に出会える」。そんな施設を目指して運営されています。
ジブリパーク 魔女の谷 / スタジオジブリ(デザイン監修)、日本設計
ジブリパークの「魔女の谷」にある「ハウルの城」(写真:ロンロ・ボナペティ)
また今回、一般投票でおにクルに次いで2位となった〈ジブリパーク 魔女の谷〉(設計:スタジオジブリ[デザイン監修]、日本設計)に、「建築」への関心を新たな層に広げたことを称えて「特別賞」を授与することとしました。
授与式にて説明する、日本設計の大山政彦氏(左)と西村拓真氏。デザイン監修はスタジオジブリ(写真:長井美暁)
投票対象となった建築は次の10件。
[2025 この建築がすごいベスト10](掲載は施設名の50音順、施設名の後は主たる設計者)
1)伊豆市津波避難複合施設 テラッセ オレンジ トイ / 東京大学今井研究室、日本工営都市空間
2)茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
3)エバーフィールド木材加工場 / アトリエ・シムサ、kittan studio、3916、山田憲明
4)小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
5)グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
6)ジブリパーク 魔女の谷 / スタジオジブリ(デザイン監修)、日本設計
7)2m26 Atelier / セバスチャン・ルノー、メラニー・へレスバック/2m26
8)豊田市博物館 / 坂茂建築設計
9)ポーラ青山ビルディングおよび土浦亀城邸復原・移築 / 安田アトリエ、久米設計
10)まちの保育園 南青山 / ALTEMY
今回の一般投票での獲得票数トップ5は、上位から順に〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉〈ジブリパーク 魔女の谷〉〈グラングリーン大阪〉〈エバーフィールド木材加工場〉〈伊豆市津波避難複合施設 テラッセ オレンジ トイ〉でした。
推薦委員会の委員長を務めた五十嵐太郎東北大学大学院教授の総評は、以下のとおり。
2025年1月14日に行われた選定会議の様子
「推薦委員がそれぞれ3作品を紹介し、10の候補作を選ぶプロセスは、おおむね昨年と変わりなく進行した。今回、個人的に興味深いと思ったのは、〈ポーラ青山ビルディング〉における土浦亀城邸の移築、〈全日本海員組合本部会館〉の改修工事、旧渋沢栄一邸を移築した〈温故創新の森 NOVARE〉のほか、〈霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ〉や、〈JINS ホールディングス東京本社〉〈渋谷区ふれあい植物センター〉〈KYO AMAHARE〉〈shizuhara stay〉〈オパス有栖川テラス & レジデンス〉などのリノベーションが推薦されていたこと。つまり、新築ではないプロジェクトが多かった。
ここから10選に残ったのは、〈ポーラ青山ビル+土浦亀城邸〉だが、YouTubeで配信したプレゼン大会において、安田幸一らが現場から実況中継の形式で、作品を紹介したのが印象深い。若い世代にはピンとこないかもしれないが、往年のテレビ番組「ザ・ベストテン」を思いだす緊張感だった(配信は2025年2月28日まで視聴可能)。また、〈まちの保育園 みなみあおやま〉も、独立した建築ではなく、〈ポーラ青山ビル〉の内部のインテリアとしてつくられた空間であり、こうした小さい作品に対しても、推薦委員が注目していることがうかがえる。
さて、今回からは、X(旧twitter)に加え、InstagramとGoogleフォームでも投票できるようになった。その結果、各メディアの傾向が異なり、Xは〈グラングリーン大阪〉、Instagramは〈ジブリパーク〉、Googleフォームは〈おにクル〉が1位である。これも「ザ・ベストテン」が、レコードの売上げ、有線放送、ラジオ総合、はがきリクエストという4要素を合計して、順位を決めることに似ているかもしれない。
総合では〈おにクル〉がトップとなり、推薦委員の票も一番多かったことから、みんなの建築大賞と推薦委員会ベスト1のダブル受賞に決まった。終盤のデッドヒートが白熱したが、最後は街ぐるみで応援する体制になった〈おにクル〉が、大きく得票数を伸ばしている。いつも大勢の人で賑わう施設だが、設計の段階から、数多くのワークショップを開催し、地元にファンを増やしたことも、功を奏したのではないかと思う。ともあれ、みんなの建築である〈おにクル〉が、正しくみんなの建築大賞を受賞した。
特別賞となった〈ジブリパーク〉は、いわゆる建築雑誌だと、そもそも取り上げないタイプの作品だが、推薦委員1名からの応援で拾い上げ、見事に上位に食い込んだ。〈グラングリーン大阪〉の〈うめきたパーク〉は、東京の再開発にない公共空間を出現させ、多くの支持を得た。なお、実際に行ったことがあるのでよくわかるのだが、熊本の〈エバーフィールド〉は簡単に行きづらい場所であるにもかかわらず、4位になったのは敢闘したと言えるだろう。」
2025年1月14日の選定会議にて
■有岡三恵 / 編集者、Studio SETO
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
7層を吹き抜けでつなぐ空間で、老若男女が寛ぐ「みんな」の建築。図書館、ホール、子育て支援など異種用途をシームレスにつなぎ、既存の計画学に風穴を開ける。什器までデザイン密度が高い。
南阿蘇鉄道高森駅・交流施設 / ヌーブ
プラットフォームを広場化し、近隣街区とつなぐ。カフェの他、みんなの会議室、みんなの書斎と名付けた空間を設え、地域住民や観光客の居場所をつくる。駅のあり方を再構築する提案に膝を打つ。
写真:左=宮沢 洋、右=有岡三恵
小さな地球 タイニーハウス群(築土庵 / 結庵 / 書庵 / 波烟庵 / 炭庵 / ファクサイ庵) / 明治大学川島範久研究室 / 東京科学大学・東京都立大学能作文徳研究室 / 能作文徳建築設計事務所+mnm+東京科学大学・東京都立大学能作文徳研究室 / 金賢洙/東京科学大学総合研究院 / 東京科学大学塚本由晴研究室
持続可能な里山とは? この難問に実践で挑む「小さな地球」プロジェクトの一環で完成したタイニーハウス群。地場産の土、木材、藁など有機的な材料を用いセルフビルドに挑み新工法も生み出す。
■飯田 彩 / 編集者、Design Communicator
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
ホールや図書館などの機能を積層した「立体的な公園」のような建築。円形の吹き抜け「縦の道」が全フロアをつなぐ。開館半年で来館100万人を突破した、「日々何かが起こり、誰かと出会う」場所。
ポーラ青山ビルディングおよび土浦亀城邸復原・移築 / 安田アトリエ、久米設計
日本の戦前モダニズム住宅の傑作が、新築の「ポーラ青山ビルディング」の足元に復原・移築された。元の部材を生かしつつ、竣工当時の姿を忠実に再現。内部も一般公開する。控えめに言って奇跡。
SHINJUKU NEW VILLA / 南俊允建築設計事務所
ポストコロナの柔軟な働き方、暮らし方を発見できる建築。波打つ壁とスラブが、内外が心地よく連続する透明感ある空間をつくると同時に、奥行きや広がり、多様な居場所を生み出している。
写真:飯田 彩
■猪飼尚司 / 編集者
鴨半OMOYA / 池林堂半七+木村全伸工務店
「鴨川を眺めるため」に建てられた宿。川のせせらぎを臨むように居室をスキップフロアにしつつ、コンクリート打ち放しの構造と古材を巧みに融合。壁を完全に閉じず、外気を適宜取り込んでいる。
サントリー白州蒸溜所 Hakushu Terrace / MMA Inc.
雄大な森と建築が一体になることを考え、軒に垂れ下がる屋根は銅板葺きにし、壁面は藁を混ぜた土を左官で仕上げた。緑を眺めながら時間を過ごすことを鑑み、開口や光のバランスを調整している。
アークテリクス東京クリエーションセンター / トラフ建築設計事務所
文化の交差点になることを考え、BUAISO、ハタノワタル、横山裕一、石山和宏などの作品を建築と一体化。TSUBAKIによる造園やヒノキ材を用いた造作で、建物内に「日本の山」の風景を映し出している。
■五十嵐太郎 / 建築史家、東北大学大学院教授
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
貨物跡駅地の再開発、グラングリーン大阪は、SANAAによる大屋根の施設や、安藤忠雄の文化施設もあるが、なんといっても、うめきた公園に驚かされた。お金を稼がない公共的な空間が、JR大阪駅前に出現したからだ。
温故創新の森 NOVARE / 清水建設
清水建設のイノベーション拠点。実寸大モックアップが並ぶ研修施設、3Dプリント、環境制御、アップサイクルなどの未来志向と同時に、明治期の仕事、旧渋沢栄一邸の移築保存や充実した資料館など、歴史も重視。
写真:五十嵐太郎
蟻鱒鳶ル / 岡啓輔
構法、施工期間、集団制作、そして造形と装飾。あらゆる面において型破り。セルフビルドで20年かけて、ようやく完成を迎えた。今年は曳屋される予定。現代東京で高山建築学校の精神を継ぐ奇跡の建築が誕生した。
■磯 達雄 / 建築ジャーナリスト
伊豆市津波避難複合施設 テラッセ オレンジ トイ / 東京大学今井研究室、日本工営都市空間
津波避難タワーに展望台や飲食・物販の店舗を組み合わせた新しいタイプの施設。松原の景観との調和を図り、既存の樹木を避けるような平面計画やディテールのデザインが採られている。
小浜ヴィレッジ / フジワラテッペイアーキテクツラボ
本社&テナントオフィス、パン&ビール工房、飲食&物販店舗などを集めて、小さな村のようなエリアをつくり上げた。入念な地域環境のリサーチを設計に反映させることで、ユートピア的だが閉じていない。
写真:磯 達雄
小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
ガラス越しに見える越後三山と呼応した天井のデザイン。その下ではレール上の書棚を移動させながら、様々なイベントが催される。アーケード商店街とのつながりが配慮されているところも良い。
■加藤 純 / 編集者、TECTURE MAG編集長
こども本の森 熊本 / 安藤忠雄建築研究所
緩やかに蛇行する壁一面の本棚と、木組みの天井に囲われた親密感のある空間にかかる伸びやかな階段、カーブする書棚家具、そして外の緑に開ける大開口。すべてがちょうどよく調和して本と一体に。
写真:加藤 純
霞ケ浦 どうぶつとみんなのいえ / 髙橋一平建築事務所
既存の一部を壊した半屋外空間を、外周に全長約404mに及ぶ有機的な歩廊が巻き付いて巡る。キリンやペンギンなどと触れ合いながら自然と向き合い考える、次世代の体験施設。
豊田市博物館 / 坂茂建築設計
アプローチから伸びて全体にかかる大屋根、弧を描くスロープのある展示空間が明快&爽快。ランドスケープを含めて傑作・豊田市美術館との接続がスムーズに。「みんなで作る博物館活動」もイマドキ。
■神中智子 / 編集者
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
開館から約1年で来館者200万人突破! フラットスラブを貫く円形の吹き抜けを中心にオープンとニッチが共存する超複合施設。あらゆる世代が“私の居場所”を見出す「みんなの家」がここにある。
SHINJUKU NEW VILLA / 南俊允建築設計事務所
カーブする透明ガラスとザラっとしたコンクリートの対比に惹かれる住戸とオフィスの複合建築。空間の伸び縮みが旗竿敷地に明るさを導き、能動的な暮らしを誘発。新しい自分にきっと出会える。
全日本海員組合本部会館 改修 / 野沢正光建築工房
戦後を代表する建築家・大高正人が手がけたモダニズム建築が蘇る。増築部撤去で明るいサンクンガーデンが復活、木製建具による温熱環境の調整など見どころ満載。支えたのは施主の思いと行動力。
写真:左=宮沢 洋、右=神中智子
■倉方俊輔 / 建築史家、大阪公立大学教授
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
公共建築ってみんなの居場所で、こんな建築があったら近くに住みたくなる。空間を行き来させる構成、場所に留まらせる家具や布との協働、内外の連携など、伊東豊雄の蓄積の今がここにある。
JINSホールディングス東京本社 / 髙濱史子建築設計事務所
既存床をぶち抜いて、光とアートがきらめき、最上階のサウナもコミュニケーションを活性化させる。従来のリノベーションを超えた最先端であり、社屋は会社の未来への投資という原点への回帰だ。
写真:倉方俊輔
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
はしゃぐ子ども、いちゃつくカップル・・思い思いにいられる空間が、大規模再開発だから創出できることを証明した。デザイン的には、何よりも梅田スカイビルを引き立たせているのも賢明だ。
写真:左=倉方俊輔、右=前田智成
■阪口公子 / 編集者、コンフォルト編集部
RYOZAN PARK GREEN / 平田晃久建築設計事務所
一見やわらかいのに硬い。土木工事で使われるコンクリートキャンバスが生み出す自然ななりが不思議な空間を生み出している。RYOZAN PARK一連の運営形態、オーナーの考え方も興味深い。
東京藝術大学彫刻棟増築 / 髙橋一平建築事務所
風をはらんでいるような、真っ白なキャンバス。と思いきやスチールプレートで、溶接時の微妙な差異から表出されたテクスチャーである。まるで抽象作品。コンクリート打放しとの対比も◎。
KYO AMAHARE / トネリコ
京町家のリノベーションで、新旧の木の扱いが絶妙。既存の数寄の意匠もすばらしいが、それに負けない精緻さで什器が制作されている。照明のディテール、和紙貼りの階段も秀逸だ。
■坂本 愛 / 編集者、ライター
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
子どもの頃、こんな施設が欲しかった。7層を貫く吹き抜けの周囲にはいろいろな〝居場所〟があり、探検気分も味わえる。訪れた人が笑顔になる公共建築の好例。故・藤森泰司氏の家具も心地よい。
麻布台ヒルズ ガーデンプラザ / ヘザウィック・スタジオほか
都心の風景を一変させた建築=街区。未知の生命体を思わせる、外装フレームのグニャグニャさ加減に驚かされる。その表面に施された洗い出し仕上げなど、素材やディテールへのこだわりもすごい。
風姿 / 手塚建築研究所+オーノJAPAN
東京郊外にある一棟貸しの宿。床上1.5m、全幅33mの低い軒が渓谷の景色を切り取る。2万本以上のスギの棒材を1mm間隔で貼った壁など職人技も見どころだ。手つかずの自然と食事を堪能する場所。
写真:坂本 愛
■櫻井ちるど / 編集者、建築画報
エディオンピースウィング広島 / 東畑・EDI・大成・復建設計共同企業体
「恒久平和と、夢や希望を持って明るい未来へ羽ばたく」との願いが込められたスタジアム。翼をイメージした特徴的な屋根は大きな開口部が設けられ、広島の街に光や歓喜の賑わいが滲み出るエネルギーに満ちた「まちなかスタジアム」。
写真:櫻井ちるど
TORAYA Ginza Building / KAJIMA DESIGN、内藤廣建築設計事務所(内装設計)
【TORAYA GINAZA】エレベータを降りると赤い左官壁が出迎える。光の当たる角度によって異なって見える色や独特な質感だ。【銀座 黒田陶苑】内装テーマは「闇」。銀座の喧騒を忘れる闇と静寂の空間で心の目でやきものを見ることができる。
ポーラ青山ビルディングおよび土浦亀城邸復原・移築 / 安田アトリエ、久米設計
敷地内に土浦亀城邸が移築・復原され一般公開されている。建築・アート・文化・ランドスケープが見事に融合されたオフィスビル。内外の随所にある先進的なアート作品が独特な存在感を放つ。ビル正面に切り取られた「床間」にあるアートも印象的だ。
写真:宮沢 洋
■白井良邦 / 編集者、慶應義塾大学SFC特別招聘教授
遊びの塔 / 内田奈緒、ホワイト・ループ / VUILD
安藤忠雄、谷口吉生など巨匠の建築が建つアートサイト〈清春芸術村〉に若手建築家が設計した2つの“こどものための建築”が誕生。未来を担う子供の目と身体と脳を刺激する。
左が〈遊びの塔〉、右が〈ホワイト・ループ〉。写真:宮沢 洋
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
今後の子供向け公共施設のあり方を変える可能性のある、ニュータイプの「こども文化複合施設」。2001年の〈せんだいメディアテーク〉、2015年の〈ぎふメディアコスモス〉に続く、伊東さんのつくる文化施設の傑作です。
ポーラ青山ビルディングおよび土浦亀城邸復原・移築 / 安田アトリエ、久米設計
高層ビルの公開空地に、解体寸前だったモダニズム住宅を移築するというウルトラCプロジェクト。動態保存が望ましいが叶わないのであればこういう解決策もありと思わせる完成度の高いプロジェクト。残ってよかった!
■介川亜紀 / 編集者
まちの保育園 南青山 / ALTEMY
青山一丁目駅近く、ポーラ青山ビルディング(港区)の3階。入り口すぐから床のうねりが始まり、園全体がいくつもの小さな丘でゾーニングされている。この空間の認可を都と港区から得るため、建築家・津川恵理は形状のユニークさと安全性の双方をにらみながら、床の傾斜、素材を絞り込んだ。「環境と身体の接続から領域を知覚する」ことにより、子供たちの未知の可能性が芽吹くか。
写真:左=介川亜紀、右=宮沢 洋
■高木伸哉 / 編集者、フリックスタジオ代表
房総の別荘 / 寺本健一
美しい環境を享受できた理由は、地面の下にあった。小径鋼管杭を使い土地を改変せず、環境へのインパクトを抑えて山地に建てた住宅。山とともに暮らす日本のドメスティック建築になり得るか?
常滑の土間 / 手塚建築研究所+オーノJAPAN
軒下空間が得意な建築家が、もっと広い軒下を作った。出梁、垂木の先に軒天井を延ばし、屋根スレートまで持ち送り。背伸びをするように。そうまでしてできた空間は、平場のない山間で活きてくる。
写真:高木伸哉
暖居 / 御手洗龍建築設計事務所
山の環境になるべくそっと入り込む技術、ツリーハウス。これは篠原一男設計・旧谷川俊太郎別荘を使い続けるための機能拡張。森のシェアハウスで、建築と環境をみんなで共有する方法として注目。
■津川 学 / ジャーナリスト、建設通信新聞社
全日本海員組合本部会館 改修 / 野沢正光建築工房
使う人に愛され続けている幸せな建築だ。六本木のど真ん中で60年間、良好な状態が保たれてきた。昨年完成した大改修では原設計が尊重されサンクンガーデンが復活、オフィス環境も改善された。
まちの保育園 南青山 / ALTEMY
ビルのワンフロア。真っ白な隆起する地形(床)は自然の大地のようでもある。園児は「名もない隆起の場所」で、その建築との対話を通して身体を育てていく。完成後も「デジタル保育」を支援。
モノクローム / スタジオ宙
山と谷を繰り返す地形のような天井形状に思わず見とれる。しかもコンクリート打設のプロセスで出来た模様がそのまま陶芸作品のように残る。セカンドハウスだが設計者の言うように立体アートだ。
■富井雄太郎 / 編集者、millegraph代表リスト、建設通信新聞社
ちっちゃい辻堂 / ビオフォルム環境デザイン室
若き地主・石井 光さんの構想による、母屋と複数世帯の賃貸住宅、豊かな緑をもつコモンスペースの集まり。「微生物舗装」から土地の生態系を回復させることを目指した長期的なプロジェクト。
写真:富井雄太郎
霞ケ浦 どうぶつとみんなのいえ / 髙橋一平建築事務所
旧水の科学館を大規模改修してつくられた「動物園」。既存の建物を壊すことと、必要なものを新たにつくることがほとんど等しくある。アニマルウェルフェアについても考えさせられる。
shizuhara stay / 森田一弥建築設計事務所
京都市山間の集落にて、建築家が自宅と設計事務所に隣接した古民家を改修して自主運営の宿泊施設としてオープン。長年の蓄積とセルフビルドの賜物。地域に根差す建築家の生き方が体現されている。
写真:富井雄太郎
■豊永郁代 / 編集者、コンフォルト編集部
全日本海員組合本部会館 改修 / 野沢正光建築工房
既存建築の魅力、依頼者の思い、建築家の熱、すべてが結集した奇跡に、立ち会えただけでも幸甚なりとジーンとくる改修。海員会館らしい清潔感、すがすがしさ、エレガントさを備えている。
オパス有栖川テラス&レジデンス 改修 / ケース・リアル(内装設計)
リビタによる超100平米マンション改修の一室。環境を取り込んだ空間が、壁だけでなく天井まで塗り回した左官で生きる。テクスチャーを選択する際のデザイナーの五感に信頼を寄せる。
用賀の離れ / 井上洋介建築研究所
麻雀室、トレーニングルーム、和室、台所、風呂。どこを見ても、楽しく生きるための器である。数寄の現代版ともいえる住宅のありようかと思う。丹精でいやみなく羨ましいとしか言えない。
写真:豊永郁代
■中村光恵 / 編集者、リトルメディア
niwa / 古谷デザイン建築設計事務所
蒲田駅近く地域の活動拠点として建てられた小さな複合施設。祭具倉庫、路地的な空間を立体的に作り出す多層階に渡る植栽、人が集まるペントハウスやレストランなど、地域に根ざした場が模索されている。
いちこや / 滝川寛明建築設計事務所
10坪の小さな住宅。隣の敷地で展開される小さなコミュニティの広がりや家族の将来をテーマに、住宅の新たなあり方を模索して若手建築家を対象としたコンペが実施され建てられた。
星美ホーム サローネ / フジワラテッペイアーキテクツラボ
児童養護施設に建てられた遊びや劇や、音楽や芸術に触れて心の傷を回復していく場所として建てられた建築。既存の建物を含めたランドスケープと共に子どもたちに向き合う環境を作っている。
■八久保誠子 / 編集者、LIFULL HOMES PRESS編集長
東急プラザ原宿「ハラカド」 / 日建設計、平田晃久建築設計事務所、乃村工藝社
建物が割れ緑が生まれていくような無機×有機のデザイン。緑と相まってガラスに街を行きかう人々が映り、通りの建物というより「広場」に感じる。新たな原宿カルチャーのシンボルにふさわしい。
Ginza Sony Park / Ginza Sony Park Project
コンクリートの建物ながら光を取り込み余白を残し回遊させる建築は名建築ソニービルの「街に開かれた施設」のコンセプトを「継承」している。竣工までの公開の経緯とともに街で育つ建物だ。
伊豆市津波避難複合施設 テラッセ オレンジ トイ / 東京大学今井研究室、日本工営都市空間
この建物は日本初の津波避難複合施設。災害を避けられない日本で命を守る建物の役割は大きい。避難施設だが、かけがえのない存在として人々に愛されるためにもこの建築の美しさが必要だと思う。
写真:左=磯 達雄、右=宮沢 洋
■平塚 桂 / 編集者、ぽむ企画
2m26 Atelier / セバスチャン・ルノー、メラニー・へレスバック/2m26
改修民家と動物のための多彩な小屋はオール自主施工。茅葺き職人や地域住民に学んだ伝統的手法を咀嚼。丸太や茅など素材は主に地域で入手し既製品皆無と、伝統知に向き合った実践の究極形。それがフランス出身の夫妻によるという衝撃。
写真:左=宮沢 洋、右=平塚 桂
小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
誰もが居場所を見つけられ、適度に棲み分けできる図書館。市民の意見を解析した設計プロセスの効果か、フロート、アンカー、ルーフという要素が前景化しすぎず絶妙に平衡。山並みと呼応する屋根も、ちょうどいい存在感。
HAUN TABATA / HUNE Architects
機能やゾーニングを収益性からはじきつつ、デザインによる差別化をきかせたコリビング賃貸。手ざわりや距離感に重きが置かれ、外観はあえてそっけなく、照明やカーテンをシンボル的に用いる緩急のきいた設計に感心。
■宮沢 洋 / 画文家、BUNGA NET編集長
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
図書館機能を各階に振り分け、交差するエスカレーターで、吸い上げるように上階へと導く。〈せんだいメディアテーク〉の消化不良だった部分をメインに据えた“令和のメディアテーク”。
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
「大阪は緑が少ない」というイメージを1つのプロジェクトで逆転させた。デザインもさることながら、「公共の公園を民間がアップグレードする」という数値化しにくい目標に一丸となった関係者に拍手。
エバーフィールド木材加工場 / アトリエ・シムサ、kittan studio、3916、山田憲明
民間建設会社が公開コンペで「最もリスキー」な案を選び、実現した。木材がもたれ合うレシプロカル構造は、まるで巨大な生命体に包まれるよう。「くまもとアートポリス」の大きな成果でもある。
写真:和田菜穂子
■前田智成 / 編集者
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
屋根架構が着地する足元まわりのベンチから、都市的な巨大イベントスペースへと、スケールが違和感なくつながっていく様は圧巻。
東急プラザ原宿「ハラカド」 / 日建設計、平田晃久建築設計事務所、乃村工藝社
思わず近寄って登ってみたくなる、街に現れた「丘」。反射率の異なる多面体のガラスが刻々とその表情を変える。
写真:前田智成
豊田市博物館 / 坂茂建築設計
豊田市の市章をモチーフとした、ダイアゴナルな木梁が印象的。複雑な架構を構造的にも合理的に解き、軽やかな大屋根を実現している。
写真:前田智成
■本橋 仁 / 建築史家、金沢21世紀美術館レジストラー
国際鯨類施設 / 阪根宏彦計画設計事務所
構造材としてのCLTが、力強さから脱却し、軽やかさをまとった新境地。太地の海と、那智の森とをつなぐ、その雄大な意匠に沈む夕日が見たい。
まちの保育園 南青山 / ALTEMY
ビルに埋没する、コンテンポラリーな都市ジャングル。時間軸を空間に持ち込むALTEMYらしい、子どもの空間の局地。
SANU NOWHERE / 武田清明建築設計事務所、STUDIO DIG.
近代から現代の時間を、竪穴として穿つ。既存の建築を耕し獲得される、野生の大地との連続に、リノベによってのみ獲得される批評的な空間。
■森 清 / 編集者、BUNGA NETプロデューサー
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
吹き抜けを上ると、劇場や子育て支援施設などが複合された全館と一体になり、象徴性を感じさせる。デザイナーの藤森泰司氏や安東陽子氏なども含め、みんなでつくったみんなのための建築。
小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
図書館を主とした複合施設。アクティビティーごとに配されたアンカー空間が、河岸段丘のような低層建築を支持。ガラス開口から越後三山の風景を取り込むとともに、みんなの居場所を生み出す。
馬場川通りアーバンデザイン・プロジェクト / ランドスケープ・プラス(デザイン統括)、オリエンタルコンサルタンツ(土木設計)
前橋の市道を改修してレンガ舗装で覆った。馬場川は、ふたを外して木製デッキで歩道と一体化。遊歩道公園に一変させた。公衆トイレも含め、公共空間を民間主体で整備。人の流れを呼び戻す。
写真:森 清
■山田兼太郎 / 編集者、NTT出版
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
伊東豊雄の建築的系譜の集大成として、2011年以降の建築とコミュニティデザインの融合として、さらに地方都市を統合するランドマークとして、建築による「総合」の可能性を思い出させてくれた。
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
長期にわたり街を分断していた空白エリアを、オープンスペースを中心に据えて開発することで、梅田という街に連続性を与え、さらに緑の少ない大阪という都市を、視覚的にも象徴的にも一新した。
東急プラザ原宿「ハラカド」 / 日建設計、平田晃久建築設計事務所、乃村工藝社
天気のいい日には、青空に森が浮いている、そんな風に見える。信号を待ちながら、思わず眺めてしまう。根を持とうとしているのか、重力から逃れようとしているのか、東京の映し鏡のようだ。
■吉田和弘 / 編集者、草思社
小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
山脈を内面化したような高低差のある天井と、レベルのことなる床面で多様な場所が作られ、図書館に必要なさまざまな心地よい場所が生まれている。商店街からつながったようなアプローチも良い。
写真:左=森 清、右=磯 達雄
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
先行するグランフロント大阪の巨大なビル群の脇に、ヒューマンスケールなドームを緑とともに置くことで周囲と人々の関係を劇的に良い方向に構築している。結果的に梅田スカイビルが主役のよう。
だら挽きの家 / ICADA
スギ大径木の挽板は、仕上げとしてみると好みは分かれそう。しかし、線材の組み合わせになりがちな現代木造建築の時代に、挽板の野面を伝ってくる光の感触などが、新しい木質の可能性を感じさせてくれる。
■ロンロ・ボナペティ / 建築ライター、編集者
ジブリパーク 魔女の谷 / スタジオジブリ(デザイン監修)、日本設計
作中の建物を具現化した建築と、異なる作品の建物同士を繋ぐオリジナルの建築が共存し生み出したジブリの町。空想世界を現実化する構法・材料の選択に、ジブリの建築観が体現されている。
写真:ロンロ・ボナペティ
SKAC (SKWAT KAMEARI ART CENTRE) / DAIKEI MILLS
設計事務所が運営する芸術文化センター。JRの高架にガラスを嵌めて内部空間化し、巨大なヴォイドに建設足場を積み仮設的な建築物を建ち上げている。都市の土木インフラを建築資源化する試み。
写真:ロンロ・ボナペティ
グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
約4.5万㎡の敷地を有する都市公園。劇的な風景の変貌とともに、園内で過ごす人びとの自由なふるまいが拡散された。ランドスケープや公園内の構築物のデザインに現代建築の知が結集している。
■和田菜穂子 / 建築史家、東京家政大学准教授
渋谷区ふれあい植物センター / SUPPOSE DESIGN OFFICE
「日本一小さな植物園」としてリニューアルオープン。清掃工場の余熱を利用したり、植物が発する波動を音楽にリミックスしたり、屋上でとれたホップで地ビールを作ったりなどいろんな「農と食」が体験できる。
写真:和田菜穂子
エバーフィールド木材加工場 / アトリエ・シムサ、kittan studio、3916、山田憲明
地場産の木材を用い、「レシプロカル構造」という複雑な架構と大工の高度な技術によって、大屋根を乗せた美しい大空間が実現した。熊本地震の経験を経て、万が一に備えて災害時の避難所としての活用も考慮している。
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル / 伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
建築家、行政、市民が対話を繰り返し、一丸になって作り上げた建築。フロアごとにテーマカラーや階高が異なり、テラスや緑が入り込み、物語性を感じる。「かくれんぼ」がしたくなる、ワクワクする建築。
投票の参考として、ノミネート建築10選の設計者によるライブ解説の会が2月1日にオンライン配信で開催されました。ほとんどの設計者が出演した内容は、2月末まで見逃し配信中です。ぜひご覧ください。
YouTube URL→ https://www.youtube.com/live/XieqK9uJVRM
※「みんなの建築大賞2025」は文化庁およびジンズ(JINS)協力のもとで実施
■メディアの方へ
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The Executive Office of “Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” today announced that The Ibaraki City Cultural and Childcare Complex Onikuru (in Ibaraki, Osaka), designed by Toyo Ito & Associates, Architects + Takenaka Corp., won the Grand Prize, selected based on public votes, in “2025 Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—,” presented by the Nomination Committee (Chairman: Taro Igarashi) with the cooperation of the Agency for Cultural Affairs, Government of Japan and JINS Inc.
The Nomination Committee’s Top Selection is also awarded to the same architecture, which received the highest evaluation during the selection process of the shortlisted works.
“Grand Prize” and “Nomination Committee’s Top Selection”
Ibaraki City Cultural and Childcare Complex Onikuru / Toyo Ito & Associates, Architects + Takenaka Corp.
(photo: Susumu Mori [upper, bottom left 2 photos], Hiroshi Miyazawa [bottom right 2 photos])
In addition, in appreciation of achieving broadened interest in “architecture” to new audiences, The Nomination Committee has decided to award a “Special Prize” to Ghibli Park’s ‘Witch Valley’.
“Special Prize”
Ghibli Park’s ‘Witch Valley’ / Studio Ghibli (Design supervision), Nihon Sekkei, Inc.
(photo: Lonhro Bon Appetit)
“Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” is an architectural award selected by a nomination committee, consisting of approx. 30 professionals committed to promoting architecture to the general public, and popular vote. The first award was held in 2024.
In the first stage, the nomination committee selected 10 architectural works, completed or announced in 2024, that they are “passionate about communicating to the world” and announced them as the Top 10 Greatest Architectural Works. The 10 entries were posted on “X”, “Instagram” and “Google Forms”. The entry that received the most “likes” during the voting period from January 27 to February 5 was selected as the Grand Prize.
The Agency for Cultural Affairs and JINS Inc. endorsed the purpose of this award and cooperated in its implementation.
The following lists the 2025 Top 10 Greatest Architectural Works, selected by the nomination committee in the first stage (in the order of the project titles in Japanese syllabary, followed by the names of primary architects)
Top 10 Greatest Architectural Works
1) Terrasse Orange Toi ” in Izu / Imai Laboratory + Nippon Koei Urban Space
2) Ibaraki City Cultural and Childcare Complex Onikuru / Toyo Ito & Associates, Architects + Takenaka Corp.
3) EVER FIELD wood working plant / Atelier Simsa, kittan studio, 3916, Noriaki Yamada
4) HONTOKA。(Ojiya City people, town, culture co-creation base) / Akihisa Hirata Architecture Office
5) Grand Green Osaka / Nikken Sekkei ltd, Mitsubishi Jisho Design Inc., Obayashi Corp., Takenaka Corp., SANAA, GGN
6) Ghibli Park’s ‘Witch Valley’ / Studio Ghibli (Design supervision), Nihon Sekkei, Inc.
7) 2m26 Atelier / Sébastien Renauld, Mélanie Heresbach/2m26
8) Toyota City Museum / Shigeru Ban Architects
9) POLA aoyama building, Tsuchiura Kameki House Restoration/Movinq/Reconstruction / Yasuda Atelier, Kume Sekkei Co., Ltd.
10) Machi-no-hoikuen Community School Minamiaoyama / ALTEMY
Text: Hiroshi Miyazawa